死の商品化

役に立たない本に時々出会います。後味が悪いのはそれが世間で名著の誉高い本の場合です。昨日読んだ、「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義、は国内で10万部を売るベストセラーなのですが、後味の悪い一冊でした。近年「死」について正面から取り上げる本が増え、いろいろな主張があってよいと思いますが、理にかなっているかどうかを論ずるテーマとは思いません。さまざまな説や考え方を検討し、妥当な結論に至るアプローチは、その陳腐なたとえ話もあって生理的に受け入れられません。合理性に焦点をあてる論法は、命を軽々しく扱っているようで嫌悪感すら覚えます。「死」について理解したいのではなく納得したいのです。売りにくいとの理由から、原著の前半の考察を省いた「日本縮約版」の表紙に書かれた、「人は、必ず死ぬ。だからこそ、どう生きるべきか」という文字が虚しい宣伝文句に見えます。

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