先祖伝来の知恵が残る鹿の湯

昨日は那須湯本温泉の鹿の湯に行きました。値上げの影響なのか昼前に行くと4、5人の客しかなく、明治・大正期の湯治場風情を残す浴室に癒やされます。自分の宿に温泉がありながら週に1、2度来ていたのは効用を実感できるからです。どこの温泉にも効能が書かれていますが、その効果が額面通りのところは少数です。46度と48度の高温浴槽で時間湯をするとありえないほどの発汗があります。旅館の仕事に付き物の手荒れも治りますし、ガンが治った人の話も常連の間では知られています。高級なスパに1、2泊しても気休めにしかなりませんが、民宿に泊まりながらここに一週間滞在すれば確実に効果を実感できます。温泉療法が定着していて、かぶり湯100回、高温浴槽は腰まで1分、胸まで1分、首まで1分など入浴の心得が浸透しています。常連は自分用のひしゃく、砂時計、長時間座るためのマットの三種の神器を持参します。738年開湯の記録が正倉院の古文書にあるようですが、おそらくそれ以前から鹿の湯は使われていたはずです。温泉療法にしても食文化にしても、先祖伝来の知恵を快楽に変えたときから、われわれは大切なものを失ったと思います。

Translate »