仮想空間に生きる

米国系コンサルティングファームに転職した20年ほど前、「命がけで働く」と周りが言っていて、最初はドン引きしたものの、ハードワークを厭わない同僚と働くうちに自分でもそんな気になり始めます。サラリーマン時代はどこか仮想空間にいたと思います。長年組織固有の建前で生きていると自分が誰なのか分からなくなります。どこか身構えて、不条理に耐え、誰かの顔色をうかがい、ときに心にもないことを言い、損得を計り、相手を値踏みし、美辞麗句を並べ、お互いの嘘に目をつぶり、本音を隠し、敵を作らず、いつもダブルスタンダードで、思い込みと本心の違いが分からなくなり、こんな姿は自分ではないと思いながら残りの人生がすり減っていく恐怖を避けられない運命とあきらめていました。偽りの自分を演じて生きる辛さは組織を離れて初めて分かります。人生の判断には失うものがあります。第二の人生を始めて失ったものは要らなかったものだと気づきました。

Translate »