夏は旅に出る人が増えますが今年ばかりは盛り上がりません。「人はなぜ旅に出るのか」など考えることもなくそういうものだと思っていました。その理由を汎地球規模に移動してきた人類進化の歴史に求める人もいれば、狩猟採集のDNAが人を旅に駆り立てるとの主張もあります。お伊勢参りや各地の講などの宗教、転地療法、行商、教育旅行としての近世ヨーロッパのグランドツーリング、そして現代のマスツーリズムへと発展する一方で旅に出ることを頑なに拒む層も少なくありません。旅に出る代償は大きく、経済的、肉体的負担と旅から戻ったあとの仕事への身の入らなさを考えると、今は旅に熱狂する気になりません。数年前からグランピングの次のトレンドとしてリュクスペディション(Luxpeditions)が取りざたされます。Luxury Expeditionの造語であるこのトレンドは軟派のグランピングに対して、高いアメニティと刺激的な冒険を組み合わせる旅です。いま最も魅かれるのは長距離を自分の足で移動する山旅です。温泉にも美味しい料理にも清潔な寝具にも無縁で自分の肉体に挑むスパルタンな旅以上に今を生きる高揚感を与えてくれるものはないと思います。