コロナ禍でメタボと診断される人が倍増していると言います。都内で15万人を対象に、コロナ前後でメタボリックシンドロームと新たに診断された増加率は、コロナ前の5.8~8.6%から、男性13.0%、女性17.3%と倍増したことが日本人間ドック学会で報告されました。とくに中性脂肪と高血圧の悪化が顕著で、東京都内だけで例年より10万人多くがメタボリックシンドロームになった計算です。通勤に伴うエネルギー消費が減りカロリー摂取過多が指摘され、運動機会の確保が課題になります。少食と運動は健康の二大要素でありお金もかかりませんが、どちらも実行するにはハードルがあります。簡単に実行できるなら40数兆円の医療費の多くを占める生活習慣病が半減するはずで、空腹の欲求と運動の苦痛に抗うことは容易ではありません。それを阻むのは食糧のない時代を前提に、欲を満たし無駄なエネルギーを使わないように脳がプログラムされるからで、抜け出すにはプログラムを書き換えるしかありません。ありがとうと言うから感謝の気持ちが持てるように、少食や運動が幸せだと意識をするから幸せになるのでしょう。
美しく健康でいる秘訣
現代最大の娯楽である食べる歓びに疑念を差し挟む余地はありません。人類の大半は食べることを礼賛する一方、残りの0.003%ほどの世界で20~30万人が食べない自由を得ていると言われます。これに宗教的な断食や少食習慣を加えるとその数は巨大なものになります。なるべく食べないことが正当と思えるのは食事を二食から一食に減らしても体力は落ちず、体重も変わらず、この現象を現代栄養学は説明できないからです。三食、二食、一食と減らしても一回に食べる量は変わらず、減らすほど不思議と空腹感が消え五感が冴えます。登山中にすれ違うハイカーの匂いが明確に分かるようになりますが、今では車に乗っていて隣で妻が塗るファンデーションの粒子が鼻孔に飛び込むのをリアルに感じます。化粧品には永遠に残る化学物質として知られる高濃度有機フッ素化合物が含まれ腎臓がん、精巣がん、高血圧、甲状腺疾患などとの関連が指摘されます。肌を美しく見せるはずの化粧品を落とす際にこすることがシミの一因でもあり、人体にふさわしい生活をすることが美しく健康でいる秘訣でしょう。
朝食は楽しむためだけに食べるもの
週末は那須岳の最高峰三本槍岳(1,916.9m)と会津駒ヶ岳(2,133m)に登りました。どちらも日本百名山ですが、登山道がよく整備されて午前中には戻れる敷居の低い山です。などと甘く見ていたら、会津駒ケ岳の登山口から登り始めてすぐに冷や汗が止まらなくなり全身に力が入らなくなる低血糖症状に襲われました。原因は普段食べない朝食でそうなることは歩き始める前から分かっていましたが、泊まっていた宿の魅力的な朝食をついつい食べてしまったことです。食後3時間が経過したところで動けなくなり、妻とラブラドールに先に登ってもらいました。朝食はオーガニック野菜が中心で糖質は米粉の小さなパンぐらいです。食事の最後にゆっくり食べたのですが、血糖値スパイクにより大量分泌されたインスリンが血糖値を急激かつ大幅に下げたことが原因です。糖質を摂らなければ何時間でも無補給で歩けますが、その代償は朝食の食べられない体になることです。もちろん運動をしなければ朝食を食べても何も起こりませんので、朝食は純粋に食事を楽しむためだけに食べるものになりました。
眠くなり、欲しくなくなる
昨日は南会津町にあるタンボ・ロッジに泊まりました。以前にも宿泊していますが泊まった国内の宿では五指に入ります。良い宿の条件はオーナーと波長が合い、眠くなり、欲しくなくなることだと思います。森に囲まれるセルフビルドのログハウスの前には清流があり、快適過ぎない少しスパルタンな暮らしは、人体が持つ自然のリズムを取り戻せそうです。21時を回るとまぶたを開けていられないほど眠くなり、ベッドに入った記憶も曖昧なほど早く寝落ちします。世間的に言われる良い寝具やソルフェジオ周波数などにこだわる必要はなく、人間にふさわしい暮らしと場所が放つ波動や気に身を任せるだけで良いのでしょう。ペルー・アンデス料理をベースにした控えめなポーションのオーガニック野菜の料理は無闇な食欲を抑え「足るを知る者は富む」という言葉を思い出させてくれます。コロナ禍以降この宿のためだけに首都圏から南会津まで来る客が増えるのも自然な流れでしょう。豪華な食事やジャンクフード、中毒的な嗜好品といった生活を我慢するのではなく、自然と改めたくなることこそ良い宿の証だと思います。
終身旅行者は現実的
Airbnbの2021年7月〜9月期決算は売上高が前年比67%増の22.4億ドル、営業利益は8.5億ドルで、ともに過去最高を記録しました。予約件数、平均単価とも向上し、パンデミックからの需要回復以外の大きな変化が世界的に起こっている兆候かもしれません。自宅で働くことは普通になり、人と会うことは特別な意味に変わりました。柔軟な働き方が広がると旅行頻度、宿泊日数が増加する余地が生まれ、解決不可能に思えた特定の休日に需要が集中する問題はあっけなく解消します。今や終身旅行者は現実的な生き方であり、この流れが後戻りしない理由はベンチャー企業のみならず上場企業までもがオフィスを処分し始めたからです。都市がいきなり衰退することはないでしょうが、オフィスの意味と住宅の意味を再定義する機会になったことは確かです。空き家は全国的に拡大しますが、一方で自宅の近所には恐れを知らない賃貸アパートが需要を無視して次々と建っています。情報格差が経済格差だけではなく、命にも関わることが今の時代の恐ろしさだと思います。
食事よりも太陽
今の季節は気持ちのよい晴天が続きます。朝の空気を吸い込み太陽が昇ることに感謝する気持ちが持てるように、生きがいは些細な事に宿るものでしょう。日常のあらゆる場面に豊かさを認識できることが幸せを感じる秘訣だと思います。災害が起きても略奪が起きない日本を世界は称賛しますが、古くからお天道様が見ていることを日本人は意識してきました。生物は太陽の恵みなしに生きることができませんが、他方で紫外線は悪者にされてきました。白人に比べて紫外線に強い日本人は、むしろ紫外線を浴びないことが健康を損なうと思います。医学誌のネイチャーでは紫外線による血中のビタミンD濃度を増やすことがガンの死亡率を半減させる効果があり、過度の紫外線対策を警告します。毎日15分から30分太陽にあたるだけで1日分のビタミンDが合成され、カルシウムの吸収率を高め骨の新陳代謝が活発になります。太陽光を浴びるとセロトニンが分泌され、15時間後には睡眠を促すメラトニンが分泌し、エネルギーを生み出すミトコンドリアが活性化されます。早起きして太陽光を浴びるわずかな努力で生活の好循環が得られることは、食事を摂ることよりも大切だと思います。
規則正しい生活で体を休養させる
UTMBを3度制したトレイルランニング界のスーパースター、グザビエ・テベナールのサステイナブルな暮らしが注目されます。プロパガンダに過ぎない環境少女とは異なり、車を使わず自らの足か自転車で移動する究極的な生活です。スポンサー契約を結ぶスポーツブランドOnの研究開発チームとのミーティングは、その本社があるチューリッヒまで国境を超え3日かけて240kmを走り、今後は飛行機を使うことを避け優勝した日本のUTMFにも来ないようです。プロモーション戦略の一環と見ることもできますが、野菜と果物は自宅の裏庭で育て、家は持続可能な材料とエネルギーを使う自給自足のライフスタイルです。2019年に来日したときはスーパーで味噌、しょうゆ、豆腐、タコ、豆乳、納豆、もずく、昆布、佃煮など低糖質、グルテンフリーの食材を買い日本食に近い食生活だったと伝えられます。勧められたほうとう屋には行かず、十割蕎麦の店を探す徹底ぶりはトップアスリートの証でしょう。体を酷使する人ほど規則正しい生活で体を休養させることを最優先しますが、体をほとんど動かさない現代人は目先の欲と不規則な生活に陥るのでしょう。
移動のために食べる
冬が目前の今頃は渡り鳥の季節です。越冬のためにシベリアからやって来るコハクチョウやツルと、日本で繁殖して南半球に戻るツバメやオオルリなどです。渡り鳥に興味が尽きないのはその驚異的な身体能力と省エネ設計で、世界最小のツルとされるアネハヅルは氷点下30度のヒマラヤ上空8千mを飛び、アジアに生息するインドガンは、追い風や上昇気流の助けをほとんど使わず自らの筋力だけでヒマラヤを一気に飛び越えると言います。とくに興味深いのが昨年9月にオオソリハシシギの群れが、アラスカからニュージーランドまでGPS上の飛行距離1万2,854kmを11日間ノンストップ、不眠不休で飛行したことです。しかもオスの体重は200から400グラムしかありません。これほどの超長距離を飛べるメカニズムの解明はこれからですが、渡り前に倍ほどの体重に太り、飛行中のエネルギー消費が毎時標準体重の0.41%と少ないことが分かっています。渡り鳥の飛翔筋はミトコンドリアが多いことで知られますが、脂肪を溜め込む人間も本来は無補給でかなりの距離を移動できるはずで冒険心を掻き立てられます。移動のため、すなわち生きるために食べることを渡り鳥は思い出させてくれます。
常に最適な選択
立冬を過ぎ喪中のはがきが届く季節になると年の瀬の雰囲気が漂い始めます。一年を振り返るには気が早いのですが、個人的イベントは北アルプス縦走に行ったぐらいであまり代わり映えのしない一年でした。世の中は管理型社会に向かう重苦しい年でしたが、今が最高で今日が人生で一番幸せと思えることが理想でしょう。外部環境をどう受け止めるかは解釈次第であり、苦しいときも楽しいときもどちらも幸せに感じる秘訣は、小さな幸せが大きな喜びをもたらす心がけだと思います。多くの人には受け入れ難いと思いますが、食べないときにも幸せを感じます。たとえば全員に食べ物が配られたのに自分だけなかったとしたら普通は失望しますが、食べられないことも、美味しく食べることと同様に幸せです。つまり、運命に翻弄されることなく解釈次第で常に最適な選択をすることができます。トレイルランニングのレースにしばらく出ることは無くなりましたが、長距離走は体が辛く状況が悪くなるほど集中力はむしろ高まりベーターエンドルフィンの分泌もあって楽しくなります。人生は苦境を乗り越え学ぶことに意義があるのかもしれません。
野生が持っていた美しい精神性
週末は会社の決算を終えました。クレジットカードに支払いを集めデータを読み込めるようになると以前のように領収書の整理をする必要はありません。一年に一度とは言え、作業を効率化するとかつては費やしていた半日程度の時間を生み出すことができます。誰もが長寿を求めながらその生み出された時間で何をしたいかはあまり問題にされません。成長につながらない同じ毎日を惰性で繰り返すことは、考えることなく管理型社会の虜となり言われるままに消費をすることと同じでしょう。常に答がある学校教育において学ぶ意味に異議を唱えることは許されず、社会人になれば稼ぐことのそれ以上の意味を考える人はいません。自らの人生を主体的に生きるのではなく生かされているのは、社会の仕組みが常に答を与えることで思考を止めるように作られているからでしょう。本来野生が持っていたはずの美しい精神性は失われ、人間だけが享受できる快楽と損得に支配された堕落は人から尊厳を奪い、意識の集合体である神に近づく道を放棄させます。毎日のなかに瞑想をするような静かな時間を持つことが正気を取り戻す唯一の方法だと思います。