花粉の飛ぶ季節となりましたが、結局この冬我が家では一枚のホットカーペット以外に暖房器具を使いませんでした。地下住戸の気温が年間を通じて安定しているというのは本当で、殺人的な東京の夏の暑さも扇風機があれば無理なく過ごせます。年間を通じてエアコンを使ったのは2、3度で、電気代は以前の3分の1になりました。扇風機で空気を循環させれば洗濯物の室内干しにも問題がなく吹き抜けがあれば採光にも不満はありません。戸外からの視線が全く気にならず、上層階の住戸と比べ地下住戸の価格が割安に設定されることも大きなメリットで、デメリットを見出すことが難しいほどです。環境に負荷をかけない暮らしは同時に自分の体への影響も和らげます。冬の暖房が暑すぎ、夏の冷房で体が冷え切る商業施設の不快感に比べ、多少厚着をして足元だけ暖めた方が健康的です。低体温は万病の元とされ、エアコンを使って生理的な快適さを得ることは体に良さそうに見えてむしろ逆効果だと思います。低体温の原因は筋肉量の低下であり、恒温動物である人間は、寒いと体温調節中枢が血流を増やし深部体温を上げ内蔵脂肪を燃やすのでスリムな体型維持にもつながり健康的です。
年: 2021年
ポストバブルからポストコロナへ
社会人になって数年後にバブル経済がピークに達しキャリアの多くを「ポストバブル」という重苦しい時間とともに過ごしました。ホテル業界に関して言えばその総括がないままに失われた20年が過ぎ、突然アパホテルが3万円で売られるインバウンド・オリンピックバブルが起こりました。そしてこれから、ポストコロナの時代が始まります。ポストバブルに必要だったのは収益構造の抜本的見直し、言い換えると事業目線の転換でした。これに必要な資質は果敢にリスクを取る高い創造意欲だと思います。アントレプレナーシップを失ったとき企業の終焉が始まり、人の生命力も衰え始め、低迷する企業の大半はこの資質に欠けます。ポストバブルでは消費意識の変化という需要側からのイノベーションが起きましたが、ポストコロナは経営資源の調達方法が変わる供給側からのイノベーションが始まると思います。思考様式や意思決定の構造が惰性化している組織はその体力を奪われるはずです。企業がイノベーティブに変わっていく時期は不況期で、必死に事業を成立させる状況に至って、従来とは違う事業家が現れ事業領域と市場を革新するのでしょう。
接待は不幸の始まり?
安倍ロス、森ロスに陥ったマスメディアが次に狙うのは菅さんの息子の接待問題と自民党を離党した議員の接待飲食店問題でしょう。コロナ禍で接待需要は激減し高級食材のだぶつきが話題になります。高そうな店に連れて行ってもらい美味しいものをたくさん食べられ無邪気に喜ぶ人は少なくないでしょう。接待や夜の付き合いをビジネスと切り離すことはできませんが、他方でユニクロの柳井さんのように、夜の付き合いをほとんどせずに仕事が終わると真っすぐに帰宅して成果を出す人もいます。村八分を恐れる日本人はトイレから残業から飲み会まで付き合いを尊びますが、自分の生きる時間を誰かに支配されることは不幸の始まりだと思います。接待されて自分のお金を使わないとしても栄養過多でその分好きなものを食べる分量を減らさなくてはなりませんし、二次会三次会の無理が祟り体調を崩す人もかなりの数にのぼります。最終的な幸せが健康に生きることなら、その場限りの楽しみや打算による付き合いをすることで失うものは多く、そのジレンマは豊かな飽食時代ならではだと思います。
誰も信じない
コーヒーやチョコレートの健康効果が喧伝されて久しいですが、にわかに言われ始めた健康習慣は真偽の定かでないものが少なくありません。納豆が優れた食品であることは間違いなくても、付いてくるタレを使うと健康効果は帳消しになりそうです。膝の痛みにはコンドロイチン、疲労回復にはタウリンといった刷り込まれた知識も浪費の原因です。医者の言うことを信じる日本では一生治らないと思い込み自ら生涯顧客になりますが、これらの迷信も度々覆されます。ワイドショーが垂れ流す健康情報は嘘が多過ぎて放送が禁じられるようになりましたが、起床後すぐにお湯を飲むなど一見理にかなった習慣も適切とは限りません。体調を崩すと藁をも掴む気持ちになりますが、特効薬かのような誤解を意図的に与えるメディアは確信犯です。断食や運動習慣は現代人に必要ですが、状況によっては体調を崩す危険をはらんでいます。日本が世界最大の薬消費国なのは体を機械のようにみなし自然治癒力を信じないからでしょう。人体に一般法則はあてはまらず、自分の体が発する声に耳を傾け自分なりの方法で健康を維持するしかないと思います。
満たされる虚しさ
何年も不調を抱えたことはないのですが、強いて言えば眠りが浅いことが悩みです。就寝後4、5時間するとちょっとした音や明かりで目が覚めてしまい、目覚まし時計を使う必要がなくなりました。人体は一人一人がユニークな存在で、7時間睡眠が最も長生きといった画一的な迷信は信じないのですが、深く眠りたいときは睡眠負債を増やすために夜更しをします。眠りに対して体を飢餓状態に置くと普段より長く気持ちよく眠れ、不眠症を訴える人の多くが自分は不眠症だと思い込む眠り過ぎだと思います。食べ過ぎの解消に断食が適すのは、体を飢えさせることで食事に対して繊細になり少量の食事に満足するのと似ています。睡眠負債があるから快眠でき、空腹状態だから食事が美味しいように、人間の体が進化の過程で身に付けた美徳は、満たされることなく欠乏状態において体調がベストになる性質だと思います。一方で満たされることに虚しさがつきまとうのは、欠乏への恐れから満腹状態を続けることで代謝が正常に行われず免疫力も低下するからでしょう。
平凡でささやかな日常
一年前の今頃はダイヤモンド・プリンセス船内における集団感染騒動の渦中で13人が死亡する感染事故となりました。感染拡大が収まらないアメリカでは昨年12月時点でホテルの空室累計が10億室を超え業界は苦境に追い込まれました。成長分野と見込まれていた観光産業は世界的に打撃を受け、旅行者数が2019年の水準に戻るには4年程度かかると予測されます。リタイア層に最も人気のある海外旅行に行けなくなり、感染を恐れて外出が億劫になれば生きる気力まで失います。一方で、元気なうちに世界を回りたいと急かされるように旅行に出るトレンドにも疑問を感じます。新しい消費を楽しみ様々なものに挑戦する非日常的な行為に脳は幸福を感じますが、問題は消費を礼賛することでしか充実感を味わえなくなることです。海外旅行が退屈な日常の代償行為なら満たされることはなく、刹那的快楽を求め非日常を人生の目的に置くのは無理があると思います。人生の目標が定まれば平凡でささやかな日常に幸せを見出すことができるのでしょう。
脳の暴走を防ぐ最低限の暮らし
一人で過ごすときは一日一食ですが家族といるときの朝食は固形物を摂らず味噌汁のスープだけにします。一見味気ないように見えて具材が入らない味噌汁は味覚に集中でき複雑な味を感じ、食べる喜びはむしろ豊かになります。何事においてもストイックさが魅力を放つのは物や情報が少なくなることで五感が研ぎ澄まされるからだと思います。貧しい時代の豊かさは欠乏が満たされる快ですが、物があふれる時代の豊かさは内面と向き合う静けさのなかにあるのでしょう。大半の中毒症状がそうであるように食べれば食べるほど食べたくなる過剰摂取のサイクルを止められなくなります。問題は体が欲求していないのに脳は食欲を感じるアンバランスにあり、くつろいだ呼吸を意識するだけでも冷静になり食欲は薄らいでいきます。生物が脳を獲得したのは5億年ほど前で進化の課程の8割から9割を脳のない状態で過ごしたために、他の臓器などお構い無しに脳は自らの欲求だけを満たそうとします。脳の暴走を防ぐには無用な欲望と執着が起きない最低限で暮らし無駄に感情を動かされないことだと思います。
面子を捨てた業界再編
藤田観光が東の椿山荘と双璧を成す大阪市の太閤園を国内法人に売却し329億円の特別利益を計上すると公表されました。2019年のG20大阪サミットの閣僚会合に使われた同社を代表する施設は会社にとって精神的支柱と言えます。ワシントンホテルの売上が前年比の26.6%に留まったのが致命的で会社再建のための苦渋の決断であったことは想像に難くありません。債務超過は回避したものの大きく毀損した自己資本比率は1.2%に低下しました。しかし、決算説明資料に並ぶ文言はリピーター獲得や高付加価値商品による収益確保など平時と変わらず、徹底したコストカットや資産売却以外に効果のある施策が見られず、経営陣以下どうして良いのか困惑しているのでしょう。一時帰休や処遇変更により中核となる人材の慰留が困難になれば負のスパイラルが止まらなくなります。業界はSARSやテロの影響により客室稼働率が落ち込む困難を乗り切った経験がありますが、今回は供給過剰の市場を前例のない落ち込み幅が襲い、かつての日産が行ったような面子を捨てた業界再編規模の経営の刷新が必要な局面を迎えているように見えます。
コロナ禍がもたらす幸せ
串カツ田中はトレードマークとも言える二度づけ禁止のソースをかける方式に改めてから廃棄ソースが7割減ったと伝えられます。従来は当然とみなしていた習慣のなかにはオフィスでの仕事のように止めて良かったことも少なくありません。厳格な都市封鎖をすることなく国際的には優等生と言えるレベルまで感染を抑え込んだ日本では、コロナ禍に好ましい面を見出すことができます。ウィルス干渉もあって風邪やインフルエンザが激減し総死亡者数は例年より減ったとされ、心がけ次第で人は健康になれることが期せずして証明されたと思います。飲食店には気の毒ですが、ナイトライフが制限されたことでサーカディアン・リズムに沿った健全な生活を多くの人が取り戻し、社会全体の健康は増進されたと見ることもできます。元々衛生環境に優れ意識も高い日本で手洗いや咳エチケットが継続されるなら、感染症予防が徹底され無用な薬を飲む無駄もなくなります。不摂生な生活習慣を改め健康になれば幸せの半分は実現されたのも同然でしょう。
野暮なデザインが低成長の原因
昨日近所の八百屋さんで見かけたラベルに目が止まり結局その店で買い物をすることになりました。菊芋は水溶性の食物繊維イヌリンが多い天然のインスリンと呼ばれ血糖値上昇が穏やかになり、食物繊維量がごぼうの倍とされ腸内環境を改善します。パッケージはマーケティングの5つ目のPとも言われ、とくに消費者関与が低い毎日の買い物においてはパッケージデザインなど商品の性能品質に無関係の要素が購買の引き金となります。他の野菜にも食物繊維豊富といった表記がされ、もう一品多く買わせることに貢献していると思います。飲食店では追加の飲み物一杯を勧めることの重要性を従業員に説きますが、年間売上を何割か上昇させることも可能でしょう。書籍の売上もポップ次第ですが、日本における商品パッケージは野暮なデザインが多く、潜在客を遠ざけています。低成長の続く日本では景気が悪いと他責思考が広がりますが、やるべき簡単なこともせずに売上が上がらないとこぼしている事業者は少なくないと思います。