
サウナ施設を営業する上での悩みは水道光熱費の高さですが、薪の調達もその一つです。かつて旅館を経営していた頃は、割られた薪が軽トラック5台分を1万円で買えましたが、今は異常な高値となり、バルク買いしてもホームセンターなどで売られる薪と大差ない値段です。どこに行っても薪を買えないか聞きますが、バイオマス発電などの影響もあり、市場価格が高騰していると言います。また原発事故の影響を受けた地域の木を避ける動きもあります。一昨日行った那須の業者も、1立米8,800円から24,200円まで5段階の価格があり、写真は一番安い薪ですが、以前旅館で仕入れた値段の5倍以上です。他方で人の手の入らなくなった山林は各地にあり、薪割り機を購入して自家製薪を調達することも現実的です。燃料価格の高騰を逆手にとり、サウナと山の管理という6次産業化の可能性があるのかもしれません。
お知らせ
オフシーズンの魅力



初冬に入り嬉しいのは、オフシーズンの宿泊施設が安くなることです。かつて営業していた旅館に近い白河高原カントリークラブは、夜通し入れる温泉と朝食がついて6,000円と申し訳ない価格になります。現在は東京建物グループが所有するコースの一つですが、元々は東北の軽井沢を掲げて、スキー場、スケート場などとともに開発されたものです。国内最多の100コース余を設計した富澤誠造をして、会心作と言わしめた、関東周辺には見られない柏の木の自然美が美しいコースです。巨大な合掌造りの茅葺屋根を持つクラブハウスには立派な暖炉があり、自分が生まれた年の開業時の写真が飾られます。温泉は旅館と同じく甲子温泉から引湯されるもので、湯温が低く長時間入れ、出た後はしばらく汗が引きません。唯一問題があるなら、朝食に出されるクロワッサンやパンオショコラなどが美味しくて食べ過ぎることでしょう。
正直というクオリティ

昨日はかつて旅館のあった西郷村に泊まりました。旅館から一番近かったドラッグストアに久しぶりに行くと、競合する大型店がより便利な立地に出店してしまい、当時ほどの客入りはなく、店内にはどこか寂しさが漂います。大袋に入ったみかんを買ったのですが、レジの女性は果汁の出たみかんが一つあるのでお取替えしますと言います。別に腐っているわけでもなく、見過ごしたからといって咎められるような状態ではありません。それでもあえて交換という面倒なことを自分ならするだろうか、と考えると複雑な気持ちになります。競合するドラッグストアは生鮮食品を充実させ、安売りを武器にしながら、いまや一般の食品スーパーと変わらない品ぞろえで、この店にとっての将来には暗雲が立ち込めています。それでも正直な商売を貫こうとするその姿勢に頭が下がります。
FCマニアによる究極の仕組化

昨今の飲食FCで話題を集めたのは鰻の成瀬だと思います。目的食のウナギを、吉野家や松屋と高級店の中間の価格帯で提供するビジネスモデルは、高級食パンや一過性のブームに終わった多くのFC飲食とは違い、順調に店舗数を伸ばしてきました。中国で加工されたウナギを、二等立地以下の小箱の居ぬき店舗で提供し、原価率が高い反面、投資回収の早いビジネスモデルです。自宅の近所の下北沢店もビルの2階にあり、そのビルの外観は傾いているように見えます。急展開を達成した結果、昨今では赤字店舗も目立つようになり、評価は賛否両論ですが、おそうじ本舗出身のチームを中心に外注企業との分業により、社員を雇用せず、展開スピードを上げる戦略は異色です。社長は飲食業経験もなく、ウナギにも、スチームコンベクションオーブンにも触ったことがないと豪語し、FCマニアによる究極の仕組化の将来が注目されます。
お金を使わない贅沢

昨日は山梨100名山の太刀岡山(1,322m)、黒富士(1,633m)、曲岳(1,642.8m)に登りました。急峻なトレイルに、ラブラドールは途中で車に引き返しました。太刀岡山はロッククライミングのメッカとして知られますが、歩く人はわずかで落ち葉の降り積もった極上のトレイルを進む初冬の風情に幸せを感じます。家に戻り温かい湯舟に冷え切った体を沈めたときの快感も最高なら、薪ストーブで暖まり始めた部屋で食べる鍋も、妻の実家でもらった柿も何もかもが美味しく、これこそがアフォーダブルラグジュアリだと思います。手の届く贅沢が最高の幸せなのは、それが日常生活に近いがゆえに色あせないからだと思います。産業界が都合よく書き換えた贅沢の体系に毒された消費者は、お金を使うことでしか贅沢や幸せを感じなくなってしまったのかもしれません。
民宿の時代


先日南会津の田代山(1,926m)に登った前日は、この山の開山者の子孫が営む民宿に泊まりました。単一の台地状湿原という世界的にも珍しい山頂に、400種類の高山植物が咲く「山上の尾瀬」は、かつて魔物が棲む山とされ恐れられてきたと言います。明治45年に山頂に弘法大師堂を建立したのはこの家の6代目で、現在の宿の主人は10代目になります。僻地では珍しいことですが、12代目にあたる孫が民宿を引き継ぐと言っているのは、後継者不足に悩む業界にとって明るい話題です。築140年の古民家を使った民宿で郷土料理を味わう体験は、本当の旅を求める欧米インバウンド客にも受けると思います。昨今カプセルホテルで欧米人を見かけるのは、非日常とやらに毒されない、リアルな日本を見たいからのような気がします。その点で、ホストの日常生活が見える民宿の時代が、これから始まるのかもしれません。
N-VANに泊まる


1泊2食6,380円という価格に興味を持ち、会津高原国際人財センターに泊まりました。芝浦工業大学の創立70周年記念事業として1998年に開業し、2021年に公益財団法人国際人財開発機構に譲渡された施設です。学校法人の宿泊施設は全国にあり、甲子高原にあった獨協大学のセミナーハウスも最近解体されました。宿泊人員は120名で研修室が豊富にあり、現在は外国人労働者の日本語研修に使われます。2か所ある大浴場は温泉ではなくなり、露天風呂も閉鎖されています。見たところ従業員は2名だけで、食事は山小屋以下です。20名程度が1か月間滞在する安定需要があり、会津高原たかつえスキー場に近く、尾瀬や会津駒ケ岳、田代山などへの中継点としても使えますが、年間稼働は4割以下に見えます。記念事業だけに施設は悪くないのですが食事が貧弱で、あと2,000円出して料理の美味しい民宿に泊まるか、厳冬期でなければN-VANに泊まる気がします。
最良の熊対策

昨日は南会津の田代山(1,926m)と帝釈山(2,060m)に登りました。熊が心配ですが、最近の熊被害は住宅街でも起こり、古民家のある舘岩の中心部である国道352号の松戸原交差点付近でも前日に熊が目撃されました。イギリスでは日本への渡航者に注意を呼び掛けるほど世界的な関心を集め、秋の行楽シーズンを迎えた観光地にとっては深刻な経営問題です。山に入るとき熊鈴を携行しないのは、逆効果だと思うからです。相手が臆病な熊で偶然の遭遇を避ける上では有効かもしれませんが、深刻な人的被害は、背後から襲い藪に引き込む人喰い熊が相手であり話が違います。何より周囲の気配を鈴の音が消してしまい、禍を自ら呼び寄せるようなものです。先日15mの距離で熊と出会いましたが、静止状態から襲われても足が速く猶予は2秒以内です。粗悪品も多い熊スプレーで対処するのも、闘うこともリスクがあり、首と頭を覆い伏せることが最良の対処法だと思います。
禁断の車

昨日スタッドレスタイヤを交換しました。昨今のスタッドレスは雨天の走行などに気をつければ、通年使えるオールラウンド性能があると思います。1年前に交換し溝は十分あるように見えますが、45,000kmを走っているので新しくしました。N-VANの145/80R12のブリジストンのスタッドレスなら4本工賃込みで24,800円と割安です。今時なぜ12インチタイヤなのかと思いましたが、扁平率80ならサイドウォールが厚く乗り心地に貢献し、145サイズなら重心が分散されず雪道でのグリップ力も期待できます。年間5,000円の重量税といい、売れている商用車は部品も安く、信頼性が高く、乗用車より耐久性の高い部品が使われ、ノントラブルで5.4万kmを走っても不便はありません。登山口に続く狭い林道にも躊躇なく入れ、6速MTは運転が楽しく、車中泊に最適で、生活をシンプルにしたい自分にとって、これ以上の付加価値にお金を払う理由を感じさせない禁断の車だと思います。
目立たず質素な生活を送る

昨日は白河に来ました。古民家は現代的な快適性を兼ね備えているわけではなく、不便で、生理的な苦痛を感じることも少なくありません。しかし、寒い夜に薪風呂やサウナで体を温める、身近で原初的な喜びこそが偽りのない幸せだと感じます。豪華で派手なライフスタイルとは対照的に、なるべく目立たず質素な生活を送る富裕層のあり方は、ステルスウェルス(Stealth Wealth)として注目されます。贅沢な暮らしに全く関心のない富裕層は一定数いましたが、豪華な生活をひけらかせば、税務署や犯罪者に目を付けられます。成熟した真の実力者はその力を誇示する必要がなく、誰の承認も不要で、唯一必要なのは自身の心の平穏だけです。富の成熟の最終段階であるステルスウェルスの文脈において、誰にも気づかれない品質こそが最高の贅沢であり、単なる節約や倹約とは異なり、真の豊かさと自分らしい価値観を体現できるのかもしれません。