社会現象が味覚を決める

日々の買い物を除き商業施設に行くことも少なくなりましたが、妻によるとデパートの食品売り場では以前より高額なケーキが売れているそうです。自粛疲れで買いたい意欲が鬱積した裕福な消費者にとって、多少の価格上昇など問題ではないのでしょう。近所の商店街を歩くと自分では買わないであろう高額な食パンが一人一本の販売制限で売られ、開店前から人が並んでいます。食べたことはありませんが、たまに買う業務スーパーの天然酵母食パンとのブラインドテストなら3、4倍の価格差は感じないはずです。美味しさを感じるメカニズムは複雑で、食べ物を咀嚼すると食品の組織が破壊され唾液と混ざり、成分中の分子やイオンが溶出し味蕾がこの化学物質を感じます。味覚を含む五感情報は大脳皮質の感覚野に伝わったあと大脳皮質連合野に集まり必要な栄養素を含むか判断し、扁桃体が血糖値などの生理状態と照合した上で美味しいと感じ視床下部の摂食中枢を刺激します。世界有数の企業やホテルが協力したアメリカの研究では、人気のないヘルシーな料理の名前を変えただけで売上が76%上がったと言います。おそらく高値で売られる社会現象が味覚を決めるのでしょう。

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