10年前に開業した那覇クルーズターミナルに連日豪華客船が入港します。中心街の年配欧米人比率が上がると、クルーズ船が来たことが分かります。木曜日に入港したRIVIERAは66,172トンで、昔で言えば戦艦大和の基準排水量より2,000トン重く、全長は20m短い239.3mあります。戦艦大和の乗員が3,323名に対して乗客1,250名、乗組員800名が乗れます。25万トンの客船が就航する時代にあっては決して大型船ではありませんが、16階建の巨体は街の遠くからでも見ることができます。伝統的な贅沢の典型だった客船クルーズは、一般消費者に手の届くアフォーダブル・ラグジュアリーになりました。価格を下げるために年々船体は巨大になり、定員数を毎年7%ずつ増やしてきました。夜は大海原で眠り、部屋から出ることなく、苦痛な移動をエクスペリエンス・バリューに変えるクルーズが人気なのは分かりますが、運動もさせずに食べさせ続ける鶏舎のように見えなくもありません。
お知らせ
賢い消費者
命を削って食べるぐらいなら食事を抜いた方がマシ、とうそぶきながら、沖縄のローカルスーパーであるジミーのブッフェに行きました。栄養バランスの崩れを正すため、などと理由をつけて正当化したところで、人間の愚かな欲望を抑えることは困難です。外食店を選ぶ基準は、「命を削ってでも食べる価値があるか」ですが、夜でも1,800円のホテルクオリティのブッフェは、那覇での食事には外せません。客が皿を戻すようになり、料理やデザート内容にも若干のコスト削減が感じられますが、依然バリューであることには変わりません。いかにも近所から来たと思しき年配の一人客が目立ち、意思の弱い自分としては、このような魅力的な店が近所にないことに感謝すべきでしょう。惣菜売り場を覗いてからレストランに入ると、今取った料理の値段をついつい計算して食べ過ぎて後悔します。食べずに後悔するのとでは、後者の方が賢い消費者と言えそうです。
ローカルスーパーが持つ温かみ
那覇に来るとローカルスーパーを覗くのが好きですが、年々中心街からその数が減っています。国際通りの奥にあったサンエーが2年ほど前に閉店し、今年の1月末にはローカルスーパー然とした風情の、ユニオン前島店が閉店しました。元々別の事業者が運営していた店舗ですが、当初はなぜこんな中途半端な立地なのか不思議でした。那覇港泊ふ頭に近いことから、離島便のための船積みをしていたと言います。中心部から地場のスーパーが駆逐される一方、存在感を示すのがマックスバリューです。イオンとセブンアイのメガスーパーが牛耳るようになれば、ローカルスーパーが持つ懐かしさも温かみも失われる気がします。イオンの無人レジは完成度が低いと思いますし、昨日も前の客のアプリ操作がうまくいかず自動精算機がしばらく空きませんでした。スマートフォンを使うレジゴーサービスも、年配客を切り捨てる傲慢さを感じます。
抜いた方がマシ
一日一食なので悩む回数は減ったのですが、旅先での食事には困ります。一見魅力的な食べ物ほど体に悪く、一方で先日の栄養指導を受けてから、糖質制限を再開したので定食屋さんも避けたいところです。自炊がベストですが、調理道具や調味料の問題があります。いかにも生業的な店で売られる惣菜は、一品が100円からと値段も良心的なうえに日替わりで品数も多く、健康リスクが低そうです。滞在している宿は、那覇のアーケード街で一番よく使う大平通り商店街の真横にあり、昭和の趣を今に残すディープな店で買います。パパイアのサラダ、ニンジンシリシリ、ゴーヤチャンプル、うむくじ天ぷら、金武町の田芋を使った郷土料理のスィーツなどで一食が500円ほどで済んでしまいます。アンチエイジング界のカリスマ、南雲吉則医師の栄養指導を受けてから、命を削って食べるぐらいなら抜いた方がマシと思うようになりました。
最高のサウナ体験
花粉の季節に来る那覇には定宿もありますが、今回は初めての場所に泊まります。カプセルベッド3個分のスペースを1室にして、ライティングデスクや40型モニターが入る必要十分な部屋ながら、1泊3,000円です。国際通りや公設市場に続くアーケードにあるビルをコンバージョンしたもので、最上階に大浴場とサウナを持つことが選んだ理由です。サウナはロウリュができませんし、水風呂を冷やすチラーもありませんが、アーケードを見下ろす外気浴スペースがありこれで十分です。昨今のサウナブームにより、水風呂の深さや水温がどうの、サウナハットがどうのと、妙にこだわる人が増えましたが、こだわるべきは自分の体との対話だと思います。最高のサウナ体験を得るには、自分の体が発する脈拍などのリズムに注意を傾け、適切なタイミングでサウナ室を出て、ベストなタイミングで水風呂から上がり、十分な外気浴をすることだと思います。
合理的な避粉地ワーク
花粉症の特効薬は花粉を避けることであり、那覇に来ました。この時期の那覇は天候が安定し、半そでで過ごせるために荷物も少なく、晴れた日でも汗をかくことがありません。花粉の時期、ハノイにも2度行きましたが、東京からの近さや1万円少々の航空券代を考えると那覇は手ごろな避粉地と言えます。オンラインミーティングが当たり前の時代になりましたが、コロナ前に行った香港のゲストハウスのラウンジでは、働きながら旅をしていると思しき外国人が大半でした。オフィスに行かないと安心できないのは日本人の性かもしれませんが、転地療法のように場所を変えることで脳は活性化されます。那覇の中心部は拍子抜けするほど観光客が少なく、物価も以前と変わりませんので、多少なりとも生産性が向上するのであれば、避粉地ワークは合理的と言えます。
カリスマによる啓示
アンチエイジング界のカリスマ、南雲吉則医師の栄養指導を受けました。氏の著書の方法で体重は25kg以上落ち、以来10年が経過してもリバウンドはありません。健康状態は良好ですが、ビタミン、ミネラル、タンパク質、必須脂肪酸の栄養状態は問題山積です。中途半端に食べている米を半減し発芽玄米に切り替える、砂糖厳禁、タンパク質を増やす、オメガ9のオリーブオイルを減らすなど、別段目新しい助言はありませんが、データに基づく栄養解析には説得力があります。にわか知識の健康オタクとは違い、広範な知識に裏打ちされた医師の助言は信頼できます。一方で、的確な栄養指導ができる医師は少数です。お金を払う価値があることとは、自分の生活を変えてくれることですが、多くの人は病気になり医師に脅されて初めて生活を変えようとします。病気になる前に生活を変えるためには、カリスマによる啓示が必要かもしれません。
東北が世界に飛躍する
訪日客のウィンタースポーツ熱で追い風を受ける日本のスノーリゾートですが、深刻な雪不足によりスキー場の倒産が過去10年で最多になると報道されます。3月に入っても寒い気温が続く一方で、雪不足を背景に経営難に陥るスキー場が増加しているようです。全国約300カ所のスキー場のうち、過半数が3月中までの営業を予定していましたが、2月までに営業を終了したり、ゲレンデの一部をクローズする対応が目立ちます。日照時間が短くビタミンD合成が不十分な冬場の日光浴として、ウィンタースポーツは最適ですが、降雪機などへの追加投資ができないスキー場にとって、営業継続は困難でしょう。世界の北半球においても雪の降るエリアは縮小しており、今まで脚光を浴びる機会の少なかった日本の東北以北のエリアなどが、世界に飛躍するチャンスが訪れているのかもしれません。
花粉症になれて幸せ
花粉症の症状が本格化してきました。1963年に始まったとされる花粉症の有病率は年を追うごとに増加し、2019年には49.2%に達しもはや国民病と言えます。花粉症は人体の免疫が作り出す糖タンパク質IgEが、抗原となるスギ花粉などを攻撃することにより生じます。戦後になって回虫の感染率が下がり、寄生虫排除に使われていて余剰となったIgEが、代わりに攻撃を始めたのが花粉とされます。われわれを苦しめていると思っていた花粉症ですが、東京大学の研究グループによると、全疾患の死亡リスクが43%低下することが報告されています。さらにガンの死亡リスクに至っては52%も低いとされます。花粉症に限らずアレルギー疾患を持つ人の20年後の脳腫瘍になるリスクが半減するという研究もあります。免疫の過剰反応であるアレルギーは厄介な自己免疫疾患ではなく、免疫亢進によりガンなどを防いでいる可能性が指摘され、今は花粉症になれて幸せだと思えます。
撤退の機会
2017年に栃木県那須町で起きた高校山岳部員7人と教員1人が亡くなった雪崩事故の論告求刑公判で、教諭ら3人に禁錮4年が求刑され結審しました。7年前の出来事ですが、季節はずれの大雪が降ったこの日のことはよく覚えています。3月に大雪が降ることは地元では知られていますが、前日からの降り方は異常でした。事故当日の朝、ラブラドールと散歩に行きましたが、事故の起こる3時間前の午前5時半過ぎに旅館の前で撮った写真を見ると、前日の同じ場所の写真との積雪量の違いが明らかです。氷点下1度の無風で寒くは感じなかったために、雪上歩行訓練をしたくなる気持ちも分かります。しかし事故現場となったのは、新甲子温泉から車で20分ほどの場所にあった、山頂直下の自然環境の厳しいスキー場上部の急斜面です。降雪量の異常さは誰もが感じたはずで、撤退の機会を逃したことが悔やまれます。