捏造された食欲

行政が自宅謹慎を主導する非常事態は、見方を変えると最高のデトックスかもしれません。デジタルデトックスの有用性は以前から知られますが、そのメリットはフードポルノなどにより喚起される執着を避け、自律神経のバランスを取り戻すことだと思います。スマホの高性能化により美しく撮影された料理を見るとそれまでは感じなかった食欲が喚起され、旅先の美しい写真を見れば旅に出たくなり、あるいは羨ましいという嫉妬が起こります。ドットの集合体に過ぎないデジタル信号によって食欲は簡単に外部から操作され感情は操られます。購買意欲をそそるシズル広告に消費者が加担してくれる状況は店にとってはありがたい限りで、最近では写真撮影を禁じる店も少なくなりました。無闇に外出して店に近づかなければ購買欲求は起こらず、買えば買うほど執着は増幅され、外部のノイズにさらされるほど捏造された食欲で感受性は劣化していくのかもしれません。世俗的な幸せを追うほど、欲と嫉妬と執着の終わりなきサイクルから抜け出せなくなるのでしょう。

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