失う不安がない幸せ

二十歳前後の学生と話していると、自分の学生時代に興味の対象であった自動車や旅行などの高額商品への関心が低いのは明白です。以前なら消費への憧れが仕事や勉強のモチベーションになりましたが、今の若者は違います。一方、内閣府の「国民生活に関する世論調査」では7割の若者が今の生活に満足し、他の世代よりも高い割合です。国際比較で見てもThe Global Youth Wellbeing Index で日本の若者は7位に上位ランクされます。希望を失うから幸せを感じるという意見もありますが、収入や世帯消費支出が減るなかで高額消費に関心を示さなくなるのは環境適応に見えます。意図してそうなったのではないにしても、お金を尺度に幸せを測らない傾向は本質をついていると思います。手痛い失敗を契機に消費への関心を失った今のほうが以前より幸せを感じる自分のように、失うことで本質を得るものかもしれません。いくら金銭的に充たされていても情熱や愛情や健康を失えば心は満たされません。持てば失う恐怖が人を不幸にします。お金があれば何でもできると思っても時間を取り戻すことも愛情を買うこともできません。持たざる若者は失う不安がない分幸せなのかもしれません。

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