巷では老後2,000万円問題が再燃しているようです。この問題がしばしば浮上するのは、金融商品を売るためのキャンペーンだからでしょう。高齢社会における課題の多くは、老後という発想にあると思います。老後発想が出てくる理由は、定年退職による長い無収入期間が続くからです。定年退職を卒業などと美化したところで、実態は年齢を理由とした強制解雇です。収入ばかりではなく、仕事により曖昧にされてきた生きがいまで失うことで、描いていたような悠々自適の生活とは程遠い、社会からの疎外感を受ける人もいます。人生にはお金も時間も必要ですが、同様に生きがいが必須です。貯金より貯筋といったところで、いきなり運動を始めるハードルは高いですし、生きがいを探すことはさらに困難です。リンダ・グラットンのいうライフ・シフトを実現するには、組織を利用して自己実現をする、面従腹背的な器用さが求められるのかもしれません。