手間を惜しまず丁寧に

新宿の住友ビルにある平和祈念展示資料館でシベリア強制抑留者や外地からの引揚者に関する展示を見ました。ウクライナ戦争を見るにつけ、平和を満喫しながら戦争の本質に目を向けることもなく、平和こそが最大の価値だと語るところには偽善と退廃がはびこると思います。部隊番号や氏名が丁寧に刻まれ個人の識別に使われた認識票や、シベリアの収容所で作られた抑留者による手製の食器の柄に彫られた文字の美しさが印象的です。戦争という非常時下にあっても、極寒の耐乏生活であっても平穏な心を保ったまま丁寧な仕事をし、わずかな隙間に美的な要素を取り入れてきた先人の勤勉さを感じます。何事も雑に扱わず、どんな簡単な仕事であっても手間を惜しまず丁寧に仕事をすることで心に余裕が生まれ、非情な環境に置かれても最後まで人間らしさを保てるのでしょう。

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