欲しいのは無為に過ごす時間

暑さが和らいだと思えば、火の恋しい季節になりました。人類の祖先がアフリカ大陸を離れ各地に広がったのは170万年前から70万年前と推定され、アフリカより寒い土地では火を使うことが必要になりました。ホモサピエンスの祖先は5、60人の集団で住んでいたと考えられ、暖を取るための火を囲み調理にも使い始めたのでしょう。多くの宗教が火を崇拝の対象と考え神聖視する伝統は、シリコンバレーの経営者が参加する年に一度のバーニングマンにも受け継がれます。カルト宗教とも言える3万人の参加者の興奮の渦が最高潮に達するのは、砂漠に建てられた10メートルを超える寺院と木像に火がつけられた時と言われます。焚き火も、森のなかのトレッキングも、ただそこに身を置き無為の時間を過ごすだけで幸せになれるのは、それが人類進化の過程で刷り込まれた遺伝情報であり、ストレスの反動や飢餓感の代償行為としての消費と違い、執着の入り込む余地がないからだと思います。本当に必要なものは森のなかの小さな小屋と暖炉、それに無為に過ごす時間でしょう。

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