普通に美味しい

カツ丼が好きですが、ほとんど外食をしなくなり食べる機会が減りました。例外は会津に来た時で、会津と言えばソースカツ丼という刷り込みがあるためか、昨日も食べました。ソースカツ丼の起源については様々な発祥地説がありますが、確かなのは大正から昭和初期にかけて全国で同時多発的に広がったことです。新宿区の早稲田鶴巻町で大正年間に創業した洋食店のヨーロッパ軒は有力な発祥説の一つですが、昨日行った昭和23年創業の、元祖煮込みソースカツ丼の店なかじま(会津若松)は、当時は洋食屋だった中島食堂の先代が発案したソース味で卵とじにした煮込みソースカツ丼で知られます。明治30年代の甲府のそば店とされるカツ丼の起源と、B級グルメの代表格とみなされるソースカツ丼はほぼ同時期に始まったことになります。元祖や老舗が喧伝されますが、結局は何を食べても普通に美味しいという以上のものではありません。

卓越した立地?

昨日は大月に出講する今年最後の日で、帰路奥多摩のNIPPONIA小菅源流の村と、JR東日本が出資する沿線まるごと㈱が展開するさとローグ青梅(Satologue Ome)鳩ノ巣棟を見ました。NIPPONIAは全国31地域に167棟を展開しますが、JRの事業も地域の魅力を再発見し、住民とともに運営を行います。さとローグは現在レストランとサウナのみの営業ですが、来年春には宿泊棟が加わります。地方創生モデルとしてJRが全国に展開する最初の施設として、様々なメディアで紹介され視察にも料金を徴収しますが、施設へのアクセスは問題になりそうです。崖に張り付く狭い土地に下る道は軽自動車でないと通行が困難です。60年ほど前まで養魚場が営まれた敷地全体に水路が巡り、ワサビ田のほか、サウナの水風呂には川の天然水が引かれます。正直なところ、取り立ててよいロケーションとも思えないのですが、養魚場跡で水が豊富なことを卓越した立地として評価したのでしょう。

サウナ界のイノベーション

日立市の「3UN 茨城一番の極熱サウナ」でウィスキングを受けました。北欧仕込みのウィスキングと、インド政府公認セラピストによるアーユルヴェーダを組み合わせたプログラムは4時間半に及びます。と言っても多くの時間は気持ち良さのあまりに寝落ちして意識を失いました。ホットヨガのような発汗による充足感と、氷点下に冷え込むこの時期、屋外のサウナ小屋で受けるウィスキングは、ラグジュアリーホテルのスパ以上の贅沢かもしれません。サウナとウィスキングとアーユルヴェーダの組み合わせには、サウナ界のイノベーションを感じます。1か月煮込んだアーユルヴェーダオイルは5分で骨髄に到達すると言い、翌日ストレッチに行くと、いつになく関節がよく動くとトレーナーに言われました。施設依存のサウナの時代は終わり、自然やセラピストによる施術を組み合わせることが、サウナが生き残る道だというのが最近の結論です。

手の届く幸せ

昨日はグランドエクシブ那須白河ザ・ロッジに宿泊しました。白河の宿泊施設としては最もグレードが高く、今後ともこのクラスの施設が作られる可能性は低いでしょう。日本離れした高い天井高を持つロビーは豪壮ですが、最も目立つ場所に造花を置く感覚は理解できません。ホテルが造花を使い始めるとつぶれるというジンクスが業界にはありますが、細かな不満など、和洋ともに品数豊富で魅力的な朝食ブッフェがついて8,000円少々で泊まれる今の時期なら、文句を言うのは野暮でしょう。普段は朝食を食べませんが、豊富な料理を前に避けているパンまで食べてしまい、同様に食欲をそそる和食には手がまわりません。同業者としては喜べませんが、手の届くアフォーダブルラグジュアリーをたまに手に入れるのは、庶民のささやかな幸せです。満点の星空を望む豪華な露天風呂につかっていると、平和な日本に生まれたことに感謝します。

自然と調和する暮らし

先日行った紀伊半島が、関東の住人にとっては秘境に思えるのは、東京から遠く伊豆半島より巨大だからです。明け方に運転していると1時間ほど車とすれ違うことがなく、車道でイノシシや鹿の群れと遭遇します。暗闇の山中で車を停めて星を眺めることも、都会暮らしにとっては非日常の贅沢です。新幹線誘致の看板も見かけますが、願わくば秘境のままでいて欲しいと思います。地方創生の時代こそ、日本を均質化するのではなく、むしろ田舎が持つ希少性を際立った強みに磨き上げるべきでしょう。紀伊半島の先端に近い、それほどメジャーとは言えない神社仏閣にも欧米のインバウンド客を見かけますが、簡単に手に入らないものこそ、有難く価値につながるのかもしれません。里山を背景にする古民家や美しい庭を見ると、それだけで幸せな気持ちになりますが、自然と調和する暮らしこそ世界に誇れる気がします。

美しさが引き立つ

岐阜県のかかみがはら航空宇宙博物館で、旧帝国陸軍の三式戦闘機「飛燕」を見ました。川崎航空機が開発・製造を行った戦闘機で、3,150機が生産されましたが、現存するのはこの1機のみです。メッサーシュミットやスピットファイアに通ずる美しい機体を実現できたのは、ダイムラー・ベンツからのライセンスで製造した、日本で唯一の液冷エンジンを搭載したからです。このエンジンをめぐっては、海軍側の愛知時計電機と、陸軍側の川崎航空機がそれぞれ50万円を払い、日本として契約をすれば半分で済んだとドイツ側の失笑をかったエピソードでも知られます。V型のエンジンは通常シリンダーヘッドを上に向けますが、このエンジンがシリンダーヘッドを下に置くのは、おそらく機関砲を搭載するためでしょう。兵器こそ究極の機能美をもたらすもので、塗装や展示の光加減が重要であり、無塗装がデザインの美しさを引き立て迫力があります。

庭の時代の建築

今さらですがラコリーナ近江八幡を見ました。営業時間前でしたので、見たのは外観だけですが、それでも世界を見据える美しさと迫力に圧倒されます。イタリア語で「丘」を意味するLa Collinaは、イタリアの建築家、ミケーレ・デ・ルッキ氏の人と自然が融合した場所というインスピレーションに、自然建築デザインの藤森照信氏の設計が加わる幸せな結婚だと思います。かつて隈研吾氏はジェフリー・バワを「庭の時代の建築家」と呼びましたが、独特の世界観を持つ藤森建築は理想的な庭を得たことで完成したのでしょう。50年、100年と歳月を重ねながら、実り豊かな森の中に人の暮らしが融合することこそがあるべき姿であり、日本の里山の美しさ、棚田の美しさに回帰すべきという妄想が膨らみます。もはや建築家のアーティスティックなエゴなど不要なのかもしれません。

薪代と元が取れる

テントサウナの聖地とされる三重県の飛雪の滝キャンプ場に行きました。30mの落差がある滝は水量の少ない今の時期でも豪快に水を落とします。3タイプ用意されるテントのうち、最も川に近いモルジュはあっという間にロウリュが危険な温度に到達します。自分のペースで薪を燃やすことができ、10分から15分おきに薪を投入して前半は温度を上げドライサウナで一気に汗をかき、後半は温度を落としてロウリュでじっくりと汗を流します。2時間で2,500円の値段は良心的で、薪代だけで元が取れるかもしれません。水温は8℃と冷たく足が真っ赤になります。滝つぼから起こる風を受ける冷気浴で、川まで50歩ほど歩く間に体が冷えてしまいます。非凡なロケーションながら、三セク的な凡庸な運営のためか、昨日は他に1グループが利用しただけで、サウナブームの終焉も印象づけられました。

予定を決めない自由な旅

昨夜は三重県の鈴鹿に泊まりました。最初はN-VANで車中泊のつもりでしたが、じゃらんの口コミ4.3の宿が2,500円と格安だったので、興味もあり泊まることにしました。N-VANの車内が一人の宿泊にとって快適な空間だとしても、和室で荷物を広げられる解放感はありません。お風呂に入れて、浴衣やコーヒー、紅茶、日本茶まで用意され、もちろんWi-Fiも使えます。併設する料理屋が本業のようで、8室の客室は満稼働しています。今までは遠出をする時は最初に宿を見つける必要がありましたが、N-VANに寝具を積むようになってからは、魅力的な宿が見つかれば泊まるようになり、遠距離旅行の自由度が増えました。遅さに慣れるとエンジンの非力さも気にならなくなり、唯一の不満は今どきの車としては18.8km/Lと燃費が悪いことですが、AT車ならもっと良いはずです。予定を決めない自由な旅に慣れてしまうと、この車から離れられなくなります。

サウナを健康増進に

中山美穂氏がコンサートの予定されていた今月6日に急逝しました。病死の可能性が高く、入浴中に起きた不慮の事故とされます。発見場所となった浴室は、今の時期には急激な温度変化が生じ、血圧や脈拍が急に変動して脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすおそれがあります。寒さは常に人類の生存を脅かす存在でしたが、一方で冬場に薄着で過ごすなど、寒さに慣れることで深部体温を上げやすい体質になるとの主張も聞かれます。寒冷刺激が体の温度センサーを活性化させ、体は寒さに適応するためにエネルギー消費を増やし、代謝が促進されると言います。冬こそサウナが本場の季節ですが、フィンランドを中心とした研究では、定期的なサウナ浴が心血管疾患や脳疾患のリスクを大幅に低減させるというエビデンスもあり、自分の体と対話をしながらサウナを健康増進につなげたいものです。

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