現代に再興した修験道

昨日は八ヶ岳北端に位置する日本百名山の蓼科山(2,531 m)に登りました。30万年前に噴火した溶岩ドームは円錐形の美しい山容で、山頂には蓼科神社の奥社があります。吉野、蔵王、熊野、石鎚山、羽黒山などの霊峰に行かずとも、身近な山に分け入ると山岳信仰や山林修行の面影に触れることができます。欧米中心のトレイルランニングの歴史はせいぜい半世紀ですが、日本各地に存在する修験道は千数百年の歴史を誇ります。世界に類を見ない登山そのものを教義の中心に据える修験道は修行の場である山を素早く移動する文化的背景を持ち、そのストイシズムの正統な後継者はスピードハイクやトレイルランだと思います。登山の身体的行為を通じ一種の修行を行うトレイルランは、自然を慈しみながら自身と向き合うことにおいて修験道と同じです。明治5年の修験道廃止令により制度宗教としての修験道は解体を余儀なくされ天台宗や真言宗に組み込まれました。山歩きに全霊を傾けて人間の感覚を研ぎ澄ませて行く修験道のエッセンスは、トレイルランという一般人のための宗教として物質至上主義の現代に再興したのだと思います。

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