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居住移転の自由

那覇から戻り一週間が過ぎ、今のところ花粉症の症状は出ません。花粉症歴3、40年ですが、鼻づまりによる呼吸困難や思考停止も、くしゃみで肋骨が折れそうになることもなく、美しい芽吹きの季節を屋外で過ごせる素晴らしさを感じます。多拠点居住がヨーロッパのお金持ちに注目をされ始めたのは1960年代で、滞在日数が居住者になる前に出国して合法的に納税義務を回避するパーペチュアル・トラベラーはひとつのライフスタイルになっています。マイナンバーにより節税が困難になると、日本の居住者であることの弊害を避ける動きが増えるのかもしれません。租税回避が目的でなくても多拠点居住は様々な土地の刺激を受けるメリットがあり、人が移動をすれば消費が生じ地方の経済を潤します。日本においては、大日本帝国憲法以降「居住移転の自由」が認められますが、テレワークができる時代に土地に縛られて生きることはもったいない気がします。

自炊は健康の鍵

甘いもの好きの悩みは砂糖の過剰摂取です。人類史において食事を喜びに変えたのは穀物と砂糖であり、ヒット商品には、血液中に素早く吸収される精製された砂糖が欠かせません。砂糖は短時間で疲労を回復させる魔法の薬であり、同時に多くの現代病の原因です。腸内腐敗、骨の劣化、記憶の低下、酵素の阻害、肌の老化など、タバコに匹敵する害を体に及ぼします。血糖値を急上昇させる砂糖を脳は喜び、健康被害を自覚しても止められません。最近のデザートはもっぱら焼き芋や焼きバナナです。オーブンやトースターで焼くだけの手間いらずですが、焼くことで甘味が増し一級品の美味しさです。ケーキ類が食べたいときはYouTubeなどの簡単なレシピで作れば市販のデザートより数段安全で、よく作るティラミスは市販品の5分の1ほどの材料費です。自炊は財布にやさしいばかりではなく健康の鍵だと思います。

家を使い続ける文化

昨日は知的障がい者施設の付き添いで、杉並区井草にある「農福連携農園」に行きました。障がい者や高齢者などに農業に親しむ場を提供する、農業と福祉の連携する施設として2021年に開設され、JA東京中央が運営を行います。いきがいや就労、食育につなげる目的の農園が、環状八号線のすぐ近くにあると思えないのは、2020年まで上井草にあった江戸時代中期の建築とされる農家の住宅部材を活用した多目的スペースがあるからです。かまどのある土間、いろりのある広間、座敷、寝室で構成される「三ツ間取り広間型」と呼ばれる、江戸時代初期から中期にかけて続いた様式の古民家は、区内に現存するものとしては最古とされます。戦後、安易に作っては壊すことで街並みを破壊してきた日本ですが、代々家を使い続ける文化とともに美しい街並みを取り戻したいものです。

ハイリスクな生活習慣

現代最良の健康法は16時間断食だと思います。断食と言いながら、8時間の間に食事を済ませるだけで、我慢を強いられることもありません。メリットの多いこの健康法には問題があり、血糖値スパイクにより食後3、4時間で低血糖に襲われることです。那覇滞在の後半から食生活が乱れ、昨日の昼食には避けるべきトーストを食べてしまい、夕方になって低血糖症状に陥りました。血糖値上昇を抑えるためにサラダを食べたあとにトーストを口にしたのですが、インスリンの大量分泌は明らかです。唯一の救いは、身体の発する警告を自覚できることです。恐ろしいのは無自覚な不摂生で、気づかずにこうした生活を送っていると身体は知らぬ間に蝕まれます。いずれスマートウォッチなどのデバイスにより正確な血糖値や血中酸素、血圧、心拍数を誰もが目にするようになると、ハイリスクな生活習慣を改めるきっかけになるのでしょう。

心身を満たす食べない自由

3週間ぶりに那覇から帰り元の生活に戻ると、時差はないのに一種の時差ボケに似た症状が出ます。朝起きてその日の予定を考えるめりはりのない生活に対して、すべきこともあり時間の制約を受ける日常は、多少疲れるらしく睡眠時間が1、2時間伸びました。睡眠時間が伸びたもう一つの理由は、那覇滞在の後半に魅力的なアメリカンスタイルのスーパーに行くようになったからだと思います。併設のブッフェレストランで食欲を解放した頃から、脳が偽りの食欲にハッキングされ始め、不摂生が始まりました。食べることがあまりに魅力的なため、人は食べる自由を一方的に受け入れて来ましたが、食べる自由はまやかしの自由です。現代人の多くは食べない可能性を試してこなかったために、より少なく食べることで食事と向き合い、味わい、感じるという、心身を満たす食べない自由と人体の可能性を放棄してきたと思います。

閉鎖社会の最適戦略

アステラス製薬の日本人社員が北京市内で拘束されたのは、前中国大使の離任面会を岸田首相が断ったことへの報復でしょう。いつもの対応は手の内をさらすのと同じで、むしろ交渉相手に安心感を与えます。立憲民主党の小西氏が麻布食品との不自然な関係を問われて動揺し、Twitter投稿で墓穴を掘ったことも同様でしょう。自分に正直に生きない人間は、いつでも取り繕う必要があり、その心と虚勢は禍となってわが身に降りかかります。幕末の下田に来たハリスが、日本人を喜望峰以東で最もすぐれた民族と評したのは、身分に関係なく正直で勤勉で質素な生活を目にしたからと言われます。島国日本の閉鎖社会では、一旦信頼を失えばそれが終生つきまとう汚名になり、正直で勤勉に生きることが日本社会における最適な生存戦略と言えます。人をだまし安直に稼ごうとする人間模様が目立つ昨今、まっすぐ正直に生きる日本人の原点に戻るべきなのでしょう。

ムーアの予言

インテルの共同創業者であるゴードン・ムーア氏が3月24日に死去しました。集積回路あたりの部品数が2年ごとに倍になるという指数的成長の将来予測は、ムーアの法則として知られます。この経験則通りにコンピューターの処理能力は飛躍的に向上し、われわれの生活は考えられないほどのスピードで進化しました。この数日、Netflixで米国のドラマを20本ほど見てしまいましたが、20年前なら考えられないことです。テレビがインターネット経由の動画情報に代わり、われわれの脳は与えられた情報に接する時間が増え、一種の中毒症状を起こしていると思います。食生活に関しても、米国の成人人口の70.7%は太り過ぎで、38%は健康に害が及ぶ肥満体であり20年前から倍増しています。一見自由が拡大したように見えるあらゆる進化はムーアの予言をたどり、われわれがより優れた文明化だと思っていた暮らしは、脳の性質を変え始めていると思います。

人生は何とかなる

那覇より日没時間が46分早い東京に戻り、桜の季節に間に合いました。例年最も歩数が多い月が3月なのは花粉の季節に那覇やハノイにいるからで、スマホ計測による3週間に歩いた距離は400kmを超えます。東京にいれば外出を控えますので、新手の転地療法は健康維持の必需品と言えます。沖縄の不動産価格上昇の理由の一つは別荘需要と言われますが、リモートワーク人口が増え、空港アクセスが良く東京に2時間半で出られる那覇は、冬の寒さが苦手な人にとっても理想郷に見えます。首里金城町で見た慶良間諸島を見渡す住宅にエアコンはなく、ヒートアイランドで殺人的暑さの東京より年間を通じて快適です。米国による占領以前は世界に知られる長寿地域で、体をよく動かし清浄な空気を吸い、地域社会の絆が強く、南国特有の抗酸化力の強い食材に恵まれます。人生は何とかなると思える空気が流れる場所は、沖縄を置いて他にはないように見えます。

ほどよく米国らしさが融合した暮らし

自然の近くで暮らしたいが、都会から離れるのも寂しいという贅沢な悩みに応えてくれる都市は那覇でしょう。その魅力は冬でも10℃を切ることがない温暖な気候、南国特有の植生や鳥がもたらすエキゾティシズムによるゆったりとした雰囲気、世界5大ブルーゾーンの一つである料理、信仰と融合した豊かな自然、そして魅力的なローカルスーパーがあることです。昨夜はアメリカンスタイルのスーパーJimmy’s併設のブッフェレストラン、アイランドグリル那覇に行きました。ブッフェレストランにありがちな騒々しさがなく、落ち着いたインテリアの店内は高級感すらあります。ディナーは税込み1,800円で、同等の料理を出す東京の店なら2、3倍の料金を請求される水準です。海が美しく、物価が安く、ほどよく米国らしさが融合した暮らしは贅沢です。問題があるとすれば、食べ物が魅力的で食べ過ぎてしまうことでしょう。

壮絶な戦いを知る

汗をかかない今の那覇は、散歩をするにはベストシーズンです。朝は首里城あたりまで歩き、気が向くと普天間飛行場まで行きます。滑走路進入灯の脇には沖縄特有の大きな墓が残ります。日本の第32軍司令部のあった首里城から普天間まで歩くと、シュガーローフ、映画になったハクソーリッジ、嘉数高地といった激戦地をたどることができます。圧倒的な兵力差に対し、時には相手を圧倒するほどの戦果をあげたのは、固い珊瑚礁地盤に掘削され地下トンネルで接続された洞窟陣地と、丘の味方側に作られた反斜面陣地による持久戦略とされます。これらの激戦地が小高い丘と、川により深く掘り込まれた自然の要害であることが分かります。戦時の面影を残すものはほとんどありませんが、起伏のある地形を歩くと想像をめぐらすことはできます。平和を望むのなら、命を賭して祖国を守ろうとした先祖の、壮絶な戦いを知るべきだと思います。

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