
5月の連休から本格的に営業を始めてはや1カ月。経営としては順調とは程遠い滑り出しで、こんな小さな旅館ひとつ黒字化目途を立てられない自分に歯がゆさがあります。しかしそれは組織勤めが長かった人間の典型的な勘違いで、今更ながらお金を稼ぐことの難しさを実感しています。
理想をいくら掲げたところで、食べていくことが最優先です。理想と現実の間をさまようぼくを見て、まわりの経営者は「あせらない方がよい」と助言してくれます。長期的な視点から理想を実現できないのなら起業などする意味がありません。そのときは勇気づけられるのですが、請求書と減っていく預金残高をみるとまた不安が襲ってきます。それでもぼくが踏みとどまれるのは、この事業を始めてから親交を深めるようになった多くの人の惜しみない助けがあるからです。
そしてもう一つは、名カウンセラーのラブラドールとのマインドフルネスな森への散歩です。カウンセラーに言葉など要りません。二人だけの森で、じっと見つめて話しを聞いてくれるだけでよいのです。

今朝は4時5分に宿を出発して那須連山の最北端とも言える大白森山(1,639 m)をラブラドールと目指しました。剣桂神社で安全祈願をしたあと4時40分には甲子温泉の大黒屋を通り、甲子山分岐を抜けて甲子峠には6時に着きました。甲子温泉からの九十九折りを抜けて稜線に出ると途端に気温が低下し真冬の寒さです。手の感覚がなくなり、尾根に出ると体を持って行かれるほどの突風で、今日は無理せず甲子峠で引き返すことにしました。さすがに東北の山です。6月でこの寒さは想定外で、手早く朝食を済ませて早々に下山しました。下山は甲子峠から甲子温泉大黒屋までが52分、そこから新甲子の宿までが30分です。甲子峠に抜けるトレイルは良く整備されておりトレラン練習に最適です。熊の出没情報の多いこの稜線で普段は全く吠えないラブラドールが野太く吠えました。熊と遭遇したのかもしれません。下山道もトレランの練習に最適です。規則正しい呼吸と一歩一歩に集中することである種の疑似瞑想体験ができそうです。「肩にザックが食い込むな」などと思った瞬間に気の迷いを戒めるように木の根や石に足をとられます。トレランのような動的瞑想がぼくにとっては最良の精神修養です。


今朝は宿を7時に出てラブラドールと赤面山に登りました。夏を思わせる蝉しぐれのなか美しいブナ林を抜け高度を上げていきます。ペーサーのラブラドールは小さな体のどこにそんなエネルギーがあるのかと思うほどのタフさでぐんぐんと登っていきます。沢を渡った登山道入口に7時半、那須甲子青少年自然の家と山頂の中間点に7時50分、赤面山山頂(1,701m)には8時35分に着きました。先週通ったスキー場を通らずに直登したために若干時間を短縮して宿から山頂まではスピードハイクのペースで1時間35分です。


