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屋外空間を求めている

花粉症が終わり、森の緑が一番美しく、暑くも寒くもなく、蚊がいないこの季節は屋外で過ごすのに最適です。2万人を調査した研究によると緑豊かな自然や屋外にいるとき、人は有意かつ確実に深い幸福感を覚えると言います。屋外で進化してきた人類にとっては自然が必要であり、屋外での生活を前提に体は設計されているはずです。太陽を浴びて体を動かすグリーンエクササイズを5分もすると気分が明るく楽観的になり、多くの悩みは杞憂に過ぎないことが分かります。かつて人類がほとんどの時間を屋外で過ごし自然と触れ合ったように、日本家屋は外部と内部をつなぐ構造になっていました。リゾート地などで絶好のロケーションにテーブルがあっても屋外の食事を断られることがありますが、新鮮な空気と日光浴のための屋外空間を求めているのに、それを実現しないのは事業者の怠慢でしょう。

成熟した社会

八ヶ岳の三ツ頭に登る途中のヘリポート跡にベンチがあります。元々プラスティック製の風景にふさわしくないものでしたが、昨日見ると落ち着いた色の木製ベンチに変わっていました。取付けられた金属プレートには、一昨日麓の遊歩道で会った外国の方の飼い犬らしい名前が書かれています。思い出の地に愛犬の名を刻み、多くの人の目に触れ、何より役に立ち、人の心に何かを伝える気の利いた方法だと思います。犬と山に登る素晴らしさは日本では認知が広がりませんし、山に犬を連れて来るべきではないと考える人もいます。大型犬でも人の体重の3分の1程しかなく、躾けられた犬であれば人や自然への影響も最小限です。ロンドンの美しい公園ではリードを外して散歩する犬を見てうらやましく思いますが、皆が節度を持って行動し、周囲が合理的に受け入れることが成熟した社会なのでしょう。

山に居れば幸せ

昨日は八ヶ岳の三ツ頭(2,580m)に登りました。雪の残るスノートレイルを歩いたり走ったりするだけで幸せです。幸せにはお金が必要だと信じ込まされてきましたが、幸せや豊かさを手に入れるのにお金はかからず、山に居れば満たされます。気分は神経伝達物質の分泌量に左右され、大金で手に入れた贅沢な休日の喜びも、森のなかで鳥の声を聞くときの満足と違いません。金で買った贅沢は商業施設を出たときに消えますが、日常の喜びは執着にも欲望にもなりません。満足は金で買えないという事実を知ると、お金に対する考え方が変わります。世間は収入の多寡ばかり注目しますが、買いたいモノがない人はたいした収入がなくても金持ちですし、いくら稼いでも欲望と愚かな消費が増えれば貧乏です。お金により麻痺した高揚感ではなく、満ち足りた時間が人生の価値と運勢を決めるのでしょう。

客も先入れ先出し

スーパーに行くと見切り品のラックを見ます。時間をかけて店が熟成させてくれた黒バナナのような掘り出しモノを見つける喜びは、スーパーに行くモチベーションにさえなります。昨日は何ともくたびれたサニーレタスがぽつんと一つ取り残されていました。カゴに入れるのを一度は躊躇ったものの、自分が買わなければおそらく廃棄されてしまうレベルのあわれさです。生鮮品は鮮度が命ですから、売り場の野菜や果物を底の方から引っ張り出して少しでも良いものを買おうとしたり、新しい製造年月日を選ぶ気持ちも分からないではありませんが、目を吊り上げる我れ善しの執着となれば元も子もありませんし不衛生です。食べ物に対する感謝の気持ちがあれば、そこまでして選り好みをする行動にはならないはずです。客も先入れ先出しに協力して、身近なところから食品廃棄をなくすべきだと思います。

差を知ればすれ違いは減る

「話を聞かない男、地図が読めない女」を読みました。20年以上前のベストセラーで、当時の同僚の多くが読んでいましたが、大体知っているとうそぶいて読まないままでした。冷蔵庫内の食品の場所など規則性のない位置関係を覚えている女性に対し、男が見つけられないのは「バター」と書かれた文字を探しているから、というのは我が家では良く見る光景です。空間認識と左右を区別する能力が極端に劣る妻に、運転中に反対側を見てもらうのは危険で車が直前に迫っていてもオーライと言い喧嘩の種です。妻の話を聞いているといつも主語は?と聞きたくなるのは、右脳・左脳のマルチトラック思考が劣る男の問題のようです。登山中に会った1時間前のハイカーを覚えている妻に対して、自分は3秒前でも記憶が怪しいなど、互いの能力差を深く知れば不幸なすれ違いは減るのでしょう。

健康も幸せも日常に

八ヶ岳の西岳と編笠山に登りました。氷点下の登山口から1時間ほど歩きトレイルに雪が現れる頃にやっと体が暖まります。山では桜が満開となり芽吹きの美しい季節だけに山頂には多くのハイカーが集まります。レジャーと運動のいいとこ取りをするスピードハイクは、健康増進と癒しに最適です。自然のなかで行う有酸素運動は筋力を強化し、脂肪組織に蓄えられた毒素を分解して放出します。連休中は何かとお金がかかりますが、お金で手にする幸せはささやかで長持ちせず非効率です。健康も幸せもお金を払って手に入れるものではなく、日常の延長にあると思います。帰路はスーパーで買えばそれなりの値段になるタラの芽を採取し、運動でおなかのすいた夕食に天ぷらにすると、満たされた気持ちになります。お金に対する考えを改めることなく、健康にも幸せになることもないのかもしれません。

欠乏さえ喜び

何年もテレビを見ることはありませんが、かつてテレビを見ていた時間以上にYouTubeを見ます。多くのテレビ番組は偏った価値観を押し付けて来ますが、YouTubeならではの映像と動画には心を動かされます。最もインスパイアを与えてくれるのは、ヨーロッパを中心とした狭小住宅を改装するNEVER TOO SMALLで、みすぼらしく劣悪な環境の小さな住宅が、夢の空間に蘇る様子を眺めるだけでわくわくします。ロンドンの見捨てられたような薄汚れた住宅が、わずか13㎡とは思えない温かみのある幸せな暮らしの場へと変わる映像は印象的でした。制約は人をクリエイティブにし、欠乏さえ喜びに変えます。われわれは使ったお金の多寡が幸せに関係すると考えますが、少しの創造性を発揮すれば、わずかな投入資源で幸せな暮らしを手に入れることができるのでしょう。

歩くだけで瞑想

最近の朝のルーティンは雑巾がけです。窓ふきや雑巾がけは運動になる上に肩こりにも効きます。何より早朝に家がきれいになると一日を気分よく始められ生産性が高まりそうです。我が家の床は杉の無垢材で、様々な樹種のなかから一番安いという理由で選んだのですが、表面が衝撃に弱くラブラドールが駆け上がる階段などは築後2年とは思えない無残な姿です。傷つきやすい杉板を選んだことを一度は悔やんだのですが、今は積極的に杉を選ぶべきだと思います。水を吸い上げる組織によって柔らかい杉の表面は、雑巾がけの後に素足で歩くと、その人肌のような微細な凹凸による密着感が心地よく、足裏が鋭敏な感覚を取り戻します。歩くのに負担が少なく、クッションフロアやウレタン塗装をされたフローリングでは味わえない自然とつながる温かみを感じ、室内を歩くだけで瞑想になります。

スマートなひけらかし?

連日伝えられる知床のニュースに心が痛みます。事故の人災的側面が注目され、この会社の経営指導をしてきたカリスマ社長のいる㈱武蔵野がネット検索上位になるなど影響が広がります。観光船会社との関係を示す過去の記事を次々と削除するカリスマらしからぬ姑息さがかえって炎上を招き、露出が増えるだけ叩かれるリスクも高まります。一方で、バイトテロには備えていたはずの吉野家のシャブ漬け発言は、100億の時価総額を消しただけでなく、批判の矛先は同席した教授や早稲田大学にも向かいます。溺れる犬を棒で叩く批判は悪趣味ながら、自らをカリスマやエリートと言ってしまう自己顕示が招いた災いとも言えそうです。自己顕示は誰もが持つ欲求ですが、出る杭が打たれるこの国では、人に恨まれないスマートなひけらかしのスキルが必要なのかもしれません。

本性を現したプロフェッショナル

連休直前に起きた知床の悲劇に日本中が衝撃を受けました。2、3年前に交代した社長は海や船のことを理解せず、ベテランを解雇し悪天候でも運航を続けたと報じられます。衝撃と言えば、吉野家の元常務による早稲田大学社会人大学院での不適切発言も炎上しました。知床の悲劇は連休を心待ちにしていた消費者心理を一気に冷やし、シャブ漬け発言は吉野家の時価総額を数日で100億円毀損しました。消費者心理を熟知するエリート集団のP&Gマフィアに違和感を覚えるのは、顧客を人ではなく数字やデータとして認識する傲慢さで、知床の船会社の経営者と同根です。同時に、不用品に高い値札をつけるマーケティングに踊らされる消費者も共犯です。人命軽視の社長も客を見下すプロフェッショナル・マーケターも、本性が言葉となり行動となっただけでしょう。

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