幸せという雑念

幸せな人というのは人知れず暮らしていて、そもそも自分が幸せかどうかなんて考えたことさえないと思います。幸せを意識した瞬間に執着が生まれ不幸が始まります。理想的な暮らしを流し続けるテレビ番組も、幸せ自慢の写真であふれるSNSもその引き金です。非地位財が大切だと知っていても幸せな人のロールモデルを反射的に探してしまい、その途端に欠乏感が広がります。人体は正確な生体恒常性により絶妙なバランスを保っていて、これが崩れると病気になります。間違った生活習慣が不健康を生むように、間違った思考回路が不幸を呼ぶと思います。豊かな暮らし、恵まれた生活は常に比較可能な尺度を提示し、われわれは心穏やかでいられなくなります。求めるほど遠ざかる幸せは、触れないでおくべきタブーなのかもしれません。自分の周りでエクストリーム系スポーツに傾斜する人が多いのは、販促手段に過ぎない「幸せ」という雑念を振り払い、掛け値なしに充足したいからなのだと思います。

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