食事の回数を減らすことで食欲について考えるようになりました。食欲には少なくとも2つのタイプがあると思います。それは食欲が、睡眠欲や排泄欲、性欲のように、動物の生理機能上欠かせない欲求であると同時に、物欲や出世欲といった必要を超えた個人的・社会的な欲求でもあるからです。食欲は生存に必須である一方、主には中毒症状を介して生存を脅かす存在になります。食欲は自明故にそれを抑制、調節する研究はされてもその発生メカニズムについての解明は不十分だと思います。何かのきっかけで空腹感は蘇り、一方で選択的にコントロールして眠らせることもできます。現代社会は欲の解放を礼賛し扇動しますが、それに身を任せれば偽の欲望や見せかけの欲望に翻弄され心の平静は訪れません。人間の遺伝子には欲望という生物学的インセンティブがプログラムされているために生存の意欲を持ち続けることができますが、一方で欲望を抑えられないために人生の転落が始まります。人は信念の力と長年の習慣によって自らをも欺くことができる存在ゆえに欲の問題は根深く、その解明が解決の糸口になるのでしょう。