
夕食に飲んだコーヒーのためか、午前0時前に目が覚め、デッキに椅子を持ち出します。やがて暗がりに眼が慣れると、カラ松林からのぞく星空が鮮明に輝き、森からは止むことのないリズミカルな虫の音が響き、「いまここにいる」感覚が訪れます。何もないのに全てがある、内部から湧き上がる充足感により、年々衰退する物欲が、さらに減退する気がします。今すわっている、20年ほど前にヤフオクで買った薄汚れた椅子を、昔欲しかったブランドのついた最新の椅子に替えたとしても、自分をなぐさめてはくれないでしょう。たるんだバックレストが、むしろ自分の体には心地よく感じられます。目の前に停まっているN-VANにしても、快適すぎる昨今の軽の商用車以上の性能や快適性は虚飾に思えます。物欲と不用品であふれる世間では、本質と向き合うことなしに、常にオーバーヒート気味の脳をさらに酷使しているのかもしれません。