父の人生を振り返ると、平日は浴びるように酒を飲み深夜に帰宅し、週末は仕事と称するゴルフという典型的な昭和の企業戦士でした。中年まではトイレの壁が黄色くなるほどのヘビースモーカーで、長年糖尿病を患ったわりには92歳8か月という生涯は、大往生とみなすこともできます。他方で、父が10年以上にわたり高齢者施設にお世話になり、この間は健康寿命に含まれないのに対して、葬儀に参列してくれた妻の父は同い年ながら、今も生活の全てを一人で行います。二人とも大手製造業の営業という似た仕事で、妻の父も酒が好きで比較的最近まで喫煙をしていたことも同じです。最大の違いは妻の父が年齢を意識していないことです。年初、家に行ったときも、こちらが躊躇するような高所の脚立に立ち、夏ミカンをもいでいました。加齢が人を老いさせるのではなく、歳を意識して体を動かさなくなることで老いるのだと思います。