かつてはどの家庭にもあった時刻表は今も健在です。ステイホームにより時刻表で旅行気分を味わう人が増えたようにノスタルジックな感情を伴うからでしょう。昔は時刻表をよく見ましたが、それは主に後ろの頁にある宿泊施設の値段です。今ではOTAサイトに変わりましたが、旅館やホテルの市場価格を定点観測します。経済が動き始めると、以前より価格が高くなっている高級ホテルや旅館が目立ちます。とくにコロナ禍のリベンジ消費がトップエンドの価格帯にある宿泊施設を強気にさせていると思います。政府と産業界は中高年が抱え込むお金を吐き出させることに腐心しますが、日本人の多くが大金を抱えたままこの世を去るのは老後に不安があるからです。老後の生活を心配する人の数は90年代には6割前後でしたが今や9割の人が心配していると言います。しかし、心配の必要がない人まで消費をしない本当の理由は、買いたいものがないからだと思います。ラグジュアリホテルや豪華列車、クルーズ船の旅も悪くないのですが、それらのパッケージ商品に欠けるのはよりアクティブで、人が行かない特別な場所でのお仕着せでないユニークな経験だと思います。しかし問題の核心は再現性のないそれらが産業化できないことでしょう。