時間ができると森に行きます。八ヶ岳南麓の早朝の登山道を鹿の大群が渡っていきます。歩きにくかったトレイルの岩の上にはカーペットを敷いたような積雪があり走るのに快適です。アウトドアブームとは言えこの時期に森を目指す人はごくわずかですが、静寂に包まれる今の季節の森は内省に最適です。座りながら問うことが座禅なら、山行は歩きながら問う瞑想です。足運びは呼吸とシンクロし、山頂まで規則正しい呼吸に意識を向けていると瞑想と同様の効果を得られます。あるがままに今を見ることで、起こりもしない未来の不安や過去の後悔から解放されます。あまり興味のわかない近所のリゾートホテルには人があふれ、人工的な環境に満足して都会に帰っていく行楽スタイルは健在です。戦後急速に欧米的な暮らしやレジャーを取り入れた日本は大量生産のために皆が同じ夢を見る必要があったのでしょう。人は生まれてから得た知識や見たものを大脳皮質にためていくとされます。ステレオタイプのリゾートホテルが今でも人気なのは大脳に刷り込まれた幻想が人間の本能や感性を抑圧しているからだと思います。