穏やかな感覚の魅力

昨日は青山に行きました。黒塗りの社用高級車集積地帯の大手町とは異なりベントレーやマイバッハといった趣味性の高い車を見かけます。美しく磨かれた車に昔は目を奪われましたが、8年連れ添ったフィアットと、歳月とともに朽ちていくとも年輪を重ねていくとも言い難い穏やかな感覚ほどには魅力を感じません。ホテルやレストランも同様で、訳知り顔の評論家の多くはラグジュアリーブランドを信奉し木を見て森を見ない議論に終始します。彼らがよく口にする常套句は「この値段は決して高くない」で、貨幣経済の枠組みのなかで幸せを語ろうとします。一定額を超えると所得と生活満足度が正の相関を持たないことは世界の調査で分かっています。過度な贅沢は当たり前の日常に敬意を払わなくなり、常に目減りしていく恐怖、新たに作りだされた執着にさいなまれると思います。

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