
旅館を始めた話をすると、「思いきった決断をしましたね」とよく言われます。しかし、決断した記憶はなく、衝動買いです。ぼくが初めてこの新甲子温泉に来たのは昨年10月です。前オーナーとの面談前に時間があったため、阿武隈源流に面する遊歩道を歩くことにしました。ブナの巨木が美しい清らかな空気に包まれたこの森を歩いたとき、宿を見る前にぼくの気持は決まっていました。
この宿は人生を変える宿にしたいと思います。この森がぼくの人生を変えたように、ここに来る人の人生をささやかでも変えるきっかけになることができれば望外の喜びです。東京から久しぶりにぼくのトレーニングパートナーでありカウンセラーでもあるラブラドールがやってきましたが、今朝は生憎の雨でその森に行くことができません。




昨日は大変お世話になっている二組の方にお泊まりいただきました。隣町下郷の八幡の大ケヤキ、大内宿、塔のへつりという宿近隣の定番スポットをまわりました。見る者を圧倒する樹齢950年以上とされる生物とは思えない巨木の存在感は何度みてもインパクトがあります。冬場閉鎖されていて見ていなかった塔のへつりも圧巻の奇岩です。ただ何事も見世物にしてどこに行くにも駐車料金を請求される日本の観光地はとても貧相に見えます。
今朝の新甲子温泉は快晴で、日の出前の森の新鮮な空気を吸いに散歩に行きました。陸上トラックまで行くと足元に美しい雲海が広がります。一日で新緑が増すように足元にも草が芽をだして毎日違ったトレイルを歩いているような錯覚を覚えます。毎朝歩いている1時間ほどのトレイルは適度に山に登り、渓谷沿いのアップダウンのある地形のためにそれなりの運動量になります。早朝の森が発する新鮮な空気には不安や悲しみを癒す力があるようで、一周してくると気分がすっきりとします。広葉樹の森を抜ける歩く瞑想は心身の健康増進効果が大きいと実感しています。


