どこにいても自然を感じることができる

朝晩はやっと涼しくなり、入浴後の外気浴を楽しめる季節が始まります。地下にある我が家は、浴室からドライエリアに出られるため、シャワーの水温が下がるとサウナ同様にととのう効果を期待できます。早朝まだ空の暗い時間にインフィニティチェアに横たわると、昨日は北東方向に移動する人工衛星がはっきりと見えました。長野県ではよく見かける人工衛星ですが、澄み始めた東京の空でもその軌跡は明瞭です。ととのう効果とは、単に水風呂を出て約2分のアドレナリン半減期を指すばかりではなく、屋外で空を見上げた瞬間に副交感神経が高まり、自律神経のバランスが整う効果が大きいと思います。小さく切り取られた都会の空だとしても、五感をフルに使えば宇宙を感じることができます。都会に自然がないというのは思い込みで、感覚を研ぎ澄ませればどこにいても自然を感じることができるのでしょう。

1年でも長く生きて燃え尽きたい

昨年末で閉店したオテル・ドゥ・ミクニの跡地に、来秋8席の店が開業します。三国清三シェフの成功は、オテル・ドゥ・ミクニが、1億総グルメのバブル景気に乗った1985年の開業であるにせよ、一流となる人には覚悟があります。料理人として全うしたいという思いが常に強く、70歳を迎える来年は初心に戻り、1年でも長く生きて仕事をして燃え尽きたいと言います。第一の人生が事業拡大であるなら、70歳からスタートする第二の人生は、より自分らしく本音で生きる時間であり、8席という店は最適なのでしょう。敬老の日の昨日は、マクドナルド最高齢90歳の女性クルーの記事が報道されました。国内3,000店舗で最高齢のクルーは95歳の男性だそうですが、この女性は仕事をすることで元気を保てる、と年齢不問のマクドナルドに採用されて勤続23年と言います。人生の後半から始める主体的なキャリアはわれわれを勇気づけます。

ゾーンを求めて山に行く

昨日は編笠山と西岳に行きました。2,000mを超えると秋らしい空気が心地よく、晴れた週末に山に行かないなどありえない選択です。日本人にとっての山は神に近づくための聖域であり、人に会わない早朝の八ヶ岳では神妙な気持ちになります。昨日とは違い、足の関節がスムーズに動き下りのスピードが上がります。このままスピードが上がって行くと、リラックスしながら集中力が極限まで高まり、パフォーマンスが限界を超えていくゾーンに入ります。自分の身体と思えないほど早く体が動き、あっという間に下山してしまうことがまれにあります。ゾーン体験のメカニズムは最新の脳科学でも説明が困難ですが、ノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンの3つの脳内物質がバランスよく存在した状態を言い、体調と気分が良く、体力が充実する早朝一人の時の下山道で起こります。ゾーンを求めて山に行くのかもしれません。

最もふさわしくない理想郷

昨日はラブラドールと西岳に登りました。8月で山に行ったのは玉川温泉の湯治のついでに登った秋田焼山ぐらいで、多少ペースを上げると体がバテ、下山道を走ると固まった関節がスムーズに動かず悲鳴をあげます。普段から努めて歩くようにしていますが、その程度の運動など足慣らしにはなりません。都会の暮らしは関節の可動域が狭くなり、ちょっとしたことで怪我をします。人類は自然の地形で毎日体を動かすように進化を遂げており、体を動かさない安楽な環境が人を弱らせるのは、使わない機能を肉体が封印するからです。下山後は近所でほぼ自給自足生活をする友人宅に伺い、ミニトマトを収穫させてもらいました。畑で野性味あふれる野菜や果物を収穫しながら食べる豊かさに勝るものはなく、安楽に贅沢を楽しむ都市生活という人類が想い描いてきた理想郷が、進化した人体に最もふさわしくない場所とは何とも皮肉なものです。

きれいごとに流される風潮

内憂外患の中国は混乱を極め、世界最大級のウラン鉱山から核汚染物質が中国北部に広がったという真偽不明の情報まで拡散されます。政治、外交、経済と良いところがなく、自然災害にまで祟られ、正当性を失った政権による台湾進攻という暴発は最も避けるべきシナリオです。不良債権の規模からして、日本の失われた30年より深刻な景気低迷期に入るはずで、狂い始めた歯車が第二の文化大革命の引き金になるかもしれません。異例の3期目に入った独裁者が考えるのは自らの地位の保全だけで、時代錯誤の個人崇拝が苦境から立ち直る道を遠ざけます。汚職と巨万の富が結びつく共産主義という偽善は、われわれとは無縁に見えますが、社会に根深く浸透したポリティカル・コレクトネスが、第二の共産主義を生まないとも限りません。深く考えることなく、安易にきれいごとに流される風潮が国を亡ぼすのでしょう。

究極の消去法

東大生の就職先で3年連続の首位だったのは楽天グループです。世間はモバイル事業の赤字と社債償還に苦しむ楽天の行く末に懐疑的ですが、若者の視点はいつの時代も新鮮です。膨大なデータを扱うインターネットサービスは、世界を相手に今すぐ闘いたい野心的な若者にとって魅力的で、GAFAMより規模が小さいことも評価の理由と言います。世界に挑む気概を失った大半の大企業など、緩やかな自滅を待つ退屈な場所に見えるのかもしれません。入社即戦力で面白そうな仕事ができる楽天は、究極の消去法で選ばれる企業と言えそうです。自分の能力に自信のある人は概して楽天的で、同じ会社に留まる気などないでしょうから、モバイル事業問題など取るに足らない問題とも言えます。戦後の経済界で成功を収めたソニーにせよホンダにせよ、厳しい現実よりも空想を優先した楽天主義者の会社だった気がします。

際限なき消費

夏休みが終わり、昨日は日本工学院に出講しました。渋滞が嫌いなので、まだ校舎の開かない時間に到着しますが、Wi-Fiのつながる屋外のテラス席で、静まり返った校内の緑を眺めながら準備をする時間になぜか満たされます。別にスターバックスに行かずとも、ましてや高級ホテルのラウンジでなくとも、持参したお茶を屋外で飲むだけで小さな幸せを感じ、モアアンドモアの際限なき消費を求めることが無意味に思えます。ありふれた日常に満たされるなら、自然と欲望は薄らぎ、次々と新しい消費に駆り立てられる必要もなくなります。世間の常識とは真逆に、消費を減らすことで雑音が消え感受性が高まると感じるのは、微細な差に執着させようとする産業の意図に欺瞞を感じるからです。人々はお金を払うことで自らの幸せに納得しますが、世の中の大半の消費には中毒性があり、体も心も不健康にすると感じる直観は正しいような気がします。

あまりに簡単

昨今、シリコンバレーの超富裕層の資金とペルシャ湾のオイルマネーは、「医学的若返り」研究につぎ込まれているようです。有力スタートアップは数千億円単位の資金を調達して、100万ドル以上の給与を提示し科学者を集めているとされます。細胞をより若く、回復力の高い状態に保てるなら、多くの疾病を一挙に解決でき、医学を根本から変えることが期待されます。誰もが自分が生きている間に若返りの方法が見つかることを期待しますが、iPS細胞の腫瘍化など、新しい発明にはリスクが付きまといます。一方で、お金もかからず、副作用もなく、ほぼ確実に若返る方法をわれわれは既に手にしていると思います。常識よりはるかに少なく食べ、常識よりはるかに多く運動するだけで長寿遺伝子は活性化します。このアイデアが支持されない理由は、人はお金がかからず、あまりに簡単な方法を有難がらず過小評価するからだと思います。

常識を受け入れた人から弱っていく

三浦雄一郎氏が先月末、90歳で富士山の頂に立ったと言います。87歳のとき8カ月の入院をして、その際のリハビリの目標が富士山だったそうです。往年の冒険家にも山岳用車いすが必要でしたが、1988年に富士山最高齢登頂を達成した五十嵐貞一氏が、101歳10カ月だったことには驚かされます。富士山初登頂は73歳のときで、その後妻に先立たれ供養を兼ねて、15年のブランクの後、89歳のときに再度富士山に挑み、以来13年連続で富士登頂を成し遂げたとされます。元気な長寿者に共通するのは、年齢を気にしないことだと思います。自分は歳だと思えば、73歳で初めての富士山に挑む気など起きないはずです。全ての書籍には加齢とともに体は弱ると書いてありますし、多くの著者が若返りなど不可能だと言いますが、この常識を受け入れた人から弱っていくのでしょう。

運動しても痩せないのはなぜか

トレラン界最大のイベントUTMBが終わりました。マラソンの持久力はスポーツ科学により解明されていますが、100マイルを超える山岳レースをなぜ人が走れるのか、については究明されていません。エクストリームスポーツでアスリートが驚異的な能力を発揮し人間の可能性を拡張するのは、妄信的な科学信仰や常識に縛られないからだと思います。昨年北アルプスに行ったとき、スマホアプリによると5千数百kcalを消費しながら、その日は水以外の補給をしていません。週末に読んだ「運動しても痩せないのはなぜか」はこの謎を解き明かしてくれました。著者は狩猟採集生活をするハッザ族の研究を通じて、身体活動量を増やしてもエネルギー消費量に及ぼす影響は小さいことを見つけます。どれほど運動に励もうが、生存機能を維持するために消費カロリーを減らす仕組みが働くなら、ダイエット効果を信じて運動をしていた人は失望するでしょう。

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