執着の権化ミシュラン

より良いものを追求する姿勢は人間の優れた資質ですが、良いものを無批判に盲信していると思わぬ弊害をもたらします。2018年1月に死去した著名シェフのポール・ボキューズ氏が1965年から維持してきた三つ星を二つ星に格下げするミシュランガイドの決定でフランス料理界に激震が走りました。星を奪われた複数のシェフが自殺したり、年末には審査員の評価方法をめぐり訴訟沙汰になるなど何かとお騒がせのミシュランですが、あまり興味はありません。星のついたレストランで食事をすると独特の世界観に魅せられることは確かですが、問題はミシュラン双六にはまることです。双六はいつかゴールにたどりつき、何度かゲームをすれば誰でも飽きます。そして熱中すればするほど執着という悪魔を自分のなかに育むことになります。旅館業を離れた今はあまり料理をしませんが、料理への興味は今も変わりません。料理を食べることも楽しいのですが、社会の役に立ってこそ価値があると思います。関心があるのはもっぱら調理工程の省力化です。短い時間で美味しく健康的で見た目にも魅力的な料理を作る自炊ノウハウこそが社会をより健全にすると思います。

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