パレートのいわゆる80:20の法則は様々な場面に使われますが、最も大切な人生の時間の80%はどうでもよいことに費やされていると思います。20%がどこにあるか考えると、昨日のように早朝の森を抜けて雪を踏みながら山頂を目指すとき、真冬の那須湯元温泉の高温浴槽に身を沈めているとき、無我夢中で山岳レースを走っているときなどが思い浮かびます。共通するのは都会に住むことを前提にしなければたいしてお金がかからないことです。海外旅行や外食などの洗練された非日常を本音で楽しめないのは瞬く間に過ぎ去りまた普段の日常に戻る味気なさがあるからです。人生の満足に直結するのは日常生活のなかに何気ない幸せを感じる時間を持つことだと思います。自然を感じながらゆったりと深い呼吸をするだけなら誰にでもできます。人にはそれぞれの生き方がありますが、人体に備わるホメオスタシス(生体恒常性維持)が身体を機能させ思考に秩序を与えることは共通です。ギリシャのアポロン神殿に刻まれた古代の警句は「中庸を知れ」で、ブッダもアリストテレスも森羅万象において中庸を行くことこそ人間の幸福の鍵だと教えました。幸せとは大量消費主義の中毒になることでも極端な禁欲主義や社会から逃避することでもでもないのでしょう。