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今が一番楽しい

先週の日曜日にかけて100kmトレイルレース「奥信濃100」が行われました。昨年8月の同大会では83歳の月岡金男氏が完走したことでも知られます。35歳の時に独立して2年目に取引先の不渡りから借金を抱えてひたすら働き、借金を返し終えた時には60歳になっていたそうです。返済が終わり仕事に余裕が生まれて走り始め、仕事以外で身体を動かせることが楽しくて仕方なかったと言います。初めてフルマラソンに挑戦したのが第1回の東京マラソンで69歳の時でした。70歳のときに100kmのウルトラトレイルを完走し、100マイルのUTMBにも3度挑戦し、元旦には自宅から100km以上走って箱根駅伝の応援に行くと言います。「人間万事塞翁が馬」で、プラス思考を維持する最善観と働き続けることが84歳の今も走り続け「今が一番楽しい」という氏の発言につながっているのでしょう。

行き着くところは人材

昨日は炭火焼干物定食の「しんぱち食堂」に行きました。直営とFCがほぼ半々で首都圏を中心に名阪福岡に24店舗あります。いわし定食のご飯少なめは520円とリーズナブルでインゲン胡麻和えと大根きんぴらの小鉢はそれぞれ50円です。客層が広く時間帯を問わず売れ、風評被害の少ない干物に特化した業態はありそうでなかったブルーオーシャンかもしれません。オーダー毎に独自開発の炭焼台で焼くために干物は美味しいものの、ご飯は並以下です。渋谷店は間口4.5m奥行11mの片側カウンターのために効率が悪いのですが、15坪20席のコの字型カウンター店舗では驚異の25回転を記録します。月商1,000万円、賃料負担能力は月坪6万円で償却前利益が20%と今後が期待できるビジネスモデルだと思います。少人数運営を前提に効率化を進めていますが、4人のスタッフは不慣れな印象で、結局ビジネスの行き着くボトルネックは人材なのでしょう。

栄枯盛衰が定め

1973年に青山に開店以来50年に及ぶ歴史を持つアンナミラーズが今年8月の高輪店の閉店をもって実店舗がなくなります。品川駅西口の再開発に伴う撤退とは言え、首都圏を中心に20数店舗を構えたアメリカンパイを提供するレストランチェーン店の消滅は、華やかだった1980年代が終わったことを印象づけます。80年代がオールディーズと呼ばれる時代ですから無理もありませんが、マクドナルドやデニーズといった華やかな飲食文化の黎明期の一角が消える寂しさがあります。民事再生法適用を申請したフーターズ同様にコンセプトが明確ゆえに、料理や店舗づくりの基軸から離れることができず、低価格飲食店チェーンの台頭による価格破壊の影響から逃れることができなかったのでしょう。栄枯盛衰が定めの飲食業界にあって半世紀の歴史を築くこと自体が稀有ですが、外食業の本質とも言えるそのコンセプトは次の事業者に引き継がれていくのでしょう。

2,500円の気晴らし

昨日は小川町駅近くのMANGA ART HOTEL TOKYOに泊まり皇居でランニングをしました。紙のマンガを読むためだけに泊まることをコンセプトにした施設ですが、結局マンガは読まず、主たる目的は施設を見ることとランニングです。日本で最も有名なランニングスポットの皇居ですが、始発前の早朝の皇居には警官以外の人影はなく普段とは違う表情を見せます。昨今、近所を旅するマイクロツーリズムが提唱されますが、雑多でディープな神田界隈に泊まり、早朝の皇居を独占できる旅ならお金もかかりません。旅には日常と異なる環境に身を置く転地効果があり、ストレスマネジメントの一環ともされます。多くの人が時差ボケなど、健康リスクをおかしてまで旅に行く理由は、普段とは異なる特別な体験をするためですが、帰ってきた時には領収書しか残っていないはかない旅の目的が気分転換であるなら、2,500円でも実現できる気がします。

図面だけでは気づかない

昨日は2019年に神田錦町に開業したMANGA ART HOTEL,TOKYOに泊まりました。以前から気になっていたマンガをコンセプトにしたホステルですが、2,500円と安く、気晴らしにカフェに行く感覚です。170㎡に35ベッドで想定単価5,000円ですが、実売価格は半額、稼働は2割程度と気の毒な状況です。それなりに力を入れて作られマスコミ露出が多い割に評価がイマイチな理由を知りたかったことも泊まった動機ですが入るなり理由が分かりました。細かい問題はたくさんあるのですが、致命傷は居心地の悪さです。似たコンセプトで草分け的存在のBOOK AND BED TOKYO IKEBUKUROなどの先行事例を研究していればこうはならなかったと思うのですが、パブリックスペースが限られ居たたまれないのです。居心地は形式知化が難しく、図面を見ているだけでは気づかないのですが、施設に一定の余白とボリューム感がないと高付加価値の宿泊施設は成立しないのでしょう。

軍用車両こそが最高性能

ウクライナ戦争には第一次世界大戦の骨董品から、実戦配備前の最新式まであらゆる兵器が投入されていると言われます。武器輸出が本格的に議論され始めた日本ですが、以前から民生用車両は軍用車として世界中で使われ、チャド内戦では両軍により多用されたピックアップトラックのTOYOTAのロゴタイプが頻繁に放映されトヨタ戦争と呼ばれます。自国でエンジンを作れる国は少数ですが、灼熱の砂漠や極寒の地における信頼性でランドクルーザーの右に出る車はなく、ウクライナ国防省でもトヨタハイラックスを採用しています。走破性、耐久性、出力、燃料効率、積載能力、メンテナンスの信頼性はもはや神話のレベルで、究極の機能性を求める軍用車両こそが最高性能を保証してくれると思います。次に車を買うとしたらマニュアルのないランクルは候補外ですが、プロユースを想定して開発されたジムニーは最も魅力的に見えます。

欠乏こそ幸せの鍵

梅雨が明けると本格的な旅行シーズンが始まりますが、人が最も幸福感を感じるのは旅行中ではなく旅を準備している時だとされます。断食の魅力の一つが次の食事を想像して空腹を楽しめることであるように、欠乏とともに人は充足を覚える生き物かもしれません。休日が少なく貴重だからこそ休暇を楽しめるのであって、リタイアしていくらでも時間が使えるようになった時には思ったほど幸せではないのでしょう。欠乏時の期待こそが満足の鍵だと考えるなら、ディズニーランドのアトラクションや有名店に入るのに嬉々として行列に並ぶ理由にも納得できます。一方で人は分かりやすい幸せを実現しようとして条件付きの幸福に固執します。幸せの本質は今この瞬間を感じる感性であって、他人に与えられた贅沢を追求するなら幸せの感受性は衰え、幸福になる機会を手放すことになるのかもしれません。

すでに実現している2039年

「ヒトラーの終末予言-側近に語った2039年」を読みました。自分と同年代の人が「1999年7月世界滅亡」説を信じるきっかけともなり2020年に没した五島勉氏の2015年に出された著書です。ヒトラー予言者説は都市伝説界隈では知られますが、彼が40数度の暗殺を逃れた史実を考えると未来を見通す力を持っていたのかもしれません。印象的なのは五島氏にこの著作のアイデアを与えたのが三島由紀夫氏だったことです。悪夢の予言とも言える未来SF「1984年」がジョージ・オーウェルによって書かれたのが1949年であることを考えると不思議ではありませんが、本書が1988年の著作の復刊で当時と本文が変わっていないことを考えると、管理社会と思考停止が進む2022年の世界を語っていたことは多少不気味です。予言は期限をあらかじめ言明することに価値がありますが、2039年を待たなくてもすでに実現しているとも言えそうです。

手間を惜しまず丁寧に

新宿の住友ビルにある平和祈念展示資料館でシベリア強制抑留者や外地からの引揚者に関する展示を見ました。ウクライナ戦争を見るにつけ、平和を満喫しながら戦争の本質に目を向けることもなく、平和こそが最大の価値だと語るところには偽善と退廃がはびこると思います。部隊番号や氏名が丁寧に刻まれ個人の識別に使われた認識票や、シベリアの収容所で作られた抑留者による手製の食器の柄に彫られた文字の美しさが印象的です。戦争という非常時下にあっても、極寒の耐乏生活であっても平穏な心を保ったまま丁寧な仕事をし、わずかな隙間に美的な要素を取り入れてきた先人の勤勉さを感じます。何事も雑に扱わず、どんな簡単な仕事であっても手間を惜しまず丁寧に仕事をすることで心に余裕が生まれ、非情な環境に置かれても最後まで人間らしさを保てるのでしょう。

因果応報は人の定め

ウクライナ戦争は世界に影響を与え始めていますが、最も壊滅的なのはカルロス・ゴーンの逃亡先でもあるレバノンとされます。ヒズボラ支配により世界から愛想をつかされたレバノンは2019年から続く経済危機、90%以上下落したレバノン・ポンドとハイパーインフレに小麦の輸入が止まり、石油備蓄を使い果たし、電気や水、食糧、医療、教育が崩壊し国民の四分の三が2ドル以下で生活する貧困層に陥り、もはや中東のパリと呼ばれた面影はありません。富裕層の大半が国外脱出するなか、国際手配中のカルロス・ゴーンはレバノン当局による軟禁状態にあり、日本の拘置所暮らしの方がむしろ平穏だったのかもしれません。ベルサイユ宮殿の結婚式など、贅沢な暮らしを人生のゴールにするなら、その晩年は思ったほどには幸せではないのでしょう。因果応報は人の定めなのか、栄華を極めた独裁者の末路は落ち目のプーチンとも重なります。

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