無謀登山は論点にあらず

富士山山頂から3,000m付近まで滑落した男性が先週生放送していた動画を見ました。滑落の直前に男性が見た美しい雲海の景色とは裏腹にあまりの寒さに苦痛を訴えますが、死の危険が足元に忍び寄っていることには気づいていないように見えます。足を滑らせ滑落が始まり10秒ほどで動画は終わりますが、自分も何度か滑落しかかっているので身の毛がよだつ映像です。ネットには登山の無謀さを批判するコメントが並びますが論点はそこではないと思います。事故の3日前に飛行機からこの映像と同じように雲海に突き出た雪化粧の富士山を見ました。夏山でも15時には行動を終えることが登山の基本なのに軽装備で日没の早い時期の14時40分に日本最高峰の山頂に立つことは自殺行為です。しかし、男性は今年4度も富士山に登っていて降雪期も知りながらそれでも犯した判断ミスを無謀の一言で片付けることはむしろ危険です。福島に暮らすようになって6月と9月に山の遭難が多いことを知りました。都会の感覚では夏ですが山は突然冬の顔に豹変し牙を剥きます。小さな失敗で痛い目に会いながら人は危険を学びますが、自然と接する機会が少なく安楽に生活できる都市の暮らしが、自然のもたらす危険に対する感度を鈍らせていることを論じるべきだと思います。

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