美しく衰退する桃源郷

昨日は甲子高原にいました。自然の懐に戻るとこの場所こそが自分の定位置だと思います。公害をはじめ多くの社会問題に直面しながら、社会人になる頃までは日本に生まれた幸福に感謝をしました。世界第三位の経済大国である今の日本を誇らしく思う機会は少なくなりました。少なからぬ国民が自信を失いときに自虐的になる理由は、国の将来への不透明感だと思います。ジャパン・アズ・ナンバーワンとまで言われた日本は、課題先進国のトップランナーです。ペリー来航以来165年、常に誰かの背中を追って経済成長の先にあるユートピアを目指してきた日本にとって、理想郷はもはや幻想であり、その地を目指す気概も能力も失いました。開催まで2年を切ったオリンピックに一縷の望みを託す向きもありますが、多くはその後に訪れるであろう不況を怖れます。不足のなかに心の充足を見出す「わび」の美意識を持つ日本が世界に問うべきは、美しく衰退する桃源郷だと思います。

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