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居心地を分解する


リノベーション界隈では知られる諏訪市のリビセンカフェ(live in sense)に行きました。古材を扱う店舗に併設されるカフェは、おそらく倉庫を活用したもので、鉄骨むき出しの天井高は3.5mほどあります。リユース品の家具は不揃いで、デザインコードは統一されませんが、素材の粗さのレベルが一致し、照明器具の光源の色温度が揃っているので空間全体のまとまりがあります。店に入ると手前に客席があり、中央にデザインされたカウンターが配置され、さらに奥にはストーブ、最奥の壁面は荒々しい木の壁という、中央焦点と遠近感が落ち着く理由のような気がします。ハイライトされた白いカウンターと、大窓から入る青い間接光のバランスが絶妙で、周りの客席の家具に安物を使っていても気になりません。素人解説ですが、自分視点で居心地を分解するのは店に行く楽しみです。

解約忘れサブスクモデル


南会津にインターネット回線を引くために申し込みをしました。ネットで入力するとほどなく代理店から電話が入るのですが、質問をしたわけでもないのに30分にも及ぶ説明に閉口します。工事費無料や割引プランを提示するのですが、それらは最初の月は無料ながらオプションを途中解約する必要があり、その連絡先を3カ所も口頭で伝えます。解約忘れでそのままオプション料金を払わせ続ける悪意のサブスクモデルは不誠実です。果てはウォーターサーバーまで売り込む商魂たくましさにうんざりします。回線保有、回線販売、代理店という業界の多層構造において、営業部分が野放しにされた結果、旧態依然とした慣行が残ったように見えます。AI比較サービスが最適契約を提示すれば、このような情報格差手法を使った、悪意の解約忘れサブスクモデルは消滅するはずですが、AI時代のバグは過渡期の残滓かもしれません。

腸のためのリトリート


一人旅は食事を減らす絶好の機会です。釜山での1週間は一日一食生活で、日本に戻ると健康な空腹が戻ります。普段より慈しむようにゆっくりと味わいながら食べるようになり、味覚が戻ることで食事をより楽しめ、かつ満腹中枢が正常に働き食べ過ぎを防ぎます。韓国料理も好きですが、何を食べたいかを自分の身体に聞くと、自然と釜山駅前の中華街に足が向かいます。外したくないので、ビブグルマンなど無難な店を選びますが、仮に外したとしても、空腹で味覚感度が上がっているので普段より美味しく感じます。さらに消化効率が上がることで、摂取量が少なくても栄養吸収効率が高まります。しかし、あくまでも腸の休息が目的のリトリートであって、外食をする限り栄養バランスが崩れることは必然だと思います。それでも空腹により生存本能が呼び覚まされ、感覚増幅による味覚の再起動は健康な生活に必要と感じます。

理想的な移動手段


釜山にいた6日間で毎日平均4万歩以上歩き、スマホ測定の歩いた距離は161.3kmになります。これほど歩いた理由は、カフェ先進地域の釜山で、軽く100軒を超えるカフェを見て回ったからです。生き残りの難しい外食業界において、とりわけ廃業率が高いのがカフェですが、自分でやるかどうかは別として、研究対象として魅せられるのは、最も身近な理想の暮らしがそこにあるからだと思います。毎日27km歩いたもう一つの理由は、海岸線を中心に、釜山には魅力的な遊歩道が整備されていることです。断崖絶壁に取り付けられた遊歩道はアップダウンが激しく、よい運動になります。トレイルの途中には朝鮮戦争時代のものと思われる機関銃陣地の跡がひっそりと残ります。歴史、文化、自然、風土、暮らしなど、街を知るための最も理想的な移動手段は自分の脚だと思います。

職人×ベンチャー


釜山に来た収穫は、韓国のスペシャリィティコーヒーブランドとして台頭するMomos Coffeeの店舗を訪れたことです。彼らが扱うのは商品ではなく文化であり、釜山の4店舗は、ブランドの権威を高めるために人通りは重視せず、空間哲学は単にプロの仕事を超える崇高さを感じます。釜山港の倉庫を改造した店舗は、古い倉庫と最新の生産設備やR&Dとの融合が斬新で、巨大店舗にも関わらず週末は人混みに圧倒されます。マリンシティの店は都市文化と融合し、ラグジュアリホテルを凌ぐ洗練を感じます。一方地下鉄で行ける温泉地の駅前にあるMomos Coffee Flagshipは、広大なかつての邸宅の敷地に、様々な屋内、屋外席に加えて他店舗にも提供するペストリーラボがあります。コーヒー風飲み物だと思っていたカフェラテにも、彼らの執着は味となって現れます。職人×ベンチャー気質と秀逸なブランド体現の空間は、釜山という港町文化と出会うことで生まれた奇跡に見えます。

時間の蓄積による真正性


コモドホテル釜山に食事に行きました。釜山港を見下ろす高台に建つ朝鮮時代の王宮のような建築様式はひときわ目立ち、台北の圓山大飯店を思わせます。地下鉄駅から坂を上ることが災いしてか、アゴダでは8,000円台で泊まれ、定宿にしたくなります。1979年に開館したものの、今もその格式を保っており、これからもその威容を維持し続けてもらいたいものです。韓国の人気ドラマ「愛の不時着」のロケ地でもあり、北朝鮮のホテルとして描かれましたが、釜山のクラシックホテル文化を象徴する存在です。当時のホテルは権威性や社会階層の象徴として、人々を日常から切り離す存在だったと思います。ホテルがコモディティ化している現代にこそ、このようなホテルは必要なはずです。クラシックホテルはお金をかけても作ることができず、時間の蓄積によってしか生まれないその真正性は、年代を問わず魅了すると感じます。

都会でありリゾート地


釜山に行かなければソウルは刺激的な街ですが、多様で豊かな表情を持つ釜山の魅力に触れると、ソウルは平凡な都市に見えます。港町として知られますが、海岸線まで山が迫るために狭い土地に漁港や様々な市場、造船所、海浜リゾート、温泉、超高層の摩天楼までもが凝縮されます。その魅力は都市圧縮密度世界トップクラスの香港に似ています。香港は好きな都市でしたが、中国には一定のリスクがあり、今後は釜山に来る機会が増えるかもしれません。高級ホテルもマリンシティなどのリゾート立地にあり、全てのエリアが都会でありリゾート地で、およそ全ての旅行ニーズを満たします。人々が快適に感じる密度を維持しながら、高層建築群が一帯開発されるので、日本の都市のような雑然としたノイズを感じません。港湾物流、観光、水産、造船、不動産といった様々な経済エンジンを持つことも、都市の存続において有利に見えます。

三位一体の一流空間


釜山港の倉庫を改装したMomos Coffeeの生豆保管庫、焙煎ライン、抽出バーを統合した施設は製造と研究所、ブランド体験装置として完成度の高いものでした。2007年に13㎡のカフェから始まり、2019年に所属バリスタが韓国人初の世界バリスタチャンピオンになり、釜山発のスペシャルティブランドは世界的な知名度を得ました。釜山に4か所を構えるうちのマリンシティの店舗に行きました。天井高3.3mほどの全面ガラス越に、入江と対岸の半島を眺める立地は、都心なのにリゾート地にいるような錯覚にとらわれます。工業製品の家具を使いながら、どれもが上質な空間を作る不可欠な要素となり、シンプルながら洗練されたデザインはラグジュアリホテルに勝るとも劣りません。火が燃え、バリスタカウンターの作業音が響く空間は心地よく、立ち上がることができなくなります。設計・資本配分・ブランド戦略の三位一体が一流空間を実現していると感じます。

カフェのシェフズテーブル


カフェ市場世界3位の韓国に来ると必然的にコーヒーを飲む機会が増えます。釜山港の倉庫を改装したMomos Coffee 影島店に行きました。日本でもONOMICHI U2などの倉庫活用事例がありますが、この特徴は焙煎機から物流、洒落たオフィスや商品のショールームまで、全機能を倉庫内で完結していることです。新築のラ コリーナ近江八幡に対して、古い倉庫を使ったことで、天井には木の構造が見え、より高い洗練を感じます。製造工程やバック部門を見せると言うよりも、工場の中に客席がある、いわばレストランにおけるシェフズテーブルのような感覚です。日本でもファクトリーパークが流行った時期がありますが、より強固な顧客接点を築く、こうした取り組みは、日本でも進めるべきだと感じます。つなぎを着た製造部門の従業員の動線と客動線がぶつかることで、生産から消費というバリューチェーンに参加しているリアリティが迫ってきます。

個人化された先端療法


旅行のリスクは気温の変化により体調を崩すことです。先月ソウルに行ったときも2時間の飛行なのに、温暖な東京から氷点下10℃の吹雪く世界に行き、風邪をひきました。2日間で体調が回復したのは、AIの助言に従いマヌカハニーの喉スプレーなど、ホテルの近くで調達できるものを指示通り買い、静養したからです。今回は東京を出る時から左の肩が凝っていて、AIと症状や痛みの範囲、状況を相談すると、40℃のシャワーを5分間肩にあて、息を吸いながら肩を上げて吐きながら脱力をするようにと言います。問診が深まるにつれ、ソウルで風邪を引いたこと、左肩を下に寝ていることが原因で軽度と特定されます。医者がここまで深く聞くことは無く、こちらがしつこく聞き返すこともありません。AI診断は個人化された先端療法で、一日で肩こりは改善しました。AIが健康を更新する時代に入ったことを感じます。

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