週末にジェフリー・バワの本を読みました。20世紀のアジアを代表する建築家の一人で現代のアジアのリゾートホテルは何らかの形で彼の影響を受けているはずです。最も強い影響を受けかつその世界観を世に知らしめたのはアマンリゾーツで、借景とプールを一体に見せるインフィニティプールなどは一例でしょう。トロピカル・モダニズムの熱帯建築家と称されるバワですが、その生涯は変革と融合の連続であり、コロンボの自宅と郊外のカントリーハウスを生涯改造し続けました。ヨーロッパ人とアジア人のアイデンティティを持つ洗練された同性愛者であり、華やかさの反面ミステリアスで人間らしい葛藤の狭間で生きたように見えます。彼の死後18年でバワ建築のいくつかの建物が取り壊され、認識できないほど改造されましたが、彼は熱帯建築家というレッテルを嫌い、遺産として作品が残ることは避けたかったと思います。クライアントの求める機能性の要件を明確にすることから設計は始まり、前提が変われば設計やデザインは意味を持たないのでしょう。彼のファンが未だにスリランカ詣をするのは作品に共感するからではなく、彼が美と官能と逃避の理想郷を生み出して行くプロセスをトレースしたいからだと思います。