人生が変わる経験など頻繁にありませんが、信じていたことに裏切られると人は信念体系を変えます。発想法の基本は逆の視点から考えることですが、自分の願望と対極にある世界を見逃します。卑近なところでは、食べるほどお腹が空くことや、山に入るとエネルギー補給をしない方がエネルギー不足に陥らないこと、あるいは病院が無い方が住民が健康になることを発見します。食べることを無条件に善と考えれば、断食や絶食は我慢を強いる禁欲に見えますが、人間の報酬回路は未だにブラックボックス化されていて、人体には食べない幸せも存在します。あらゆる分野における正しさには賞味期限があり、人間の思考は支配的な規範に拘束されます。失われた30年から日本が抜け出せないのは組織のリーダーが外界を見ている古いパラダイムに束縛されるからだと思います。天動説が長年人々を欺いてきたのは、それでも天体の運行を説明できたからで、肝心なことは真実ではなく、皆が信じているメンタルモデルです。国際政治が大きく動き、日本がやっとDXに向かう今、われわれに必要なのは真逆の可能性を考える思考回路だと思います。