トム・ピーターズの「新エクセレント・カンパニー」を読みました。36年前(執筆時)の前著は世界で600万部以上の大ベストセラーになりましたが、ケーススタディで取り上げた43社の過半数の経営が出版の5年後に失速したことでも有名になった問題作です。一番知りたいのはエクセレント・カンパニーが凋落した理由ですが、「36年のうちに大方の企業が輝きを失ってしまった。巨大企業の貢献はかなり過大評価されていた。」と他人ごとで反省の弁はありません。彼の著作はいみじくも世の中にエクセレント・カンパニーが存在しないことを示し、これに続く「ビジョナリー・カンパニー」もその点で同じです。しかしトム・ピーターズの偉いところは前著出版の直後に改心したことです。その後に連発される著作はワォ!やクレイジー!といった情熱系路線に宗旨変えし、ありきたりで退屈だったビジネスの世界に大地を揺るがすほどのワクワクとみなぎる元気を持ち込みました。今回の本が30年以上前の著書群から唯一進歩したのはサブタイトルに「AIに勝てる組織の条件」がついたことです。問題は今でもこの本が売れることで、この30年間企業組織は進歩しなかったことになります。もしエクセレント・カンパニーを一社だけ上げるなら彼も絶賛したサウスウエスト航空を置いて他にはないでしょう。