東京大空襲の3月10日、東日本大震災の3月11日と、風化させてはならない日が続きます。徒歩で帰宅した12年前の記憶は鮮明で、以来出かけるときは帰る方法を考えるようになりました。それは旅行でも同じで、三週間滞在する那覇での荷物はいつでも走れる16リットルのトレランザックのため、半径10km程度の移動は自分の足です。ハプニングがつきものの旅において、荷物が少ないメリットは臨機応変な対応ができることです。2019年に家族とマカオから中国に移動した際、乗り合いバスを間違え4、5km離れた波止場に降ろされましたが、自分の足で移動し予定していたフェリーに間に合いました。風光明媚な自然や都市の刺激を享受する最善の方法は旅先で走るラン旅だと思います。新幹線や飛行機の高速移動は脳を疲れさせ、ナチュラルキラー細胞の活性を低下させますが、それは人類史における移動も労働も身体を動かすことが中心だったからでしょう。
最も人気のない場所に最も価値がある
那覇は天候が安定し、日差しは強いものの汗ばむほどでもなく、ベストシーズンだと思います。一方で花粉症の出る東京は悪夢の季節です。この時期こそマスクが手放せず外出を控えますが、那覇に来ると歩数が増えます。那覇で見るべき場所を上げるなら、首里城でも国際通りでもなく、那覇のヤンバルと言われる末吉宮跡のジャングルのような丘と、路地が迷路のように入り組み昭和の風情を残すアーケード街でしょう。末吉宮のある丘は、激戦地安里52高地や沖縄第32軍司令部のあった首里城北方にあり、米軍の攻撃により、おそらくはげ山にされたと思います。しかし亜熱帯の気候が育む森は生命力にあふれ、原始の昔からあるかのように見えます。至るところに拝所が置かれ自然と信仰が融合する場所はひっそりと静まりかえり、訪れる人もありません。最も人気のない場所に最も価値があるように思えます。
常人には見えないものを見る
昨今のYouTubeキラーコンテンツと言えば楽天でしょう。EC、フィンテックが好調ながら、楽天モバイルによる史上最悪の3,800億の赤字、同社幹部による300億の水増し請求、ガーシーによる暴露やNHK党から起こされた訴訟など話題に事欠きません。格付けが下がり、ドル建て実質12%の二年債で700億を調達しましたが、モバイル事業の未来は絶望的に見えます。一方で三木谷氏を希代の経営者にしているのは、不可能を可能にしてきた経営手腕です。楽天経済圏というビジョンと強気の姿勢を支えるパッションは、昨今はやりのパーパス経営などとは一線を画します。常人には見えないものを見るのが真のリーダーであり、投資家の圧力や巷の批判を跳ね返して難局を乗り越えてほしいものです。日本の閉そく感を打ち破れる数少ない企業が楽天だと思います。
レッドオーシャン化の進むサウナ
滞在する那覇のホテルから数分のビーチでテントサウナを見かけました。海開きは目前ですので水温は物足りませんが、海まで数歩のロケーションです。テントサウナの投資額はほぼ無視できる範囲ですから、90分3,000円は高いと思いますが、誰もがこうした立地を活用できるなら、サウナ事業のレッドオーシャン化は一気に進みます。生き残る方法はサウナの構成要素を作り込むことだと思います。サウナ室に求めるのは十分に汗をかけ、薄暗く、息苦しくなく、景色が見えることです。旧呉服屋の袖蔵のサウナ室に、パワーがあり過ぎて今は販売をしていない薪ストーブを置いた結城市のKURA SAUNAが気に入っています。水風呂なら豪快に山の水を引き込んだ野尻湖のThe Saunaや、目の前が清流の高萩市のコアミガメです。外気浴スペースは地平線まで見渡すような開放感が理想で、富士山の存在感に圧倒される富士山靜養園は最右翼でしょう。
我良しの風潮への反発
東京地検特捜部が三浦瑠麗氏の夫を逮捕しました。横領金額が多額で、争う姿勢を示していることから実刑は確実と見られます。同情の声があまり聞かれないのは、自分たちに都合よく解釈する過去の行動が報じられるからかもしれません。豪邸暮らしや軽井沢の別荘、シャンパン片手の日常といった暮らしぶりを、臆面もなくアピールする瑠麗氏のSNSが炎上したことも関係がありそうです。地位財による幸福が続かないように、三浦夫妻の再起も難しいのかもしれません。成功者は概して目立つことを好みませんが、有名になりたい、目立ちたいという承認欲求は、スシロー店舗の迷惑動画と根っこは同じに見えます。日本人は他人の成功に嫉妬し、足を引っ張ると言われますが、それは品のない振る舞いへの反発と紙一重だと思います。今だけ、金だけ、自分だけという我良しの風潮への反発であることを願いたいところです。
20分の1の支出で効果は同等
半袖が心地よい那覇に来ました。花粉症による鼻づまりと思考停止、くしゃみによる体力消耗、この美しい季節を憂鬱な気分で過ごすことを考えると、避粉旅行は必然の旅です。2018年と2019年はハノイ、2020年以降は那覇に来ています。昔ならハノイ滞在の方が安かったのでしょうが、デフレ日本の恩恵により東南アジアへ行くメリットを感じません。航空運賃と3週間の滞在コストは11.5万円で、料金には朝食が含まれ、ほとんど食事はしませんから12万ほどで納まります。グルメも観光もせず、屋外で体を動かし、新規事業のリサーチと以前から取り組みたかった原価管理の本を読む予定です。リトリートの語源は転地療養を指す言葉とされますが、日常生活を離れ異なる気候環境で保養する自然療法は、心身を癒すと思います。豪華なスパなら1泊で12万しますが、20分の1の支出で効果は同等以上かもしれません。
空腹と向き合う
この時期妻は雪山に行くため、一人で過ごす週末は感情に踊らされず、自分の空腹と向き合う機会になります。夕食に何を食べるかではなく、夕食を食べるべきか体と相談します。誰かといると食べることが当たり前に思えるのは、人類が常に集団生活をしてきたからかもしれません。空腹でもないのに食べ続ける現代人の食事は、貧しいものだと思います。オートファジーの発見により、最も簡単で最も効果的な健康法が空腹だと知られるようになりました。断食のメリットを理解していても、普段の食事時間になると食べる理由を探し始めます。そしてひとたび何かを口にすると、どこからともなく沸き起こる食欲で、食べることを止められなくなります。常に飢えていたはずの祖先は、わずかな獲物を分けあい慈しむように食べたと思います。一方で食料が無尽蔵にあふれる現代は、乱暴に食べることが豊かさかのように錯覚させられます。
信者もしくは中毒患者
「儲」と言う字を信者と書くように、宗教の経済的側面はビジネスであり、営利企業との境界はないと思います。営利企業への一定数のアレルギーがあるように、とくにオウム真理教以降の新興宗教に対しては強い批判が見られます。ベンチャー型宗教の雄であった幸福の科学の大川隆法氏の死去により、カリスマの残した教えは手を変え品を変え、これからも商品化されていくのでしょう。企業や宗教が、教祖を神格化、形式化する構造は同じで、一部は私利私欲の利権共同体へと堕落していきます。脅しや誇張によりモノを売りつける所も同じで、後者の場合は死生観、終末論、予言、霊言を重視します。「新興宗教など理解できない」という人でさえ、自分が特定企業の信者もしくは中毒患者にされていることは見落とします。企業にせよ宗教にせよ、参考意見に過ぎない主張を真に受けるフォロワーこそが問題なのかもしれません。
貧しさが人生に10年を追加する
The Blue Zones 2nd Editionを読みました。100歳以上のセンテナリアンが集中する健康長寿地域である「ブルーゾーン」を題名として、2010年に出版された本の続編です。書かれることは今やだれもが知ることばかりで、結局は少食、運動、ストレス管理以上でも以下でもなく、あとは枝葉の議論だと思います。これらの地域は孤島かカリフォルニア州ロマリンダのように、鎖国状態の陸の孤島です。隔離された環境が遺伝子特性を増幅し、赤血球の数を増やし、疫病に対する抵抗力、血栓のできにくい体を作っている可能性があります。概ね厳しい立地が食べ物を限定し、貧しさ故に肉食が減り、生涯屋外で働き、地域の共同体のつながりが強化され、日常に祈りや安息の時間があります。貧しい環境こそが、人生にクオリティーの高い10年を追加するライフスタイルを実現していたとは、何とも皮肉なものです。
河童は存在する?
南米最高峰アコンカグアに挑んだFB友達ともう一人の山友達と食事をしたとき意外だったのは、昨年の夏に見た?河童の話を冷静に受け止めてくれたことです。北アプルス最深部の黒部五郎カールで風雨のなかで会った中年女性がいかにも不自然なのです。1時間程人と会わない悪天候なのに、先を急ぐでもなく登山道を横切るように行き来する挙動が不審でした。挨拶をしても返事はなく顔は人ですが河童を連想させ、少し歩いて振り向くともういませんでした。二人の友人もこの場所を通ったことがあり、何かを感じたと言います。少なくない人が山では不思議な経験をしており、近くの山小屋では河童に声をかけられても返事をしないようにと伝えられます。目の前に起こることが受け入れがたい事実であれ、山に入り自然に溶け込むほど見えざるものを敬い、不思議な力を感じ、存在しないはずの生き物を創造するのかもしれません。