森は命を育む

早朝に行く近所の神社は天正十二年(1584年)平安時代の武将平貞盛の子孫が創建したとされます。どこにでもある普通の神社ですが400年以上もこの地にあると聞くと歴史の重みを感じます。参道を歩くとき見上げるほどの常緑広葉樹の高木に目が行きます。神社の鎮守の森がどこも似ているのは本来その土地にあるべき植生である、潜在自然植生の特徴を一番残しているからでしょう。潜在自然植生はドイツの植物学者ラインホルト・チュクセンによって提唱された概念で、人間や動物が壊す以前のオリジナルの原植林ではなく理論的に考察した第3の植生概念とされます。典型的なのは明治神宮の森で、樺太から台湾までを含む全国からの献木13万5千本により計画的に作られた森ですが、昨年100年目を迎え自然淘汰により松も杉も姿を消し鬱蒼とした深い森を作り上げました。100年以上前に書かれた林苑計画書にも、最終的には針葉樹が淘汰されて常緑広葉樹の森になると予想されていましたが、その淘汰のスピードは予想より早いそうです。東京大空襲の焼夷弾が落ちたとき、社殿は焼失したもののこの森に逃げ込んだ近隣の人は難をのがれたと言い、森はいつの時代も命を育む場所なのだと思います。

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