
イマーシブ・フォート東京が来年2月に営業を終了すると発表しました。開業から2年で、今年3月には大規模改装を終えたばかりです。森岡毅氏の「数学的マーケティング」という魔法が、冷酷な現実の前で消えようとしているように見えます。P&GやUSJでの成功は、資本、商品、IPという元々持っていた資産を磨き上げた結果です。しかし自動車のチューナーが自動車メーカーになることはできません。有名な大企業で実績を出しても、それは個人の実力ではなく企業の信用と仕組みです。もはやジャングリアの勝負もつき、この悲劇の共犯者は、彼の神話に熱狂し思考を委ねた人たちです。商売の神は数式の中ではなく、現場の体温の中に宿ると思います。ビジネス人に必要なのは、自らの目と感性で勝ち筋を見抜く野性であり、人々の感情を数式で操れると考えた傲慢さを教訓とすべきでしょう。
最高の健康アドバイザー

胃の調子が優れず一日一食にしています。昼食を完全に抜いてしまうと胃酸が強まりかえって悪化しそうなので、ギリシャヨーグルトと果物でも食べようかと思い、GoogleのAIに聞いてみました。その答えはヨーグルトを摂らずに夕食まで食事を抜いた方が良いという助言でした。その代わり、昆布、梅干し、なつめ、はちみつ、生姜、塩こうじ、本葛にお湯を入れて飲めというマニアックな民間療法を教えてくれます。医療に関わることを聞くと、極めて保守的な答えしか返してこないAIですが、相談内容が民間療法となると、突然アグレッシブに豹変する印象です。葛は家になかったのですが、残りの材料でお茶のようにして飲むと意外に美味しく、夕方には胃の調子が目に見えて改善します。民間療法に関してAIは、最高の健康アドバイザーかもしれません。
ゲームチェンジの残酷さ

欧州の成長エンジンだったドイツが、構造的な経済危機に直面しています。ドイツ経済の象徴である自動車産業の停滞は、一時的な景気後退を超えて進行しているようです。「値下がりしない資産」として扱われてきたメルセデスGクラスやポルシェの一部モデルの神話が崩れ始めました。ヨーロッパ勢の極端なEVシフトは、バッテリー劣化も敬遠され、リセールバリューを壊したと思います。機械的な剛性感が強みだったドイツ車は、近年ソフトウェアのバグに悩まされ、信頼性は低下の一途に見えます。他方で、日本車の品質は揺るがず、機能美と洗練を手に入れたデザインは強みになりつつあります。故障に怯えながら見栄を張る高額消費疲れも、その動きを加速させます。内燃焼機関を捨てたときに変わった、ゲームチェンジの残酷さは、これから訪れるのでしょう。
人間の優位性は揺るがない

早朝のジョギングを始めたのですが、止せば良いのに、途中で数本の坂道ダッシュを入れてしまい、ふくらはぎの肉離れを起こしました。長年の腰痛を一度で治してくれた近所の整体(ストレッチ)で施術を受け、翌日には普通に歩けるようになりました。アスリートを専門に診ていることもあり、効果はすぐに現れました。痛くても動かし、お風呂で温めほぐした方が良いという助言でしたが、帰宅してGoogleのAIに聞くと、動かさず、ほぐすなという圧迫と安静を優先する真逆のアドバイスです。自分の感覚では人間の判断が正しいと感じ、何度かAIとやり取りをしたのですが、AIは主張を一切変えず、最後には二度と坂道ダッシュができなくなると脅します。セカンドオピニオンとしては有効ですが、触診を行える人間の優位性は当面揺るがないと思います。
マインドフルネスな季節

冬至を迎えこの日を境に日照時間が長くなり、陰から陽に変わり運気が上昇する時期とも言われます。冬は寒いだけで良いイメージがありませんでしたが、福島県で生活をするようになって以来、その雪に埋もれる美しさに、好きな季節になりました。内に閉じこもる冬の季節こそ、自身を成長させる時だと思います。日照時間が短く、活動量が低下しますが、その静かで長い夜こそ内省や、体系的な知識を深く吸収するのに最適です。寒い冬は睡眠の質を上げるのにも適し、腸内環境を整える食事や入浴に時間をかけることができます。活動的な夏に向けて根を深く張るための、地味で、静かで規則的な生活を楽しむ、まさにマインドフルネスな季節が冬なのでしょう。そして、冬になると旅行に行きたくなります。魚の美味しい季節であり、観光地から人の姿が消え、日本海の荒波のような自然の厳しさを体感できるこの季節が増々好きになります。
本当の文化

ファッションに無頓着で普段着の多くはユニクロです。先日買ったパフテックは、東レと共同開発した中綿技術により、軽い・暖かい・洗える、という三拍子を高いレベルで実現し、世界最強クラスのコスパと言えます。寒い日本の冬を快適に過ごす上で、ユニクロの貢献は小さくないと思います。同様に食事にも無頓着で、栄養とエネルギー摂取が本来の役割であり、食そのものを楽しむのは1割程度でよいと思います。機能性ばかりを追求すれば人生は単調で味気ないものになり、他方で毎日をハレの日にすれば買い物依存になり、食原病のリスクを高めます。機能を追求した先に現れる美しさや美味しさこそが、本当の文化だと思います。人々がサグラダファミリアに魅かれるのは、重力そのものに形を描かせたカテナリー曲線により、ガウディが完璧なアーチ構造を作ったからで、機能と美は融合できると思います。
最強のモーニングルーチン

年明けにキリマンジャロに登ると言う妻のトレーニングに同行して、朝のジョギングを始めました。途中の坂道ダッシュは適当に流しますが、朝一番の運動とサウナの組み合わせは最強のモーニングルーチンだと思います。ランニングをすることで血流が促され、脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌により、記憶力や集中力を高め、ドーパミンやノルアドレナリンの分泌が脳を覚醒させます。自宅にサウナはないのですが、熱い風呂と水シャワー、外気浴によって自律神経を強制リセットします。ランニングで高まった交感神経を、入浴後の外気浴で深く落ち着かせることで、マインドフルネスの状態で一日を始めることができます。重要なことは、朝の早い時間に最も頭を使うクリエイティブな仕事や重要な意思決定を行うことで、さらに重要なことはこの習慣を継続することだと思います。
有難くかつ不可解


病院が嫌いで何年も医者にかかっていませんが、例外は定期的なクリーニングで訪れる近所の歯科です。先生の腕は悪くないと思うのですが、なぜかいつも空いていて、すぐに診てもらえることは大きなメリットです。さらに歯科医に多いクロスセルによる押し売りをしないことも気に入っているところです。しかし、ここに行く最大のモチベーションは、建物が35歳の坂茂の出世作という点です。細長い長方形の敷地を2等分し、南側半分を外部空間として、地盤の関係からRC造ながら床を木造とすることで軽量化します。執着とも言える正方形・グリッドによる空間分割は、建築に合理性を求める自分好みです。全面ガラスによる開放的な室内のプライバシーを守りながら、風や木漏れ日を通すアイビー・スクリーンが設けられ、森のなかのような居心地です。外国からも見学者が訪れるこの名建築に、人が来ないことは有難くかつ不可解です。
シグマが求められる時代

昨日は南会津のビジネスホテルに泊まりました。無料朝食につられて、ついつい食堂に行くと、サラリーマンの生態を間近に見ることができます。尊大な態度の上司と卑屈な部下という懐かしい姿は、かつては日本企業の強みでした。社会的地位の階層に基づく性格分類では、外向的なリーダータイプの「アルファ」と、協調性のあるサポータータイプの「ベータ」があり、これが動物行動学における群れを形成してきました。コマンド&コントロール型の堅苦しい企業風土によって、日本の製造業は世界の市場を席捲しました。自動車で言えば、アメリカ車やドイツ車といった「正解」に向かうスピードが要求される時代には強みでした。正解を失った今の時代に求められるのは、階層の外にいる一匹狼タイプの「シグマ」のスキルを、企業がいかに早く吸収できるかが問われていると思います。
粗製乱造が招いた悲劇

サウナの火災はたまに聞きますが、赤坂の高級プライベートサウナでの死亡事故には衝撃を受けました。発火の可能性があるのはストーブとタオル、スマホですが、火が出た経緯に注目が集まります。ドアハンドルが内外ともにはずれ脱出できず、フロントの非常通報装置の受信盤の電源が切られていたことからして、業務上過失致死が問われると思います。工作物に瑕疵がある上に安全配慮義務違反が重なります。通常のサウナでは、押すだけで出られるパニックドアにするのが常識ですが、別の部屋でもドアハンドルのガタつきがあるとされ、インフルエンサーも行く有名店にしてはあまりにもお粗末です。プライベートサウナのリスクが最も悲惨な形で起きたのは、ブームによる粗製乱造が招いた悲劇であり、利用者の命を預かる事業であることを改めて自覚すべきでしょう。