79回目の終戦記念日が過ぎましたが、戦争という邪悪な手段を用いて国境線を変更しようとする人間の愚かさに、進歩は見られません。1943年、独ソ両軍約6,000輌の戦車が戦闘に参加し、史上最大の戦車戦が行われたクルスクの地にウクライナ軍が侵攻したことは、劣勢が伝えられてきただけに最大の賭けだったはずです。不意打ちにあったロシア軍は劣勢とされ、昨年6月にモスクワへ向けて進軍したワグネルの反乱を思わせ、判官贔屓としては痛快です。終戦に向けた交換可能な交渉カードの獲得、ロシア軍の戦力分散、エネルギー確保など、ウクライナ側にとっては一石二鳥の大胆な戦略は功を奏したようです。しかし皮肉なことに、一番の効果は不協和音の聞こえていたウクライナ国内での戦意高揚でしょう。海によって国境線を守られる日本に住むことの幸せを感じずにはいられません。
お知らせ
70年代に帰りたい
銀座のNISSAN CROSSINGでスカイライン2000GT-R(PGC10 型)とフェアレディ(ZS30型)を見ました。国内ツーリングカーレースにおいて無敵の強さを誇ったGT-Rと、当時としては第一級の性能を持ち優美なスタイリングのGTカーは、免許を取得した頃は現役で、往年のレースシーンの残像を持つ最後の世代とも言えます。世界が内燃焼機関に死刑判決を下すような時代が来るとは知らず、無邪気に車やバイクに憧れることができた幸せな時代が70年代の日本でしょう。レース全盛期のヒーローはホンダと日産でしたが、今や両社は電化アライアンスを組む関係です。一方で、トヨタ、マツダ、スバル連合からは、電動化時代の内燃焼機関の可能性を追求する協業が発表され、日本産業のコアコンピタンスであるエンジンに資源を投下する、より現実的な戦略に見えます。豊かであることが必ずしも幸せとは思えないのは、強烈に憧れる対象を持てなくなったからかもしれません。
身を守るために学ぶ
結局、腰痛は「ほぐし方」が9割(佐々木政幸著)を読みました。背骨と筋肉がくっついている境目の筋肉である付着部筋は衝撃を吸収する役割を持ち、他の部位よりも硬く、一番痛めやすい部分だそうです。古くなったゴムのように、硬くなった筋肉は一般的なストレッチなどにより負荷をかけると、かえって腰痛を悪化させると主張します。腰痛本の多くは、レントゲン映像では分からない筋肉の状態に原因があると書かれており、おそらくそれは重要な原因の一つだと思います。こうした本を読むと、書かれていることが自分の症状に思えてきて、人は容易に信じるようになりますが、これほど腰痛本が出ている理由はそれでも治らないからでしょう。腰痛原因の大半がわからない以上、患者が自分の身を守るために学ぶ必要があり、ドクターショッピングが有効かどうかの判断は、結局自分しかできないと思います。
オリンピックより草レース

パリ五輪の日本は金20個、銀12個、銅13個のメダルを獲得し、米中に次ぐ世界3位の快挙です。しかし、オリンピックへの関心が年々薄れ、今年は競技を全く見ませんでした。テレビ全盛時代なら国民が一つのコンテンツで一体化し、国威発揚につながりましたが、もうそんな時代は来ないのかもしれません。スポーツは人々を熱狂させ今でも大量集客できますが、そこに感情移入できないのは、世界のトップアスリートより身近なヒーローにリアリティを感じるからだと思います。唯一関心があるのは、今も競技が続く富山県から静岡県までの山岳をつなぐ世界最長のトレイルランニングレースであるTJARだけです。多少かじったことがあればその大変さとゴールの感動を実感でき、出場者を知る親近感がわきます。公認のオリンピックよりも、アマチュアによる賞金も栄誉もない非公認の草レースに熱狂するのが今の時代なのでしょう。
一年以上も生きられる人体
家人がいない日は食事の回数を減らしますが、最も手軽な健康法は断食だと思います。飢餓を生き延びた人類は、食糧を得られない時に個体を延命させるシステムを備えるように進化しました。食べないでいると生命力を強化するメカニズムが働き、16時間の間欠的断食でも効果が現れます。仮に延命効果がないとしても、次の食事が美味しくなり、胃腸がスッキリすることを体感できます。断食の世界最長記録を樹立したアンガス・バルビエーリは、水分とミネラルのみで1966年7月から382日間断食し、体重は456ポンド(約207㎏)から目標としていた180ポンド(約82㎏)に達し自ら断食を終了しました。これはギネスブックに載る世界最長記録ですが、ギネスでは危険な行動が奨励されることへの懸念から、以後断食に関する記録の受け入れを中止しました。一年以上も生きられる人体は、無限の可能性を秘めているように見えます。
心の時計の針を戻す
身辺をシンプルにしたいのでモノを増やさないことを心がけていますが、今年になってN-VANを買ってしまい、今また別の物欲が沸々と湧き起こりつつあります。半年ほど前に近所にあるヤマハディーラの店頭で、遠目には250ccクラスにしか見えないXSR900を見てから突然バイク熱が再燃しました。16歳から乗り始めたバイクは30代半ばには降りていましたが、80年代を彷彿とさせるネオクラッシック・デザインと、高校生の頃に衝撃デビューしたRZ250を思い出させるカラーリングに心がざわめきます。193kgの車体に120psのパワーウェイトレシオの暴力的加速の痛快さは、日常では起こりえない経験です。悪いことに、ワインディングを疾走するYouTube動画を見ると欲望の炎は燃え盛ります。買う理由があるとすれば、心の時計の針を戻すことで体が若返ることを証明したカウンタークロックワイズ研究にあるように、四半世紀前の自分に引き戻すことでしょう。
地震予知?の影響
今夜の深夜0時に富山をスタートする、日本最長のトレイルランニングレースTJARの大会記録を樹立し、4連覇達成の偉業を成し遂げた望月将悟選手が、昨夜になって出場を見送ることになりました。南海トラフ地震の臨時情報を受け、万が一の事を考えた判断に日本人の生真面目さと仕事への献身さを賞賛したくなる一方、最有力優勝候補の土井選手も同じ消防の仕事をしており、変な圧力がかからないか心配です。尋常ならざる練習、準備をしてきたトップアスリートが、日本最高峰の大会を辞退するのは断腸の思いのはずです。1gでも軽量化したいレース本番の荷物に、万が一に備えて救助用のロープを加え、登山道のゴミまで拾う望月氏の存在は、トップアスリートが人間性においても模範となることを示しています。お盆のかき入れ時に海沿いを中心にホテルや旅館がキャンセルされるなど、地震予知の影響は広範囲に及びます。
自分を確かめる術

株価の暴落がFIRE(経済的自立と早期リタイア)を謳歌していた人々を直撃しているようです。すぐに路頭に迷うことがなかったとしても心穏やかではいられません。妄想をゲーム化した金融資本主義に人々は熱狂しましたが、汲めども尽きぬ欲望と同じで、人間らしい営みからは乖離していくばかりに見えます。社会が作り出した思い込みが、いかに脆弱ではかないものかを知る教訓にすることはなく、喉元過ぎれば熱さを忘れるのが人の世の常なのでしょう。われわれは共同幻想が実在することを証明するために、生涯モノやサービスを買い続けますが、ラットレースを加速させるだけで心の平和が訪れることはありません。不要不急の商品にばかり興味を持つ心の弱さを克服し、本当の自分を確かめる術とされる利他の境地に達することは難しそうです。
社会起業家か僧侶か
小野裕史氏の著書「マラソン中毒者(ジャンキー)」を読みました。東大の大学院からスタートアップ企業のCEO、ベンチャー投資家に転じオーストラリアに移住するという世俗的な成功を手にしながら、2022年10月にインドで突然出家したことはIT業界に衝撃を与えました。マラソンにはまり20kg減量し、北極と南極マラソン、チーム戦で優勝したアタカマ砂漠マラソンに出るなど公私ともに充実しているように見えた人生は、一時は自死を考えるほどの苦悩を抱えていたことは意外です。誰かの幸せのためという純粋な思いでビジネスを始めたはずが、常に売上や時価総額を追いかけ永遠の拡大を求め、効率を追求し、いつも比較にさいなまれ、心を失ったと言います。佐々井秀嶺上人とのインドでの出会いによって、お金を持たなくても社会を変えることができることを目の当たりにし、名声も金も地位も捨て恩返しのために喜捨した選択から目が離せません。
群馬の玉川温泉
草津温泉といえば湯畑に代表される硫黄泉というイメージですが、泉質は8つ程度あるらしく、昨日行った宿はph1.46の強酸性で皮膚に傷があると痛くて入れないのは秋田県の玉川温泉ゆずりです。最近の関心はもっぱらサウナに向かっていますが、他方で明らかな効能を体感できる温泉がいくつか存在することも確かで、そのひとつは草津温泉です。もともとは飲食提供をしていた宿泊施設が食事の提供ができなくなり、安い湯治宿となっているところも見受けられます。良い温泉を引く宿が4、5,000円で泊れるのは利用者にはメリットがありますが、追加投資ができるほどの収益性は期待できず、せっかくの泉質を持ちながら朽ち果てていく姿を見るのは忍びないものがあります。その類まれな泉質と自然湧出泉として湯量日本一の、源泉かけ流しの名湯を持ちながら、単なる湯もみショーで終わり、温泉療法の優れた効能をアピールできていない気がします。