母の入居する高齢者施設に行く頻度が増えました。いつも食事をしていた父がいなくなり、寂しさを埋める慰めになればと思います。偉そうなことは言えませんが、施設を訪れる他の家族を見たことがありません。なるべく他の入居者に目立たないように訪問しますが、尋ねて来る家族もいない人の気持ちを考えると複雑です。一方で、高齢者施設に行きたくない理由も分かります。構ってもらおうと食器をたたき続けたり、うめき声をあげたり、そこにいるだけでこちらの生気まで奪われる気がします。入居者の平均年齢が92歳ながら、介護度がそれほど高くない施設でもそう感じますから、社会から見放された場所に見えたとしても不思議ではありません。健康に注意をしていると言うと、そんなことをしてまで長生きをしたくない、と強弁する人もいますが、最後まで自分の意思と体の主体性を奪われたくないだけです。
お知らせ
戻るべき場所に人を戻す
4年に一度29日がやってくると暦について考えます。身近なところでは二十四節気があり、四季という地球のリズムを反映する時間の計測法と言えます。一方で人間のバイオリズムは、月の満ち欠けという自然のリズムに合わせることで、生物的な機能と有機的につながると思います。われわれは天気や気温、気圧には注意を払いますが、1年に13回巡ってくる満月など、月の運行に合わせた生活は一般には浸透していません。子供の頃はどの家庭でもお月見の習慣がありましたが、今は空を見上げる余裕すらありません。先祖から受け継がれた知恵や習慣は、時代に合わないしきたりとして寂れて行きましたが、それらは古めかしいどころか、最先端のさらに先を行く健康に生きるための知恵だと思います。世界では都心のオフィスから人々が去る傾向も見られますが、命を脅かす災難は、戻るべき場所に人を戻すのかもしれません。
花粉症も悪くない
花粉症の季節が到来しました。まだ一日に数度くしゃみが出る程度ですが、3月に入ると生活に支障をきたすようになります。一年で一番美しい春が最も憂鬱な季節になったのは、記憶にないぐらい昔です。特効薬を勧めてくれる人もいますが、薬の影響は全身に及びますので自然療法で対処します。花粉の季節の前に口呼吸をすることで免疫を抑制する免疫寛容や、屋外で日光を浴びることでビタミンDを合成する、日常的な鼻うがい、乳製品を控えるなどです。最も効果的なのは避粉地への転地療法で、旅行の口実ができることはむしろ好都合です。花粉症の有病率は2001年の12%から2010年には47%まで増加したとの研究もあり、同病相哀れむによる強い共感形成ができる人が増えることは、花粉症のメリットかもしれません。花粉症の対処法はコロナウィルスの重症化予防と同じともされ、花粉症も悪くない気がしてきました。
有史以来の健康革命
YouTubeの普及によって本を読む量は半減しましたが、それでも年間100冊程度の本を読みメモを取ります。自分の感性を刺激した本はメモの量によって把握することができます。この数年で言えば「SWITCH-オートファジーで手に入れる究極の健康長寿」はそんな一冊です。大隅教授のノーベル生理学・医学賞の受賞により日本国民の知るところとなったオートファジーは、シンプルで実行しやすく、コストもかからない最高のアンチエイジング法だと思います。健康的な脂質と食物繊維が豊富な野菜を多く摂り、16時間の間欠的断食を行うだけで、究極の解毒装置であるオートファジーが起動します。最近の研究では、遺伝子が長寿に影響する割合は7%で、生活習慣が影響する割合は90%以上とされ、自制心さえ保てば真に健康的な30代のまま、健康長寿を実現できると言います。お金もかからず不老長寿の薬が手に入るなら、有史以来の健康革命と言えるでしょう。
夏みかんは果物の王様
正月に妻の実家でもらってきた夏みかんがそろそろ底を尽きます。収穫から2か月が過ぎても鮮度を保ち、甘く、今が旬といった感じです。手入れ不要の夏みかんは収穫の手間だけで手に入る有難い果物です。むやみに糖度を競う昨今の果物とは違い、ほのかな甘みが懐かしくも新鮮です。夏みかんには、ビタミンC、E、B1、葉酸、パントテン酸、カリウム、銅、不溶性と水溶性の食物繊維などの栄養素が多く、免疫力を高め、感染症予防、貧血予防、血圧低下、疲労回復、アンチエイジング、骨や血管の強化などが期待できる果物の王様です。果物の美味しさを甘さで評価する現代社会では、果物に含まれる果糖が健康リスクを高めますが、その点でも消費者から敬遠される夏みかんは安心です。化学的に合成された純度の高いミネラルのサプリより、ビタミンCの吸収率が高く、甘いお菓子など麻薬系食べ物への欲求すら解決してくれます。
自炊グルメの時代
物価上昇がデフレ脱却のチャンスとして好感される日本経済ですが、好調なインバウンドの恩恵を受けるラグジュアリーホテルは高嶺の花になりつつあるようです。都心のホテルのアフタヌーンティーは、数年前なら3,000円前後でしたが、今や9,000円ほどに跳ね上がります。一方で物価の優等生もあり、近所のスーパーではイワシの開き5枚が300円で売られます。小麦粉をつけてフライパンで焼き、タレを絡めるだけで、ご飯にのせて山椒をかけるとうな丼とそん色ない美味しさです。加えてイワシにはDHAやEPAのオメガ3系の必須脂肪酸が豊富に含まれ、末梢血管の血流を良くし、体内の炎症を抑え、免疫力を高めるメリットがあります。成田山あたりのウナギの名店なら、開店時間に行っても2時間待ちという混雑ぶりですが、自炊グルメなら時間もお金もかけずにいくらでも美味しいものを食べられると思います。
効率性追求のレジャー
昨日は北八ヶ岳の北横岳に登りました。氷点下9.5度の登山口の駐車場は、ロープウェイの営業が始まる1時間半前から車で埋まります。ロープウェイの山頂駅までは60分で歩けますので、列に並ぶ気持ちが分かりません。人のいない山頂からは遠く白馬連峰の先まで見渡すことができる快晴です。最高のトレッキングだったのはここまでで、下山を始めるとすし詰めのロープウェイが送り込んできた大量のハイカーによって登山道は渋滞し、蟻の行列を待つ羽目になります。大半の人が待っていても礼も言わないところまでは許せても、狭いトレイルなのに、「どけ」とばかりに体当たりをしてくる無礼者もいて、それまでの幸せな気持ちなど吹き飛びます。晴天の三連休ですから文句も言えないのでしょうが、日本のレジャーが貧しいのは、連休などの特定のシーズンに大量に客をさばく供給者論理の効率性を追求して来たからでしょう。
どこでもドアの魅力
週末は長野県に来て、10年乗ったフィアットは20万kmを走りました。人生の三大出費は住宅、自動車、保険とされますが、自分の場合は自動車が最大の支出です。これまでに買った7台のクルマのなかで2番目に安い大衆車にもかかわらず、この間ノートラブルで自分史上最長距離を走破しました。昨今のエンジンは昔のように10万kmでオーバーホールする必要もなく、タクシー車両は40万kmぐらい走りますから当面現役です。買い換えたいと思ったことも乗り換えたい車もなく、仮に買い換えるとしても、信頼性の高い最も大量に生産される大衆車を買うと思います。産業革命により作られた自動車は、移動の利便性を革命的に高め、私たちが生きていくうえで消費せざるをえないエネルギーの総量を減らし、肥満の原因にもなりました。それでも人力移動では到達できない離れた場所に連れて行ってくれる、どこでもドアの魅力から離れることはできません。
キャンプブームの終焉
先週発表されたスノーピークの2023年12月期決算は、売上高が前期比16%減の257億円、純利益は99.9%減の100万円となりました。企業業績に一喜一憂すべきではありませんが、17期連続で増収を続けてきた業界の雄となれば話は別です。1,000億円を超えていた時価総額は430億円まで下がり、MBOによる上場廃止が取り沙汰されます。高価格帯のキャンプ用品と熱烈なファンコミュニティーで独自のブランドを築いてきた企業の盲点は、コロナ禍のキャンプブームによる特需を過信したことでしょう。他人の目を気にするあまり、消費行動にも影響を受けやすい日本人の一過性のブームだったのかもしれません。近年のキャンプギア事業以外の多角化の弊害との指摘もありますが、成長のための自己変革にはそれまでの基軸から離れることも必要ですから悩ましい選択です。上場から10年目の大転換により、長期的なビジョンの実現に軸足を移してもらいたいものです。
農家のジムニー
最近気になる車はスズキの軽トラック、スーパーキャリイの特別仕様車です。田舎暮らしをする上で軽トラックは最も頼りになる道具の一つですが、これまではデザイン性を期待することはできませんでした。昨年末に追加されたXリミテッドは、部品をブラック仕上げに変更した特別仕様車ですが、精悍な印象を与えます。軽トラックの魅力は価格だけではなく、悪路での高い走破性やリセールバリューの高さ、どこにでも入り込める小回りの良さだと思います。以前旅館で所有していた軽トラックは、阿武隈源流沿いに捨てられたゴミを回収するために、普通のクルマでは入れない遊歩道に入り込むことができました。商用軽バンの概念を変えたホンダのN-VANが、初代シティの持っていた楽しさを継承する後継者なら、Xリミテッドは農家のジムニーと言えそうなファッション性を兼ね備えた相棒になりそうです。