儲かれば何でも良い?

コロナ関連の給付金をだまし取ったとして経産省のキャリア官僚2人が逮捕されました。ペーパーカンパニーを使い虚偽の申請により家賃支援給付金550万円をだまし取った疑いがもたれます。2人が同級生という高校の想像はつきますが、勉強ができても人としての正しさを失えば無意味です。千代田区の一等地にあるマンションに住み高級外車に乗る不相応な生活が不正受給の発覚につながったと伝えられます。この事件は一連のコロナ詐欺で芋づる式に捕まった氷山の一角で、自分たちが作った制度を悪用する粗暴ぶりは組織犯罪を疑いたくなります。付加価値生産を高めることと楽に儲けることは違いますが、昨今の組織人の言動を見るとこの違いが曖昧になっていると感じます。本業で儲けるか営業外で儲けるかの違いは、後者を突き詰めると儲かれば何でも良いことになります。日本経済の司令塔を果たす経産省キャリアがこの程度なら、金儲けこそが善であり、楽して儲ける発想が省内に蔓延している可能性もあり、空恐ろしさを覚えます。小利口に立ち回る組織人の軽薄さが踏み外してはいけないルールを超えて日本社会をだめにしたのでしょう。

サーキュラ人間の時代

菅首相が所信表明で2050年に温室効果ガス排出ゼロを宣言したことで、良くも悪くも循環型経済が身近なテーマになりました。江戸時代に戻せば良いだけですが、明治以降欧米と肩を並べる大量消費社会を築いた日本をサーキュラエコノミーに戻すことは現在の技術だけでは不可能です。技術革新は重要なテーマですが、一番効果的なのは、なるべく消費せず、なるべく長く使い、なるべく捨てないことを一人ひとりが心がけることでしょう。メルカリなどのシェアエコの進展により消費はむしろリセールバリューの高い高価格帯に移行するなど、今のところ消費を押し下げる影響はありませんが、循環型経済は経済成長の足かせとなることは間違いなさそうです。サーキュラエコノミーに最も野心的な目標を立てるオランダは2050年には100%循環達成を目指しています。仕入れる食材の8割が廃棄予定品のレストランでは、ごみ箱を置かずコンポストの機械だけといったトレンドは英国にも広がります。以前は一日3食に間食を2回程度していましたので、ほぼ一日4食の分量を食べていましたが、妻も娘も一日3食食べることがなくなった我が家では一日1.8食程度に半減し45Lのゴミ袋一杯に捨てていたゴミも半減しました。国民全体が食べる量を半減すれば健康になり、ゴミ削減も劇的に進みサーキュラエコノミーに近づくと思います。

心のなかにある故郷

留学先の英国から帰国し、6泊7日の帰国者隔離施設から戻った娘を迎えに昨日は羽田空港に行きました。窓も開かない11㎡で日に3度の食事にドアを開けることしか許されない不自由な生活にさぞかし辟易していると思いきや、娘も同じ便で帰国した同級生も滞在が気に入っているようでした。アパホテルは全国38ホテル15,463室をコロナ対策で一棟貸ししていますが、11㎡は昔の思い込みを捨てれば十分に快適なのかもしれません。海外に行ってもせいぜい一週間の親とは違い食事に出されたコンビニのおにぎりが美味しく、日本の風景が恋しくなると言います。都会人の心象風景は街の雑踏であり、コンビニの食事がソウルフードなのかもしれません。世界に出かけたいと感じるのは魂とつながることのできる戻るべき故郷があるからで、そこは日々の何気ない質素な暮らしを通して静寂を感じる場所なのだと思います。一方で普段は故郷など意識せずに生活をしていて、希少なものをありがたがりそれが本能的欲求と結びつくことで思考を支配します。美味しい料理や贅沢な暮らしで絶えず誘惑をし、あらゆる欲望を満たす都市で麻痺した脳を回復するには心のなかにある故郷を感じる場所に身を置くことが必要なのでしょう。

シンプルにしろ!間抜け!!

両親がお世話になっている施設からよく郵便物が届きます。返信用封筒が入り何かを返送しなくてはならないらしいのですが、本論との関係が見えない経緯が延々と書いてある女性脳?的文章が数枚に渡り、最後まで読む気力が起きず緊急性がないと見做していつも放置します。あなたにして欲しいこととその理由だけで良いのに、忙しい現代人に結論の見え難い長文を送る行為は非礼だと思います。これは日本の教育にも問題があり、米国ではKISSの原則を小学校から徹底すると聞きます。KISS principleはアメリカを代表するP-38、F-104、U-2、SR-71といった航空機の技術者として知られるケリー・ジョンソン(Clarence Leonard Johnson)によって造られた原則でKeep it stupid simple(愚直なまでにシンプル)に由来します。簡潔性にこそ本質的価値が宿ると信じていますので、分かりにくい文章を書く人には句読点を入れてKeep it simple, stupid.(シンプルにしろ!間抜け!!)と言いたくなります。個人的にはKeep It Simple and Short(シンプルで短く)やKeep It Simple and Small(シンプルで小さく)も気に入っています。

バラマキは良策?

異例なことに総死者数が減少した疫病禍の日本は不思議な状況にあります。経済への打撃は致命的なはずですが、大半の売上を失う事業者がいる反面でほぼ無傷の産業があることは特徴的です。空前絶後の予算1兆円超、最大1億円の事業再構築補助金に注目が集まり、なかには給付金と勘違いして貰わないと損とばかりに申請する人も多く、対象外要件の収益物件を買って民泊を始めるような計画も目立つと言います。公募要領すら読まず「自社がやったことがなければ何にでも使える」的な事業再構築の定義無視の怪しげな誘いで着手金や20%もの手数料を要求し、便乗して物を売る人達も群がり一種のバブルの様相です。先日発表された第一回の採択率は、5.5万社から6.7万社に採択予定企業数が増えた期待とは裏腹に通常枠30%の数字に落ち着きました。一般にバラマキ政策は批判の対象ですが、一方で千三の新規事業においてバラマキは必然です。可能性があるなら試してみるという政府方針は、創業意欲が世界最低クラスの日本にとって、大半が無用の長物に化ける公共事業よりは、事業意欲に火を付ける点で良策に見えます。

100歳現役時代

昨日は歯科医に行く90歳の父に同行しました。意地悪をするつもりはないのですが、できることは自分でやってもらいます。母は典型的な昭和の専業主婦で、夫に尽くし何でもしてあげるタイプですが、その親切心が裏目に出て父はすぐに人に依存します。不親切な親不孝息子と思っているでしょうが、自分は歳だから人にしてもらって当たり前という父にははっきりと物を言います。行き過ぎた敬老精神や親切があだになって高齢者は無用に老化を早めていると思います。施設の人は仕事柄ホテル並の親切さで何でもしてしまいそれは日本社会の美徳でもあるのですが、過保護な環境に慣れた父にとって、たまの息子との外出は良くも悪くも刺激的で歯科医から戻る頃には幾分正気に戻りシャキッとしています。百寿者のインタビューを読んでいて印象的なのは自分のことをそんな歳だと思ったことがないと言うことです。ポーラの現役ビューティーアドバイザーが勤続60年を昨年100歳で迎えたように、できると思うかできないと思うかによって、人は自分で自分を運命づけているのでしょう。

ライトイーターという人類の夢

普段は一日二食ですがおなかが空かない日は一食にしてそれでも食欲がなければさらに抜き昨日は丸2日食事を抜きました。食べないと元気が出ないと言われそれを信じてきましたがこの常識が見落としているのは、食べることが体に負担をかける自傷行為であることです。少食や断食を続けると体は食べない状況に慣れます。全く食べずに生活する人もごく少数存在しますが、3、400kcalで生活するライトイーターと呼ばれる人は世界で数十万人とされ、嗜好品として少量を食べると言います。一日50kcalで何十年も元気に生活する人の腸内細菌叢は牛に近いとの研究があり、体の中の細胞は私たちの思考や信念、行為に応じて構造を調整していると考えられます。一般には受け入れ難い仮説ですが、糖質がほぼ枯渇した状態で山に入り何十kmも補給なしに行動できることや、体重は減っても筋肉が落ちることなく健康のバロメーターとされる皮膚の状態が良好なことなど自身に起きた変化を考えるとこの仮説は正しいはずです。食べる自由と食べない自由を得て、食べる喜びを放棄せず一方で無限に近いエネルギーを手に入れるライトイーターという生き方こそ人類の夢でしょう。

虚構のジャパニーズ・クオリティ

一昨日娘が留学先の英国から帰国した際、6泊7日の隔離先のホテルまでは飛行機の到着から5時間以上かかったそうでその手際の悪さは前評判通りです。お年寄りや小さな子供にとって長旅の末にウィルス暴露のリスクが高い環境で長時間並ばせる行為は免疫力低下により感染を増大させる危険な行為です。同じ時期にマレーシアに渡航した娘の同級生は空港到着から検査を済ませて隔離先のクアラルンプール市内のホテルまで移動して2時間だったのとは大違いで、この体たらくで海外から人を迎えてオリンピックを開くつもりだったのかと心配になります。おもてなしなどと自画自賛をする前に、ストレスのない移動ができるインフラを構築すべきだと思います。日本人はトヨタ自動車など一部のメーカーの頑張りを世界から称賛され、自分たちまで一流になったと勘違いをしますが誤解です。少しだけ相手の気持ちになれば分かることなのに、悲惨な状況を放置する人達がジャパニーズ・クオリティにただ乗りすることはこの国の恥でしょう。娘曰く久しぶりの日本の食事だった夕食の弁当が美味しかったことは救いです。

造園業界はブルーオーシャン?

都会に住むことのストレス原因の一つは騒音です。先日は向かいのマンションの玄関脇の植木をエンジンの付いたトリマーで刈っていて、10メートルに満たない植栽を単に長方形に揃えるだけの作業に丸一日騒音を出し続けます。お互い様なので構わないのですが、問題は一日で終わらず翌日も朝からエンジン音が鳴り響くに至りその生産性の低さにはあきれました。自分の見積では30分もかからない作業量で、高所作業でもなく、誰も気に留めない平凡な植木ですから芸術性が要求されることもありません。植木屋を入れると高いという話はよく聞きますが、遠目に見ると素人っぽい中年男性で、それほど重い機械でもないのに2、30秒で止める、最後にまとめて掃除をすればいいのに都度掃除をする、無駄に同じ所を刈る、作業スピードが遅い、すぐに休憩するなどいくらでも改善点は見つかります。庭が減るなかでこの業界も厳しいと思うのですが、この作業単価をベースに見積を出せるならいくらでも参入余地がありそうです。そもそも何の効果もない植栽に無駄にお金を払うマンションに問題があるのですが、経済は無駄で成り立っているのでしょう。

無宗教の宗教

22時頃には寝るようになった今の感覚だと2時以降は朝なので、目覚めた時間に起き出し日の出前にラブラドールと神社に行きます。毎朝神社に行くのは信心深いからではなくそこだけが都会のなかに現れた森だからです。父方の親戚は今でも浄土真宗のお寺を継いでいますが自身は無宗教です。しかし信仰心がないわけではなく、信仰の対象が既存の宗教に向かないだけで、日本古来から続く自然信仰と結んだ山岳信仰には関心があります。多くの人が現代の修験道とも言うべきトレイルランニングに熱狂するのは、600年代後半に生まれたとされる修験道が民衆の自律的共同体の上に形成され、堅苦しさが少ないからだと思います。教団を形成せず経典も教祖もない民衆信仰の立場を守ったために人々に慕われ、人口3、4千万人の明治初期に17万もの修験者がいたとされます。修験道が古くから弾圧され、明治に入り修験道廃止令が出されたのは民衆迎合的なゆるいネットワークが中央集権国家にとっての脅威だからだと思います。もちろんトレイルランニングをする大半の人は修験道とは考えていないはずですがそのストイシズムには信仰を感じます。

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