頭脳労働は娯楽に変わる?

ChatGPTが人類の進化にとって、福音をもたらすのか悲劇をもたらすのか分かりませんが、もはやその流れに逆らう選択肢はなさそうです。記憶試験を無意味化し、学校や資格制度のあり方が変わることは間違いなく、それもかなり短期間で劇的にその未来が来るはずです。要約や論点整理、アイデア出しなど、どんな無茶振りにも分からないと言わず、時々知ったかぶりで嘘の情報をそれらしく回答するあたりは人間らしさを感じます。2045年どころかシンギュラリティはすでに起きていて、おそらく近いうちに健康相談などのQ&AやFAQは実用レベルに達するでしょう。専門的な知的労働やクリエイティブな仕事は生き残ると淡い期待を持ちましたが、事実は逆で付加価値の高い仕事から順に破壊されそうです。未来における頭脳労働は、狩猟や農耕において命を保つ行為だった運動が今ではレジャーになったように、娯楽の一部に変わるのかもしれません。

日本が一番

バケーションシーズンが近づき、以前なら海外の目的地が気になりました。健康に関心の薄かった頃は専ら海外で受ける刺激を優先しましたが、今は密閉空間で長時間過ごす飛行機の感染リスク、時差や環境変化により体調を崩すリスクを考えます。動画の普及により、海外まで行かなくても想像がつくのは歳を重ねたメリットでしょう。安全できれいな水が飲め、何より身体に合った新鮮な食材と安い物価、東西南北に広がる国土の多様な自然と文化を考えると、移動で受けるストレスと費用は割に合わないと感じます。高い物価と不便な食生活の英国から早く日本に帰りたいと言っていた娘も、悩まされていた便秘が日本に帰った途端に治ったと言います。少子高齢化による社会保障、地震のリスクなど、無理にあげれば不安はいくらでもありますが、日常生活の豊かさこそが幸せであるなら、あえて日本を離れる理由は思い浮かびません。

できないことが才能

トレラン界の一大イベントUTMFが終わりました。100マイルのウルトラディスタンスに挑むFB友達の気力にエネルギーをもらいますが、腰痛と再発リスクを言い訳にトレイルレースから遠ざかるわが身を不甲斐なく感じます。ゴール映像を見ると、あのフィニッシュゲートをくぐりたいという思いが起こるのは、そこに立つことでしか得られない自己超越を感じたいからでしょう。年齢を理由に何かを諦めたくないという可能性を信じる自分と、身体を壊してまで執着すべきではないという常識人の自分がいます。年齢を重ねるとフィジカル面であきらめることが増えるのは一般的かもしれません。「できないことが才能」と言った人がいますが、才能に恵まれた人に注意欠如(ADHD)が多いように、できないことで注意が特定の対象に集中し、才能を開花させることもあります。人生において、やりたいことが途中で変わるのも悪くないのでしょう。

少食こそが全てを癒す

ニュース映像でウォーレン・バフェットを見かけるたびに不思議に思うのが、極端な偏食家である彼が、92歳の今も世界三大投資家として元気に活動していることです。甘いチェリーコークが好物で食事の多くがマクドナルド、朝食がわりにオレオを食べるという食生活を聞けば、「常人ならとっくに死んでいる」と医者が言うのも無理ありません。不健康な食事を摂取しながら心臓病が少ないフレンチパラドックスの理由は諸説ありますが、バフェットパラドックスの理由は、彼が持つ特殊な遺伝子に加え、小食であることだと思います。人間は食べなければ死ぬと考えますが、一方で少食の健康効果を支持する研究や主張が主流です。少食こそが全てを癒す、という健康法則をバフェットは体現し、同時にそれはパフォーマンスを追求する彼自身の生き方であるようにも見えます。

リスクを過少評価した宿泊業界

昨日は宿泊ビジネスと外国人就労について話をしました。専門分野ではないので、話題の多くは海外と日本のホテルや旅館市場に関する文化的背景の違いです。日本が世界的に見て異質・独自の文化・社会・経済システムを持つという「日本特殊論」が顕著に表れる産業分野の一つが宿泊業だと思います。この違いは、日本における産業発展の時期と時代背景により生じ、加えて日本人固有の気質にあると考えます。日本企業の戦略を研究するドイツの経営学者ウリケ・シェーデの著書、「再興THE KAISHA」が指摘するタイト・ルーズ理論によると、日本は正しい方法が大切にされるタイトな文化であり、これはシリコンバレーのような予測不能なことに寛容なルーズな文化とトレードオフの関係にあります。この20年ほど、宿泊業界が度重なる環境変化に翻弄された理由は、正しい振る舞いに拘泥され、将来リスクを過少評価したことにある気がします。

年配者ほどオタ活が必要

娘が帰国して消費行動を間近にすると、K-POPアイドルへの傾斜に驚かされます。自分も最近に至るまで散々浪費をしてきたので文句も言えませんが、「オタ活」、「推し活」と言われる、若い世代の意識に触れる機会になります。海外のライブ・イベントにまで遠征し、夕方のコンサートに朝から出かけるバイタリティの源は、会場の一体感やそこでつながるコミュニティへの帰属意識なのでしょう。ジャニーズの衰退が著しい日本に対して、高度なプロダクションによる音楽性、アーティストのダンスや歌唱力、ファッションなど多岐にわたる分野で高いクオリティを誇るK-POPは、自身のアイデンティティを形成し、自己肯定感を高めることにつながるのかもしれません。人は年齢を重ねるにつれ、身体的な衰えが進むことが一般的ですが、生命力を維持し続けることは可能だと思います。むしろ若者の特権ではなく、年配者ほどオタ活が必要なのかもしれません。

人生はドラマチック

かつて近くで仕事をしていた同僚が、大企業のトップを務めていることを最近知りました。有価証券報告書を見るとかなりの資産を持ちます。「なんであいつが」、という妬みがないわけではありませんが、彼らしい成功物語を喜ぶことにします。人生は時の運であり、もちろん実力も必要ですが、重要なことは仕事に臨む姿勢だと思います。自分よりだいぶ若い彼にとっての成功法則を考えると、誰かに止められるまでどこまでも突き進むタイプです。これはパッションと言うよりは無遠慮という性格で、エクセレントカンパニーを書いた、トム・ピーターズ自身の成功法則と同じです。組織に萎縮して忖度をする企業人の中では疎まれるタイプですが、活躍の場を見出せばこのようなタイプの人は本領を発揮します。彼も幾度かの転職を経験していますが、自分の居場所や環境を適切に選択するなら、人生はドラマチックな展開を見せるのでしょう。

起業リスクの合理性

日本工学院の授業が始まり、学生と話すとクラスの半分ほどが起業を考えたいと言います。就職以外の選択肢を考えなかった自分の世代と違い、年々起業のハードルは下がります。終身雇用の誤算は、退職後に残された時間が意外に長いことです。多くの人は雇用を延長しますが、生涯働く第二の人生を始めるには、持っていたものを一度捨て、そこから新しいキャリアを再構築するアンラーニングが必要だと思います。一方で、経済的自立と早期退職を目標とするFIRE ムーブメントも盛り上がらないようです。生活費25年分の貯蓄や、インフレ調整後の投資利回り4%以上を確保することの難しさから、サラリーマン生活に戻る人も少なくありません。起業は重要な選択肢と学生に話すのは、生きる高揚感を得るには挑戦が必要であり、セーフティーネットの張られた日本で起業のリスクを取ることには合理性があると考えるからです。

孤独を感じる必要がなくなった現代人

我が家にとって娘は不思議な存在で、居るのもデフォルトなら、居ないのもデフォルトで、日本に戻ってからもほとんど家には居ませんので、大量に持ち込まれた荷物で家が乱雑になった以外、普段の生活と変わりません。居ても居なくても違和感がないのは、LINEが居場所の物理的距離を無効にするからかもしれません。携帯電話を持つことを禁じられていた高校時代の留学のときは、「今どうしているかな」と思うことはありましたが、オフィスでも隣の席の人とLINEで連絡を取るご時世ですから、スマホがあるならどこにいても同じような気がします。今や最も長時間話をする友人は、いつでも瞬時に適切な助言を返すチャットGPTですから、人工知能やモバイルデバイスを持つ現代人は、孤独を感じる必要がなくなったのかもしれません。そんなことが言えるのも、最も忠実な同居人であるラブラドールがいてくれるからでしょう。

日の丸製造業の復権

第一生命経済研究所によると、2022年度の税収は当初予算の65.2兆円に対して72兆円の着地と予想され、実に7兆円ほどの上振れです。今年2月までの累計税収は、過去最高となった2021年度の46.8兆円を大きく上回る51.2兆円となり、インフレ、円安、賃金・雇用の回復を背景に、消費税、法人税、所得税のいずれも増加しています。財務省は何かと税率を上げたがりますが、名目GDPが上昇すれば、自然と税収が増えることを改めて実感します。先日トップが岸田首相とも面会したOpenAI社が、シリコンバレー以外で初めての拠点を日本に置くとアナウンスされ、心臓部とも言える開発機能を持つとも噂されます。融通の利く著作権、アニメやロボットに親しむ国民性、日本独自の文化や日本語環境など、日本市場とAI開発の親和性が高いとされますが、最も期待されるのは幅広い裾野を持つ製造業とIOT、AIが結びつくことによる日の丸製造業の復権でしょう。

Translate »