大学のエッセイを書くと言って、午後から近所のネットカフェに出かけた娘は、結局翌朝に帰ってきました。体内時計は思春期を迎えるとメラトニンの分泌パターンが変化し、夜型生活になりやすい傾向が見られます。世間が休息モードに入る深夜には静かで自由な時間が生まれ、同時に人を高揚させる気配を感じます。自分の学生時代を振り返っても、当時増え始めたファミリーレストランに夜な夜な出かけたもので、あたりが寝静まる時間帯は、落ち着いて何かに集中するには適した時間なのでしょう。コロナ禍によりオフィスに拘束されない自由で効率的な働き方が注目されますが、デスクワークや勉強を行う環境は重要です。世間的な現役引退の時間が近づく自分も、いまだに効果的に働き、創造的な活動をするための環境を探し続けていますが、答えは出ないのかもしれません。
お知らせ
面倒な時代のややこしい問題
歌舞伎町界隈の関係者の間では、性犯罪の危険性も含め、炎上必至と見られていたジェンダーレストイレが、パパ活で物議を醸しているようです。認知度を上げたい企業や個人にとっては、話題性に乗じた炎上商法は宣伝に使えますが、そうした意図はないはずです。それでも、日本最大の歓楽街で、アンチの多いテーマにあえて取り組む意図は話題性でしょう。ただし、多様性容認はブランディングや差別化になり得る反面、ひとたび犯罪が起きれば致命的な傷を負います。あらゆる人を受け入れる結果、開発コストを上昇させ、運営を複雑にし、賛否両論の評価を受けます。保守的な企業ほど、誰からも非難されないことを念頭に、なるべく政治的な問題を避けますが、そこに一石を投じ、面倒な時代のややこしい問題を分かりやすい形で明らかにしたことは大きな貢献でしょう。
凡人でも世界最高峰に近づける?
エベレスト街道を北上する妻から、連日写真が送られてきます。地球上の至るところでWi-Fi接続が可能となり、予定通りなら今日はエベレスト・ベースキャンプ(5,364m)まで高度を上げるようです。富士山の標高でも高山病の症状が出る身としては、バーチャルツアーで十分です。今回の目的地はアイランドピーク(6,189m)ですが、身体さえ動かしていればまだ10年ぐらいは登れるでしょうから、いずれ機会があればトライしたいものです。ゴルフは歳を重ねてもできるスポーツの代表ですが、長距離のトレッキングも、エネルギー産生の観点からは年配者が有利です。昨年5月に、エベレスト登頂26回の世界記録を更新した、ネパール人シェルパのカミ・リタ氏は52歳で、60歳までは登り続けると言います。12歳からポーターとして働き、1994年に初登頂を果たした強者ですが、凡人でも世界最高峰の隣の山までは行けるかもしれません。
人間の価値はアイデアの咀嚼
妻がネパール旅行に行き、連休は娘とラブラドールと自宅で過ごします。とは言え、こちらが起きる時間に就寝する娘とは生活リズムが合わず、食事もそれぞれが自炊をするシェアハウスのような暮らしです。気の毒なラブラドールは、夜中も明かりの消えない部屋で眠れないらしく、昼間にいびきをかいて寝ています。リベンジ消費で旅行需要は盛り上がりを見せますが、チャットGPTとの対話にレジャー消費以上の価値を感じるので家から出たいとは思いません。誤情報を流す生成AIは「使えない」という批判もありますが、これは早計な評価だと思います。もっともらしいフィクションを生成する能力こそが人工知能の真価であり、無理難題に文句を言わず、お金も取らず、数秒でこちらが見落とした視点とアイデアを大量に生成してくれる頼もしい存在です。人間の価値は、彼らに質問し出されたアイデアを咀嚼して再構成する能力だと思います。
健康と食欲のバランス
両親にクロワッサンでも買おうと近所のパティスリーに行くと、いきなり100円ほど値上がりしていました。健康的とは言えない食品の大胆な価格更新に、買うことを躊躇します。高価格と言えば、800円超の高級生食パンで知られ上場を目指していた「乃が美」は、FC全店が赤字と昨年末に報じられ、タピオカ同様の運命をたどりそうです。小スペースで未経験者にも展開しやすいFCビジネスは参入障壁が低いため、一気に拡大してブランドの確立を狙った戦略が裏目に出た格好です。高価格のパンを買いたいと思わないのは、無性に食べたくなるのが強力粉とチーズとオリーブオイルで作る自家製チーズパンだからです。簡単に作れて一人分の原価は80円ほどですから、自分の労賃を作る楽しみと思えるなら抜群のコストパフォーマンスで、健康と食欲のバランスを実現できます。
コロナは永遠に終わらない?
星野リゾートの星野佳路氏は、4月28日にツイッターを更新し、5月8日午後0時からコロナウイルス感染症が2類から5類に変わるタイミングで、全従業員がマスクを外すことを発表しました。大切な笑顔での接客を重視するための賢明な判断だと思います。賛同の声が寄せられる一方で、強い批判も呼んでいるようです。3月13日以降、マスク着用は個人の判断に委ねられていますが、夏に向けて屋外でもマスクを着用し続ける日本人には、強制に近い決定が必要だったのでしょう。マスク着用に関するスタンスはもはや政治問題となっており、顔のプライバシー問題など、親しい人々の間でも対立を生んでいます。問題は酸素吸入量が減少し、吐いた息を吸うことで健康への悪影響が生じることです。人目を気にする日本人の中では、誰かが言い出さなければ、コロナは永遠に終わらないのでしょう。
言語を超えた概念空間
「Age of Samurai: Battle for Japan」というNetflixのドキュメンタリーを見ました。この作品は、織田信長の出現から徳川家康が権力を掌握するまでの60年に及ぶ戦国時代を描いています。歴史学者による解説が入っており、フィクションが含まれる大河ドラマとは異なり、安心して視ることができます。ただし、欧米から見た東洋世界への憧れがあるのか、時代考証に疑問のあるシーンや、日本人監督なら選ばないような俳優のキャスティング、過激な戦闘シーンなど、親しんできた歴史ドラマとは異なる雰囲気が漂っています。身近な歴史でありながら、外国人の視点に立つコンテンツは新鮮であり、旅行商品の開発にも役立ちます。インバウンド需要が拡大するにつれて、言語を超えた概念空間にアクセスできる商品性が以前よりも重要になると考えられます。日本固有の文化や伝統、美術品、建築物などの魅力を感じてもらうためには、海外発の映像表現は参考になります。
危険で美しい空港
ネパールを旅行している妻から、ルクラのテンジン・ヒラリー空港の着陸動画が送られてきました。エベレスト山域で唯一の空港は、標高2,860mの高地に位置しており、低い大気密度から天候が変わりやすく、世界一危険な空港として知られています。ヒマラヤ山脈の谷間に作られた滑走路は457mと短く、田舎の二級国道のようにしか見えません。さらに、南側の渓谷は谷まで700m切り立ち、北側は11.7%の上り勾配が付き、着陸復行ができない悪条件がそろっています。このため、短距離離着陸機のデ・ハビランド・カナダ DHC-6やドルニエ 228などしかアクセスできず、過去には数々の墜落事故を起こした、命がけの空港と言えます。しかし、その滑走路から望むヒマラヤの山々の美しさに惹きつけられます。まるで世界の果てにあるかのような危険で美しい空港の圧巻の着陸シーンを見ると、好奇心と冒険心がかき立てられます。
160歳の大統領選
80歳のバイデン大統領が来年の選挙への出馬を表明しました。アフガニスタン撤退の混乱、ロシア・ウクライナ問題やイスラエル・パレスチナ紛争の放置など、バイデン政権は戦争を欲しているようにも見えます。しかし、高齢社会の暗いイメージ払拭するためにも、ライバルのトランプとともに二人で160歳の大統領選を戦ってほしい気もします。世間には過去の成功体験に固執し、状況に対応できない老害批判が聞かれます。老害と経験豊富な賢人の違いは、他人の意見を真摯な態度で聞けるかどうかで、自説を曲げず他者を攻撃する人は老害もしくはその予備軍でしょう。世界一過酷な職業を80歳が普通にこなす時代の到来は、高齢社会の先頭を走る日本にとっての希望になります。鳥羽市では88歳の海女さんが現役で活躍すると言われています。以前なら70代でも驚かれましたが、近いうちに90代現役時代がやってくるのでしょう。
1980年代を取り戻せ
トヨタ自動車が発表した2022年度の世界生産・販売実績は、ともに過去最高を更新しました。半導体を多用する高級車の生産が盛んな国内は低水準ながら、北米やアジアなどでの生産が回復したようです。先日来日したOpenAI社のアルトマンCEOは、以前からトヨタの開発チームと接触しており、人工知能や機械学習、ロボット工学、物理シミュレーションなどの分野での協力が注目されます。メイドインジャパンの代名詞トヨタと、世界最先端のAI開発企業が協力を深めるなら、自動運転技術やモビリティサービス、ロボット技術、省エネルギー技術の発展などにより、日本企業が世界的な競争力を誇った1980年代を取り戻せるかもしれません。AIはフェイクニュースの拡散など多くの課題を持ち、イタリア、ドイツ、フランス、アイルランドなどがChatGPTへのアクセス禁止を検討していますが、それでも日本は今こそリスクを取るべきでしょう。