上品な幻想

二年連続の自粛を要請されるゴールデンウィークはSNSにも控え目な投稿が目立ち、豪華で刹那的なレジャー消費のあり方を見直す機会になるのかもしれません。疲れるために人混みに出かけ散財する消費の虚しさを昔は無視しましたが、束の間の贅沢を望む消費脳が満たされることはなく、永遠にお金を使い続けるように動機づけられます。7万ドルの年収を超えると幸福度が上がらないように、人間の幸福や生活満足は消費額と比例しません。一方で、満足に直結しない豪華さや希少さの演出にお金を落としてもらうことで経済は回ります。脳の研究が近年注目されるのは、刺激を求める脳を麻痺させることが、最も効率的に売る方法であることにビジネス界が気づいたからでしょう。欲望と執着を上品な幻想で包み隠したときに消費量は最大化されますが、不都合な現実を認めたくない点において消費者も企業と共犯関係です。食べれば食べるほど食べたくなるように、欲望を暴走させる脳を躾けない限り、人生を満たしたいという飢餓感が消えることはないのでしょう。

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