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ホテルクオリティの日常食


代々木八幡のミレチンクエチェントに行きました。異国情緒漂うレンガ造りの重厚な外観が、以前から気になっていた店です。ミッドセンチュリーの家具や温かみのある木材を組み合わせた店内も、ヴィンテージかつスタイリッシュです。3.5mほどの狭い間口の店は、1階はスタンディングメインのウッドカウンターを構えたバールと、菓子類を販売するパスティッチェリア、2、3階はトラットリアという構成です。オニオンのポタージュや冷製キッシュも味わい深いのですが、絶妙な焼き加減のパニーニはほどよい油分もあって病みつきになりそうです。狭いバーカウンターのなかで作ることができ、ジャンクフードになりかねない日常食のパニーニに上質感を与えながら、ホテルクオリティで提供するあたりは、単品勝負の宿の朝食を考える上で参考になります。

悪い立地とドミナント


注目の外食企業バルニバービが展開する千駄ヶ谷のGOOD MORNING CAFEに行きました。朝食は顧客満足と効率化のバランスを考えるとパン、サラダ、卵という無難なフォーマットに収束します。あまりに長くこの朝食様式が顧客の頭に刷り込まれた結果、今となっては誰もこの思い込みから自由になることができず、朝食を店名にしているこの店でも変わりません。当社は悪い立地でもその弱みを跳ね返す、強い集客力によりデベロッパーからの出店依頼が増えています。店はQRオーダーにより効率化されている反面、10坪ほどと余裕のあるキッチンに対してディシャップが極端に狭く、店全体は長方形で厨房が端にあるため、対角線上の客席への動線が極端に長いなど、非効率が目につきます。尖った外食企業の多くが上場により純度を希薄化したのに対し、淡路島など特定地域へのドミナント出店が、そのジンクスを乗り越えられるかの分岐点のような気がします。

全ての店は視察の対象


ドコモからauにキャリアを変えた関係でiPhone16eから普通のiPhone16に更新しました。上位機種なのにバッテリーのもちが悪くなりましたが、16eとの大きな違いはカメラが2眼となり、超広角撮影が可能になったことです。iPhoneを記録用のカメラとして使い、被写体の多くは商業施設やホテルなどの室内や外観なので、大半の場面で超広角が便利です。魚眼ほどではない適度な歪みが写真に奥行を持たせ、撮影が楽しくなります。商業施設やホテルの多くは写真を撮ることを歓迎しない場所もあり、人知れず写真を撮るスリリングな感覚も好きです。先日行ったカフェのブンダン (BUNDAN)も料理撮影はOK、店内撮影は禁止とのことで、超広角なら料理を撮りながらその背景の店内も撮影できます。自分にとっては全ての飲食店や宿泊施設は視察の対象であり、反面教師や課題の発見も含めて観察という楽しみが加わる気がします。

静寂の理想郷


年齢を意識させる誕生日は、非情にも毎年巡ってきます。それでも普段はほとんど家にいない娘が、登山で海外にいる妻に代わり食事につき合ってくれたことは喜ぶべきでしょう。自分の内面にある本音に従い、他人の基準で生きる時間を減らし、食事を減らし、運動を増やし、執着を手放すことが当面の目標です。人生のロールモデルの一人であるカーネル・サンダースの、「錆びつくより、擦り切れる方がマシ」という言葉が好きです。究極のミニマリズムを目指して人生をシンプルにしたい一方、この年になってもお金を稼ぎたいと思うのは、身体が共鳴する「美しさへの執着」だけは燃やし続けたいからです。朝、モルゲンロートの山を見て、サウナに入り、レコードを聴く、そんな静寂の理想郷という作品を作るには原資が必要となり、そのためのオーガニックで美しい循環を作る一年でありたいものです。

廃墟に「幻」を見る力


柴崎駅前にある手紙舎のもう一軒のカフェ、手紙舎 2nd STORYに行きました。築50年以上と思しき雑居ビルの2階にあり、リノベーションの観点で見ると本店より過激です。150㎡ほどにショップとカフェがあり、段差と天井高によりショップ、客席、厨房カウンターが3つのセクションに分けられます。世界観を届けるカフェは、インスピレーションを受け、思考を整理する場所だと思います。入店する客の方から「こんにちは」と声をかけるところは、街のサードプレイスといった印象です。駅前立地ながら、ありふれた老朽化した雑居ビルは、改装されなければ廃墟に見えます。建物の歴史を感じるむき出しのコンクリート壁が、新建材の対極にある本物の迫力を場所に与えます。老朽化したビルに独特の世界観を持たせ、エッジの効いた唯一無二の空間にするのは、そこに幻影を見る力がなせる魔法なのでしょう。

団地なのに森のリゾート


カフェ巡りをする柄ではないのですが、仕事を始めるきっかけにパソコン一台をもって自宅から近いカフェを彷徨います。昨日は築50年を超える団地の低層棟を改装した手紙舎つつじヶ丘本店に行きました。週末の近隣需要が主戦場と思われますが11時の開店とともに4割ほどの席が埋まります。団地の最盛期には身の回りの品を売る商店があったと思われる一角の5、60㎡に20席ほどがあります。厨房も広くスタッフ3名は収支的には過剰に見えますが、団地の価値を高めることで賃料等が優遇されている気もします。イベントと物販の利益を、ブランド維持の店舗に投資しているのかもしれません。幸か不幸かWi-Fiがなく、仕事をせざるを得ない環境ですが、窓の外には大きなヒマラヤ杉を眺めることができ、ゆったりした音楽、ほどよい生活音の店内は、団地なのに森のリゾートにいる気になり、ついつい物思いにふけってしまいます。

神の誤算


事業は総合芸術だと思います。アートの要素が強い世界ですから、数学的マーケティングとか、ジャングリアの成功確率73%と聞いても違和感を覚えます。もちろん経営管理の基盤はサイエンスですが、そこまで緻密な計算をしているマーケティングの神様なのに、小学校低学年でも分かるアトラクションの処理能力を無視して700億を投じたことには理解が及びません。「プロ経営者」と自己プロデュースをして、その仮面がはがれる前に会社を渡り歩くジョブホッパーが、優良企業を見るも無残な姿に破壊する例も多く、自分でリスクを取るだけ森岡氏は良心的だと思います。それでも公的資金を自分の会社に出資させ、その資金を不透明な取引でファミリーに流ししたとなると話は別です。世間が熱狂する、神聖にして不可侵のカリスマという偶像にこそ、われわれは警戒を怠ってはならない気がします。

仕事にも転地療法


旧前田侯爵邸のある駒場公園内で営業する、BUNDAN COFFEE & BEERに行きました。ひと気のない日本近代文学館の1階にひっそりとたたずむ、隠れ家カフェです。「日本サウナ史」の著者でもある草彅洋平氏の個人コレクションとされる書籍が壁一面に並びますが、雑多な内容で特段テーマ性やその人柄を感じることはできません。サラリーマン時代から仕事を始めることが苦手で、仕事にも転地療法が必要だと思います。パソコン一台をもって家から離れると、やっと仕事をする気になるのですが、フリーWi-Fiが災いしてAIとのチャットを始めてしまいます。この店を目的に来ない限りたどり着かないロケーションにも関わらず、9時半の開店からしばらくすると大半の席が埋まります。結局目的の仕事ははかどらなかったのですが、全身の力が抜けていくような静寂とある種の懐かしさの漂う空間に身を置くと、様々なインスピレーションを受けることは確かです。

美容効果ナンバーワン


西麻布のサウナ「アダムアンドイブ」に行きました。サウナ愛好家の間で聖地とされる老舗の一つです。カラフルで特異な形状をした外観とは裏腹に、内部はこぢんまりとしており自分の店といった愛着が持てそうです。場所柄入れ墨を禁じていないため、全身に入った人を見かけることはこの店ならではです。浴槽にサウナパンツをはいて入ることや、館内着がガウンなのもこの店の特徴で、昭和の高級サウナの面影を残します。110℃近い高温サウナと、よもぎ蒸しのウェットサウナがあるのですが、何と言ってもこの店のアカスリは自分基準では日本一だと思います。微妙な角度をつけて強めにこすられる快感は、この店を卓越した存在にします。アカスリとオイルマッサージ、入浴料で1万5千円ですが、世間のスパと呼ばれるものにおける美容効果のコスパはナンバーワンだと感じます。

身体は元に戻る


20年ぶりぐらいに胃カメラの検査を受けました。昔から胃が弱く、半世紀ほど前に飲んだ胃カメラは、太い電源コードぐらいあり大変な思いをしました。直近で飲んだ胃カメラは完全に熟睡状態で何の苦痛もありませんでしたが、昨日は多少喉の違和感はあるものの、それほどつらいものではなくすぐに終わりました。鮮明な胃のカラー映像を見ると、素人目にも問題はなさそうです。昨年は5年ほど悩まされ続けた腰痛を達人のストレッチにより克服したので、今年のターゲットは30年来続く胃の不調です。胃の不調を30年も放置してきたのは、何度か受けた胃カメラでは問題がなく、食べ過ぎたときに決まって胃の調子が悪くなるので、むしろ食べ過ぎを警告してくれて好都合に思えたからです。一度は0.2まで低下した視力も福島の山中で生活すると1.5に戻り、歳を重ねてからも人間の身体は元に戻ると思います。

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