都市は人間の身体感覚を鈍らせると思います。その最たるものが食欲で、多くの人がフードポルノの氾濫により正常な感覚を失い、ドーパミン型の食欲に駆り立てられ外食産業の思うままに食べています。この2週間ほど一人で過ごす時間が長く、そんな機会でもないと自分の食欲と向き合うことはできません。一日一食を公言する人は増加傾向ですが、基礎代謝の半分程度の微食に慣れると空腹は気にならなくなります。食事の時間だから、誰かといるから、食べ物があるから、暇だから、といった理由で人は食べ、生きるためではなく享楽のために空腹感を満たします。脳の低血糖状態が引き起こす空腹感は一過性の現象で、食べれば食べるほど空腹を覚えます。現代ほど食が礼賛され、同時に許容し難いほどにその弊害が広がった時代はないと思います。生活習慣病の主因は食べ過ぎであり、現代の医学も食事を3、4割減らすことの有効性を認めます。もし21世紀最大の発明があるとすれば、それは「人は食べなくても生きられる」というメカニズムの解明でしょう。有り余る食べ物という700万年の歴史で初めての事態に至るまで、人類はその可能性に気づかなかっただけで、真実はわれわれが認識する知覚や常識とは別の所にあると思います。