「ヒトラーは英国スパイだった!」を読みました。第二次世界大戦は闇の国際権力が策謀した巨大ビジネスだった、との主張はその界隈では目新しい話ではなくいくつかの事実とも符号します。コロナ禍の重苦しさに拍車をかけるように陰謀関連の書籍が増えたように感じますが、純粋な娯楽というよりは後味の悪い不気味な本です。事実を歪曲した妄想とも、類推の先に成り立つ仮説とも取れますが、世間にとっては受け入れがたい反面、反証する材料もありません。多くの本はどこかに希望を見い出すことができますが、虚無的な人間を自称する医師の内海聡氏の突き放した解説も含め、平和ボケした日本人にはちょうど良い刺激かもしれません。この本が上下巻の大作になる理由は、現代に至る大半の事件や災害が悪意を帯びたものであり、この世は劇場そのものであることを説得するためです。大勢を対象とした壮大な嘘ほど気づかれないことは確かであり、第二次世界大戦こそがその舞台にふさわしいのでしょう。重要なことはこの主張への賛否ではなく、人の意見を鵜呑みにせず自分の頭で判断し、自分はどう生きたいのかに思い至ることでしょう。