操作された欲望

東京五輪に備えた今年限りの4連休は、移動を悪者視する短絡思考の蔓延で盛り上がりに欠けました。連休中は食べたいときに食べたいものを食べたいだけ食べる自炊生活をしましたが、味覚の変化を実感します。断食などをきっかけに味覚は変わり、以前は毎日3、4杯飲んでいたコーヒーをこの1ヶ月ほど飲みたくなくなりました。欲求には健全なものと不健全なものがあり、前者は正常な心身のありようと矛盾しない欲求だと思います。言い換えると生体の恒常性維持のために食べるか快楽のために食べるかの違いです。ミシュランの星付きレストランの数からして日本人ほど食へのこだわりの強い国民はいませんが、それを素直に喜べないのは欲にまかせて食べる風潮があるからです。豊かになると限界効用は逓減するはずですが、飢えとは無縁の現代人がむき出しの欲望を隠そうともしないのは奇異に感じます。人が中毒や依存に陥るのは空腹リスクを過大に恐れる人類進化の歴史があるからでしょう。身体は食べ物で作られますが、一世紀以上に及ぶマーケティングの歴史は今や脳を騙すテクニックに長け、その最たるものが食欲の操作でしょう。

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