言い伝えこそ健康の真実

すぐに覆されるにわか健康常識に対して昔からの言い伝えは色褪せることがなく、「いただきます」「ごちそうさま」といった代々受け継がれる感謝の風習、少食や運動が健康に良いことは近年の科学が解き明かしました。他方で先祖伝来とまでは言えない習慣には疑わしいものがあり、1950年に始まったパンと牛乳の学校給食や朝食をきちんと食べることなどプロパガンダによる習慣はグレーゾーンでしょう。解糖系が優位な成長期の子供は別として、更年期以降の大人にとって朝食はむしろ有害だと思います。ブレックファストの語源が示すように、古来より様々な宗教が重視してきた断食を短く切り上げる必要はありません。フェイスブックの最強コンテンツが食事にまつわるものなのは毎日のイベントでありもっとも身近な欲望の対象だからです。最近は心境が代わり、食事の頻度と量を減らすストイックさが食事を豊かなものにすると思います。一度に口に入れる量を減らし、よく噛み、味わいながら時間をかけて食事をすれば満腹になりお腹が空かなくなります。子供の頃「良く噛みなさい」と言われたもので、言い伝えにこそ真実があるのでしょう。

週休6日で十分?

厚生労働省が9日発表した2020年の毎月勤労統計調査によると、基本給や残業代などを合わせた1人当たりの現金給与総額が2年連続減少し、残業代に当たる所定外給与が12.1%減りリーマン・ショック以来の減少幅になりました。残業代どころか仕事が蒸発する飲食業は産業の成り立ちそのものを見直す局面にあります。2020年は強制的なリモートワークが国家的に推進されたことで、昔なら言い出しにくかったワーケーションなど本音の働き方を主張する雰囲気が生まれました。さらに発展して仕事が自己実現につながるならいくら働いても気にはなりませんし、組織のルールに縛られず仕事に専念できる環境なら週休3日どころか一部の職種は週に1日も働けば十分でしょう。使っても使わなくても減っていく時間は保存することができない最も貴重な資源ですが、18世紀の労働者を想定した硬直化した労働概念は時間をお金に変える発想が時間を失う恐怖を生みます。仕事が立身出世の手段ではなく終わりなき自己実現となれば、成長に向かう根源的モチベーションが生じお金と時間のトレードオフが解消されるのでしょう。

味覚は価格で定義される

三密回避で試食もできない今年のバレンタインチョコ商戦は盛り上がりに欠ける印象です。一年分の多くをこの時期に売る業界にとって痛手でしょう。バレンタインシーズンの輸入チョコレートは大量輸送のために冷凍され、口溶けの滑らかさが悪いとされます。その違いを見出すことはできませんし、意味があるとも思いませんが、あらゆる食品のなかでチョコレートほど味と価格の差にアンバランスを感じるものはないと思います。業務スーパーが売る200g300円ほどの輸入トリフチョコレートとその10倍の値段で売られる高級ブランドチョコは味の違いは分かっても10倍の価格差を正当化する理由を見出すことができません。われわれは意識することなく美味しいという言葉を発しますが、感覚器官への刺激により肉体は感覚情報を自覚し、経験により形成された認知プロセスを通じて感覚情報を意味づけ日々評価判断を行っています。インプットにより意識と認識が生まれるだけでそこに存在するものは物質ではなく外部刺激に真実はないとも言えます。ドットの集合体に過ぎないデジタル画像を見た脳は神経伝達物質の分泌により楽しいとか、悲しいといった感情を持つのも同じで、結局のところ味覚は価格で定義されるだけなのかもしれません。

危機管理なき専門家

各国で政権交代や政変が起こり、ビジネス界でもジャック・マーやジェフ・ベゾス、孫正義氏の引退報道が続くなか、「マックからマックへ」で有名な原田泳幸氏の逮捕に衝撃が走りました。高級路線で失敗し異物混入事件が起きたマクドナルドを去り、国内最悪の個人情報漏洩事件のベネッセでも疫病神と囁かれました。ジョブホッパーが多いIT業界出身の上級サラリーマンに対しては、経営手腕を疑問視する声もあり企業を無茶苦茶にするクラッシャー原田と揶揄されました。華麗な経歴とは裏腹に有名なシンガーソングライターである妻との生活は満たされなかったのかもしれません。DVは発見が困難な上に当事者に罪の意識が欠けるため周囲が気付かないうちにエスカレートします。忖度に慣れた権力者にありがちな傍若無人な態度が自らのキャリアを終焉させたのでしょう。企業の危機管理を専門に多くの講演をしてきた氏だけに、今回も皮肉なコメントがされます。肩書や報酬などの地位財に囲まれ、比較することでしか自分の幸せを確認できなかったのかもしれません。

自分の本音で生きる

近所の公園に行くとすっかり春の風情です。昔は夏が好きでしたが今はどの季節も好きです。特にトレイルに程よく雪がついた降雪期の山の魅力を知ると冬が過ぎ去る気配に寂しさを感じます。人生は四季に例えられますが、人生100年時代なら四半世紀ごとに季節が移り変わることになります。日本人は若さへの信仰が根強いとされますが、どの季節にも魅力があるようにどの年代にも喜びを見出すことができます。これまでは成人前後まで教育を受け、65歳までひたすら働き、その後は引退して余生を楽しむ3つのステージの単線的な人生を送るのが常でした。昨今は「自分はどう生きたいのか」という問と向き合うマルチステージの人生、すなわち仕事一辺倒、キャリア一筋で自分をすり減らす働き方を避け、柔軟に自分らしい人生を組み立てる生き方が奨励されます。一方で長い人生を貯蓄で賄うことが難しく会社も年金もあてにならない時代は、できる限り健康に過ごし、より長く働くことが求められます。第一の人生がお金のためにピークを目指す働き方なら、第二の人生の働く意味は、時間という保存できない日常を自分の本音で生きることでしょう。

エキセントリックな日本人

外資による不動産開発が活況を呈する富良野では、ポストコロナを見据え100平米2億円のコンドミニアムが投資目的で買われていると伝えられます。一方で富士山や海一望で温泉のついた70平米ほどのそれほど築年の古くないリゾートマンションが100万円を切る価格で売られる二極化現象が見られます。優勝劣敗の鮮明化と考えるより、冷静にビジネスチャンスを捉える必要がありそうです。インバウンドバブルの熱狂に加わった人はしばらくその言葉さえ聞きたくないでしょうが、やり方次第では再び高い成長が狙えるのでしょう。マスクの有効性は未だ確かでないのに、マスク警察は進化して布製やウレタン製のマスク着用を攻撃する不織布マスク警察が注目されます。感染は1月の第一週にピークアウトしているのに、感情に突き動かされる日本人は世界最大の飲食街を抱える東京の外食産業の破壊に加担します。批判されて然るべきとは言え森会長の発言へのポリコレ全体主義的な容赦ない一斉攻撃にも違和感を覚え、振れ幅の大きいエキセントリックな国民が増えた日本は冷静さを欠いた物言えぬ国に向かっていると思います。

時間は意志で変えられる

2021年は激動の1月が終わりました。下一桁が1の西暦には不吉な出来事が起こると信じる人もいて、10年前は大震災が東北を襲い、その10年前にはニューヨークがテロ攻撃を受け、さらに前は湾岸戦争が始まりました。遠い古来に起源を持つ十二支や60年周期説など天体の動きが人間社会に及ぼす影響を信じる人も少なくありません。人体が月の周期の影響を受けるように、時の制約に人は運命づけられます。もし時間の束縛から自由になれるとすればそれは意志の力でしょう。スティーブ・ジョブズは毎日が人生最後の日と思えるほど苛烈な生活と引き換えに短い人生を終えました。使い切れないほどのお金をつぎ込んでも時間を止めることはできませんでしたが、人々の生活を一変させる悠久の時を生きたと思います。百寿者の多くは自分の年齢がたいそうな歳だとは思っておらず、身体の機能バランスや酸化ストレスへの抗酸化防御には個人差があります。同じ年齢でも相応以上に老ける人もいれば若々しい人もいて、高齢者というレッテル貼りやリタイアという人生イベントなど、歳を意識させる習慣はなくすべきでしょう。生物学的な年齢は歳月の力ではなく自分の意志によって変えることができると思います。

忖度文化は悪くない

昨夜娘が香港のクラスメイトの宿題の添削をしていました。英語力では遥かに劣る日本人がなぜ添削をするのか不思議に思いましたが、娘いわく日本以外の海外の友人たちは自己主張が強い分教師の出題意図を汲まない傾向があるそうです。日本人に強く見られる忖度文化は他人の気持をおしはかる美徳である一方、過剰な忖度が問題になります。組織を動かす原動力は嫉妬とも言われますが、忖度、保身、嫉妬の渦巻く組織は非生産的です。忖度し合うことで敵を作らずお互いの立場を守る風土も弱肉強食のビジネス界を生き残ることはできません。大脳新皮質は本能や感性を抑圧して人間関係を良くしようと感情を押し殺しますが、忖度する側もされる側の心にも多くの場合悪影響が及びます。ストレスの多くは人間関係と言われますが、悩みはすべて人が作り出した人工物であり、突き詰めれば心の汚れに起因するものでしょう。昨今企業にマインドフルネスが浸透するのは他人への優しさの欠如に対する不浄を取り除く禊なのかもしれません。

美食かつ微食

人が一生を過ごす時間のうち体調が良いと感じる瞬間はどの程度あるのでしょうか。深刻な症状が無くても生活習慣病予備軍や原因不明の不定愁訴を抱える人は多く、増え続けるアレルギー疾患に加え、運動をする人なら腰や膝に悩みを抱えがちです。振り返って見ると肥満している頃は様々なアレルギー疾患や膝の故障、胃痛などに悩まされましたが、痩せて運動を始めると不調は消え、自分史上最も今が健康体に近い状態だと思います。健康常識は何を信じても裏切られることが多いのですが、少食と運動だけは誰にでも通用する昔からの健康常識でしょう。少食はハードルが高いと感じる人もいますが、もっとも簡単な方法は食間を16時間以上あける間欠的断食です。朝食を抜くだけの話で、食べる瞑想により丁寧に食事をすれば何を食べても美味しく感じる美食かつ微食になります。なるべく少食にして体を動かすだけでガンを始めとした生活習慣病のリスクは劇的に下がり、幸せな感情が持続し医療費の多くも不要になります。

ホテル愛が招いた経営不振

帝国ホテルがサービスアパートメント事業を始めると伝えられます。ホテルグランドパレスの営業休止や霧島国際ホテルの廃業など老舗の経営悪化やオークラのダウンサイジングを見るとタワー館の99室をアパートに切り替えることに驚きはありません。新事業を育てる試みと日経新聞は報道しますが、サービスアパートメントは馴染みのある宿泊業態で、ホテル産業と区別する発想がこの業界を苦境に追い込んだと思います。賛否がありそうな一ヶ月36万円からという破格の料金設定は帝国ホテルの危機感を示します。新たに開発したルームサービスメニューは月額6万円、洗濯が3万円で利用できるならもはやホテルは著名人のための高嶺の花ではありません。宿泊業の黒字企業割合は18.0%(TKCの昨年9月期データ)で、これは飲食業の23.2%、小売業の43.3%、卸売業の50.8%、製造業の45.8%、サービス業の55.0%、建設業の58.3%と比べ最低で、93.5%という高い損益分岐点比率によりコロナ禍の影響をまともに受ける今後の決算では大半の企業の赤字化は明らかです。昔ながらのホテルを愛する気持ちが経営不振を招いたのなら皮肉な話です。

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