
ニルマル・プルジャ率いる登山隊10名全員が壊滅的雪崩により死亡した事故は、山岳関係者を超えて教訓を残したと思います。登山史における大事故の多くは気象判断や撤退判断に関係しています。大雪の影響を受け、多くの登山隊が撤退・下山したなかで、なぜプルジャは残ったのかが最大の焦点です。大雪直後は雪崩リスクが最も高いことは初心者でも知っています。ネパールの貧しい家庭からグルカ兵となり、英国特殊部隊を経て、その経験を登山に持ち込み一躍スーパースターとなったプルジャの人生を貫くのは、不可能だと思われていることを可能にすることです。成功体験は能力を高めると同時にリスク許容度も高め、これは彼の最大の強さであり、同時に最大の弱点にもなり得たと思います。限界を突破することが人類の文明を前進させてきましたが、いわゆるファーストペンギンは、ある種の現実を無視する能力が必要だった気がします。